「難民についての教材活用セミナー」【2018年度夏実施報告】
公開日 : 2018-11-28
概要
国連UNHCR協会が企画、運営した「難民についての教材活用セミナー」を、2018年7月31日の東京を皮切りに、8月は札幌、名古屋、大阪、福岡、そして初となる広島で開催しました。
当協会と連携して活動している学生団体SOARのメンバーも、各会場にてワークショップのファシリテーターを務めました。

全日程合計で、120名以上の方にご参加いただきました。
参加者の多くは小学校、中学校、高校、大学で教壇に立っている方々で、専門の教科は社会科、英語科、数学科などと多岐にわたっておりました。
また、国際問題に関心のある大学生だけでなく、「大学で難民や人の移動についての勉強がしたい」という高校生の方々にも参加していただき、難民支援の輪が若い世代にも着実に広がっていることを実感しております。
構成としては、「いのちの持ち物けんさ」のワークショップの体験を行い、その後に「あるものないものワークショップ」の解説、難民問題の基礎知識の講義、そしてそれを踏まえてのディスカッションを実施しました。
「いのちの持ち物けんさ」の体験では東京会場を除き、各会場で学生団体SOARのメンバーがファシリテーターを務めましたが、東京会場では、国連UNHCR協会で職場体験をされた東京学芸大学附属国際中等教育学校の生徒4名に「いのちの持ち物けんさ」のファシリテーターを担っていただきました。
中学生として、堂々と参加者の方々の前でワークショップを進めていく姿によって、学校現場で授業に活用することのできる可能性を感じた参加者の方も多かったのではないでしょうか。
また、東京会場と札幌会場では、実際にワークショップをアレンジして授業をされた先生方にゲストスピーカーとして登壇していただき、さらなる学びが生まれました。

参加者の方々は“難民を自分事として捉える”という意識の元、真剣にワークショップに参加してくださいました。
ワークショップ実践後に、協会職員である天沼が、難民についての教材の紹介と、難民問題とUNHCRの基礎知識についての講義を行いました。
講義においては質疑応答の時間をとりましたが、各会場で多くの質問が寄せられ、学びを深めることができました。
最後のディスカッションにおいては、教員、学生、一般の参加者の垣根を超え、より効果的にワークショップを行うためにはどうすればよいのか、難民の問題を日本で広めていくにはどうすればよいのかということをテーマに意見交換がなされ、非常に充実した内容となりました。
参加者の声
以下にアンケートでいただいたお声の一部を抜粋し掲載させていただきます。
☆『いのちの持ち物けんさ』の実践
・難民の気持ちを考える、というテーマを段階を追って喪失の疑似体験を行うことで、よりリアルに感じることができました。
・普段の生活では思い浮かばないことを考える良いきっかけになりました。
・簡単な活動だったが、「いのち」だけ残ったとき涙が出そうな活動だった。
☆『いのちの持ち物けんさ』の解説
・この授業の誕生に込められた思いや様々な工夫を知り自分にもできることが広まった気がしました。
・栗山高の方の実践例を聞けたのは良かったです。
・対象の年代によってワークショップの内容を変更するのは良いと思った。
☆『あるものないものワークショップ』の解説
・写真という視覚的に強く訴えてくる資料の活用を通じて、難民に関する自発的な調べものを後押しする学習スタイルはとても興味深いと感じました。
・「いのちの持ち物けんさ」より生徒の事情抜きでできそうで、実践しやすく、やりやすそうに感じました。
・小島先生の実践発表が具体的でわかりやすかった。
☆「難民問題とUNHCRの基礎知識」
・丁寧に説明していただき、自分の中であいまいだったものがクリアになりました。
・分かりやすく数値などを用いて噛みくだいていただき、より理解を深めることができました。改めて問題の深刻さとUNHCRの多岐にわたる支援について知ることができました
・ほとんど知識を持っていなかったので勉強になりました。またあとでゆっくり読んでみようと思います。
☆「ディスカッション」
・同じような課題を他の学校でも抱えていることがわかりました。少しヒントも得られました。
・各先生方の思いに触れて日本の難民への取り組みに希望を抱きました。
・もっと時間がほしかったです!貴重な時間でした!
☆「難民についての授業の手引き」
・本テーマを専門外にする教員にとって、まんべんなくバランスよく知識が習得できてよかったです。教材のソースやアクティブラーニングのヒントもとても参考になりました。
・情報、手引き、応用例、参考資料すべてが一冊に集約されていて素晴らしいと思った。
・最新の資料を人権を軸にまとめられているところが素晴らしいと思います。
今後の展望

難民 授業 UNHCR2019年以降も、多くの先生方にワークショップなどの教材を活用していただき、多くの児童・生徒の皆さんが難民について考え、行動していただけるような時間を創出できるよう活動してまいります。
本セミナー開催後も紹介しているワークショップやツールを活用した授業が多数実現しております。
今後も、新たな実践例のご報告が寄せられましたら、『学校などでの実践例』としてご紹介していきます。
そのような事例を皆さんに知っていただき、より多くの教育現場において難民やUNHCRについての実践的な授業が実現していくよう努めます。
【参考】
※「学生団体SOAR」について詳しくはこちら
(2017年7月9日の「第2回学生団体総選挙」キャリア・教育部門でグランプリを受賞!)
※「学校・団体の皆様へ」について詳しくはこちら
※「難民についての授業の広場」はこちら
※「出張授業/学習訪問」について詳しくはこちら
※「ご寄付でできること」について詳しくはこちら