飢えと失望が先住民をベネズエラから追い立てる

医薬品と食糧不足がきっかけでワラオ系とワユウ系住民は土地を捨てブラジルやコロンビアに避難しています

公開日 : 2018-09-18

パカライマ(ブラジル)のシェルターに滞在している先住民の女性と子どもパカライマ(ブラジル)のシェルターに滞在している先住民の女性と子ども

先住民コミュニティのリーダー、エリジオ・テヘリナの一番下の子どもは肺炎に罹り、祖国ベネズエラを襲っている物資不足のせいで悪化の一途を辿りました。

ボアビスタ(ブラジル)グアヒラ(コロンビア)2018年8月7日 ― 「薬の在庫が無くなっていたため、娘は適切な治療を受けられませんでした」と33歳のワラオ系住人コミュニティリーダーは話します。「私の7か月の娘は亡くなりました。」

ブラジル北部ボアビスタにあるピントランディア・シェルターで子どもとハンモックに並んで座るワラオ系住民のコミュニティリーダー、エリジオ・テヘリナ(33歳)

残る5人の子どもも飢きんで弱り、苦しんでいました。地元の市場で食べ物を見つけられなくなり、残された唯一の選択肢は国を離れることでした。

「ブラジルに来ると決めたのは、子どもたちが飢えていたからです。空腹で泣くこともありました。食事は夜に一日一食。夕食をほんの少しだけでした。」

「ブラジルに来ると決めたのは、子どもたちが飢えていたからです。空腹で泣くこともありました」

 

広がり続ける食糧と医薬品不足、物価の急上昇、政治不安と暴力を理由に、何十万人ものベネズエラ人が祖国を捨て国外へ避難しています。

母国での状況が悪化するにつれ、テヘリナと家族のように人道支援と保護を求め国境を越えて近隣のブラジルやコロンビアに向かう先住民が増えています。

ベネズエラ第二の先住民であるワラオ系住民の故郷ではHIV(ヒト免疫不全ウイルス)の大流行がオリノコ・デルタの伝統的な地域共同体を荒らしており、既にひどい状況でした。たくさんのワラオ系住民の子どもが麻疹(はしか)でも亡くなっています。

この数か月で何百人もの部族民がブラジルとの国境を越えて南下しました。750人を超えるベネズエラの先住民がボアビスタにあるピントランディア・シェルターのハンモックやテントで生活しています。タマクロ出身の職人、バウディリオ・センテノ(36歳)もその一人です。

バウリディオ・センテノはボアビスタ(ブラジル)のピントランディア・シェルターで籠を編む。食糧と医薬品の底がついた時、彼はタマクロから家族と他のワラオ系住民700人とここに来た

「私たちはベネズエラで完全に物資不足の状況に陥っていました」とセンテノは話します。市場でも食糧を見つけられなくなり、家族8人をブラジルへ連れてきました。ここでは籠を作ったり、アルミ缶を1キロ3レアル(約90円)でリサイクルに出してどうにか生活しています。

この苦しい状況はベネズエラ最大の先住民グループで、先祖代々の土地がコロンビアと国境を接する、ワユウ族にも共通しています。ベネズエラでの状況が悪化しているため、多くが脱水状態や栄養失調、着の身着のままで到着し、飢餓に近い状態でもあると報告されています。医療施設は停電していて、スクールバスは物資不足の影響を受けた結果、子どもが教育の機会を逃していると説明する人もいます。

「娘が学校へ行けるよう交通手段を見つけるのに苦労しました」とワユウ系住民で、コロンビアのラ・グアヒーラ県へ渡ったカリー・ゴメス(55歳)は言います。

 

「書類がないため基本的なサービスへのアクセスもままなりません」

 

ワラオ系とワユウ系に加え、バリ系とユクパ系という少なくとも二つのグループも国外での緊急支援を求めているとUNHCRは考えています。外国では、母語しか話せず更なる困難に直面します。

「ベネズエラを離れざるを得なくなり、ワユウ、ワラオ、バリとユクパやその他のグループは書類がないため基本的なサービスへのアクセスもままなりません」とコロンビアのジョアンナ・レイナUNHCR上級保護補佐官は述べました。

「彼らは言語を含むアイデンティティの喪失や組織構造の急激な荒廃といった困難に直面します。」

ベネズエラを捨てブラジルやコロンビアへ向かう人々の大部分は書類、シェルター、食糧、健康支援の緊急援助を必要としており、UNHCRは各政府機関やパートナー機関と協働して対応に当たっています。

今週初め、ブラジルのロライマ州側国境の連邦判事がベネズエラ人の入国許可を一時中断し、一時的に国境を閉鎖しましたが、この措置は最高裁判所によって8月6日夜に取り消されました。

8月6日の一時的封鎖時もUNHCR職員は国境に留まり、状況を監視していました。報告によると、ベネズエラ人210人が入国審査を通過できませんでしたが、国外追放はされず、目立った混乱も起きませんでした。

グアヒラ県(コロンビア)の県庁所在地、リオアチャにある現地事務所において、UNHCRは地元当局やパートナー機関と密に連携を図り、ワユウ系住民の子どもに教育を提供しています。200人近くのワユウ系住民の子どもが安全な教育の場をマイマハセイ学校に見つけました。ここでは固有の文化を育み、奨励されるのに加え、多くの授業が母語であるワユウ語で行われます。

同様の試みはブラジルでも行われており、ワラオ系住民の子どもたちはボア・ビスタのシェルターで母語による基本教科の授業を受けています。

 

「まだ、これから何がベネズエラで起こるのか分かりません。大切なのは、ここで順調にやっているということです」

 

「私たちはよく集まって話をしたり、昔話を語ります」とテヘリノは言います。

ベネズエラには少なくとも26の先住民グループがいます。状況は悪化し続け、自らの土地から追い立てられてすぐに帰れる見込みのない人々を助けるより多くの支援が必要となります。

「まだ、これから何がベネズエラで起こるのかわかりません。大切なのは、ここで順調にやっているということです」と、いつ、そしてそもそも家に帰れるのかどうか分からないセンテノは話します。「子どもはご飯を食べられるし、ここは安心できます。」

ベネズエラ出身の先住民の殆どはワラオ系住民。パカライマ(ブラジル)のシェルターで暮らしており、UNHCRとパートナー機関は地元当局によるこのシェルターでの支援をサポートしてるベネズエラ出身の先住民の殆どはワラオ系住民。パカライマ(ブラジル)のシェルターで暮らしており、UNHCRとパートナー機関は地元当局によるこのシェルターでの支援をサポートしてる

Flavia Faria and Nadia Williamson
With additional reporting by Regina De La Portilla and Jessica Watts

原文はこちら(英文)
Hunger, despair drive indigenous groups to leave Venezuela


南米ベネズエラ緊急事態

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