「学校に通えてうれしいかって?」―シリア・東グータからの報告
公開日 : 2018-08-03
「学校に通えてうれしいかって? こーんな気持ちだよ!」
シリア・東グータからの報告
いったいこの残酷な包囲と戦闘はいつまで続くのか。市民をどこまで犠牲にするのか。 国際社会から激しい非難が巻き起こったシリア・東グータでの戦闘。約4年にわたる厳しい包囲の日々は、2018年4月ついに終わり、人々に笑顔が戻ってきました。
7月25日、UNHCRは東グータ(Kafr Batna)の学校を訪問。子どもたちに「学校にまた通えてどんな気持ち?」と尋ねると、こんなとびっきりの笑顔を見せてくれました!
今回は、東グータをはじめシリアでの援助活動へご支援くださった皆様に心からの感謝をこめて、援助活動の進捗状況や成果をご報告いたします。
解放後初めて、東グータへ支援物資を輸送
UNHCRは5月、東グータでの戦闘が終わって以降初めて町に入り、調査を開始。パートナーNGOと連携しての支援物資の輸送に着手し、7月には国連による合同の物資輸送トラックが初めて東グータに入りました。42台のトラックが命をつなぐための食糧、医薬品、衛生用品、生活用品、教育関連の資材など約2万5千人分の物資を届けました。UNHCRの職員は町の状況を確認し、戻ってきた人々に聞き取り調査を行いました。3人の子を持つスブヒ(52歳/写真左端)は「学校が再開することを願っています。私たちが働けるようになり、町は以前の姿を取り戻してほしいです」と話しました。
避難してきた人々へのシェルター支援

東グータの解放後、人々は故郷へ戻りつつありますが、未だに約4万人の人々が避難生活を送っています。UNHCRは共有シェルターを3か所設置、50張の家族用テントや2200セットのシェルターキットなどを配布するとともに、マットレスや毛布など避難生活に不可欠な物資を提供してきました。
東グータの故郷へ戻った人は約3万人と推定されていますが(2018年6月現在)、そうした帰還民に対してUNHCRは、破壊された家を修復し一日も早く生活を再建できるよう支援しています。
写真はダマスカス近郊の共同シェルターで、支援を受けながら避難生活を送るアフラム(32歳)。4人の子どもと避難しており、早く家に帰れるよう願っています。

「わたしの新しいシューズ!」
激しい戦闘のなか、着の身着のまま逃れてきた人々。UNHCRは東グータ周辺の5か所の共有シェルターで、子どもから大人まで、約1万1000足のシューズを配布しました。

「学校に通いはじめたよ!」
家の近くの廃墟にたたずむ二人の男の子、アナスとハムゼ。最近避難所から自宅に戻ってきたばかりで、学校にも通い始めたと話してくれました。UNHCRは6月までに、3つの学校(180の教室)を修復し、授業が早く再開できるよう支援しています。

「赤ちゃんが生まれた」
という大切な届け出
「4か月前、この子が生まれたばかりの時に避難してきたのですが、やっと出生登録をすることができました。これでこの子も支援を受けられます」と話す母親のアスラ。
紛争下や避難生活の中では、この登録を出せないことが少なくありません。出生登録がないと子どもの存在を証明する書類がなく、学校にも通えず法的な支援も受けられません。「存在しない子ども」になってしまわないように、UNHCRは避難先でも出生登録ができるよう支援しています。
温かいご支援をありがとうございます
皆様がお寄せくださったシリアの人々への温かいお気持ちに、改めて深く感謝申し上げます。皆様のご支援によりUNHCRは、東グータ地域をはじめシリアで、紛争で家を追われ困難な避難生活を送る人々、破壊された故郷へ戻り新しくやり直そうとしている人々を守り、多くの支援を届け続けています。
しかし、ダルアー等各地で戦闘が続くシリア国内での資金状況は現在も大変厳しく、特に新しく避難してきた人々への援助物資やシェルター、子どもや女性など弱い立場にある人々の保護、命を守る保健医療のための資金が著しく不足しています。このままでは必要な支援を大幅に削減しなければならない状況に追い込まれているのです。
どうぞこれからも、皆様の温かいご協力を心よりお願いいたします。
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