モンスーンの雨により打ち崩されるバングラデシュのロヒンギャ難民居住地

風、そして最初の豪雨が、約70万人の難民が避難する脆い地形に降り注ぎ、緊急対応の進行中に地滑りの引き金となり、1人の難民の命を奪い複数の負傷者を出しました

公開日 : 2018-07-06

2日間続いた豪雨と暴風の後、4人の母親のハシナ・ベグムが竹とビニールシートで作られた家族用のシェルターで子どもたちに食事を与え、生後10日のアンワー・シディークが子ども用ベッドで眠っていた時、大きな騒音が彼女の耳に入ってきたのです。

 
チャクマルクル難民避難所(バングラデシュ)2018年6月13日 ― 山腹の大部分は一瞬で崩れ落ち、シェルターは打ち壊され、梁を支えていた竹は折れてしまいました。屋根からロープで吊るしていたアンワーの子ども用ベッドは土壌で押し流されました。

 
「私たちは怯えました。死ぬのではないかと思いました」と、今は別の3家族とともに滞在している学校で、彼女は言います。「もしこのようなことが夜に起こっていたら、生きて脱出することは不可能だったでしょう」と、腕の中で赤ん坊のアンワーを寝かせながら、彼女は付け加えました。「彼が生きているのは奇跡です。アラーに感謝です。」

 
ハシナと彼女の家族は、日曜に豪雨が降り始めて以来、地滑りにより移動を強いられたチャクマルクルで生活する26世帯の1つです。この地域には24時間で100ミリメートル以上の雨が降り注ぎ、風速約70キロメールの風がシェルターに打ち付けられました。

「私たちは怯えました。死ぬのではないかと思いました」


激しい雨によって、1人の難民が亡くなり複数が負傷した37件の地滑りを含む、少なくとも89件の事故が起きたと報告されています。現時点で、約2,500世帯の難民の家族、計1万1,000以上の人々が影響を受けています。ハシナと彼女の家族がいたその地域は、特に打撃を受けており、彼女の住む区域にいる17家族は、地滑りで移動しなければなりませんでした。

 
UNHCRとパートナー団体は、数か月間にわたって、バングラデシュ政府を支え、リスクを軽減するために日夜尽力してきました。チームは新しい橋を架け、配水管を設置し、歩道を補強。8万3,000世帯以上の家族は自らをより守れるように、品質を向上させたシェルターキットを提供しています。また、3万世帯以上の家族は、強風の中でもシェルターをよりしっかり固定できるよう、ロープや鉄の杭を含むモンスーン対策の「固定」キットを受け取りました。近日中に、さらに物資が提供される予定です。

 
チャクマルクルは比較的小規模なロヒンギャ居住地の1つで、ロヒンギャ難民約1万3,000人が暮らしています。しかし、丘陵かつ低地の地形により、最も危険性が高い地域の1つでもあり、ここに住む人々は地滑りと洪水の危機にさらされざるを得ません。ハシナの夫であるマド・ラフィク(29歳)は、家族がいるシェルターにたどり着くため、山腹を切り開いた細い泥の小道を通り抜けています。

雨が降り、小道や階段が裂け、崩れ落ちています。山腹は砕かれ、丘陵にある多くのトイレは不安定に傾斜しました。残骸となったマド・ラフィクの家は、大きな梁が倒れ、脇道に傾いています。そして、竹とビニールシートでできたシェルターの脇側は崩れ落ちています。

 
「ここにはもう戻れません」と彼は言います。「私たちは他の場所、安全な場所へ移る必要があります。このようなことが再び私たちに起こるのではないかと不安です。私は、丘が私たちのところに崩れ落ちて来るのではないかと心配です。」

 
約15~20万人の難民が、地滑り、洪水、またはその両方の危機にさらされている地域で生活していると推測されています。地滑りの危険が非常に高い場所にいるとみなされた4万1,000人の難民のうち、これまでに1万4,000人以上がより安全な地域に移動しています。コックスバザールの丘陵性の地形では、さらなる平地を見つけることは非常に困難です。

 
これはモンスーンの季節の始まりにすぎず、ピークは9月初旬となります。数日間に及ぶ非常に激しい雨はすでに、昨年8月のミャンマーでの暴力行為から逃れた72万人以上のロヒンギャ難民が避難するコックスバザールの難民居住地の脆弱な環境に、過酷な影響を与えています。

 
家族は神経過敏になりつつありますが、彼らのシェルターをより強固にするためにできることをしようと努めています。居住地では、半透明のビニール袋を雨用の帽子として頭にかぶる男性が、シェルターを支える丘側を整備しようと、金属のボウルに砂土を集めていました。

 
「これが私の家です」と、ある男性が英語で小道から声をかけてきます。彼は、崩れ落ちそうな土地の片隅に佇むシェルターを指さします。下の水路では、水が急速に流れています。「昨夜もその前夜も、私たちは一睡もできませんでした」とマド・イブラヒム(23歳)は説明します。「そこに山があります。私たちは、地滑りを恐れています。私たちの命を案じています。」

 
「私たちは移動しなければなりません」と彼は主張します。「もうここでは暮らせません。」

 
Caroline Gluck

 
原文はこちら(英文)

Monsoon rains batter Bangladesh Rohingya refugee settlements

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