UNHCRはバングラデシュの冬に備えるためにロヒンギャ難民に援助物資を配布
本稿は2017年12月15日ジュネーブのパレ・デ・ナシオンで行われた記者会見におけるババル・バロックUNHCR報道官の報告の要約である
公開日 : 2018-01-05
ジュネーブ(スイス)2017年12月15日 ― ロヒンギャ難民危機から4か月近く経ち、UNHCRは難民をとりまく全般的な保護環境の悪化を一層心配しています。この状況下で、難民は様々な保護に関わる危機に直面しています。
UNHCRは12月17日(日)から、バングラデシュに最近到着したロヒンギャ難民が、数週間か数か月のうちに訪れる気温の低下に備えられるよう、衣類20万枚の配布を開始しました。
提供する衣類には大人用のショール17万枚と2歳以下の子ども用セーター1万5,000枚が含まれ、お金に換算すると150万米ドル相当の価値です。
バングラデシュ南部では雨季が終わり、間もなく気温が低くなります。1月の平均最低気温は15度です。最低気温は他の多くの地域よりも高いものの、気候に適した衣類の不足やシェルターの断熱材の不足により、少し低いぐらいの温度でも特に夜は難民が体調を崩しやすくなります。
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ロヒンギャ難民の55%を占める子ども達は特に脆弱です。女性も同様で、女性はバングラデシュにいる難民の半数以上を占めています。およそ10%の人々が障がいを持っているか、重度の病状を抱えているか、もしくは高齢で病気にかかっている状態です。
UNHCRは、より高い品質の資材を提供し、建設や排水の技術支援を増やすことによって、難民キャンプのシェルターの質を高めるために努力をしています。
UNHCRは2017年11月、シェルター戦略の第2段階として、シェルターの建設目標4万5,000軒の3分の1に当たる1万5,000軒分以上の新しいシェルター用品一式を配給しました。シェルター用品には竹のさお、縄、ビニール製のひも、道具、防水シートが含まれています。特に女性が家長である子どもがいる家族など一部の家族には、一式を運んでシェルターを建設するための支援も受けています。この配布は2018年に向けて加速します。
さらにUNHCRはここ30日間で4万個以上の救援物資を届けました。年末までに同じぐらいの量の救援物資を供給する予定です。主な救援物資は、毛布、キッチン用具一式、太陽光発電の電灯、ビニール製のシート、蚊帳、水汲み容器が入っています。
大きな空輸機がさらに2便先週到着し、キッチン用具2万6,500セット、ソーラーランプ1万5,000個とプレハブ5戸が届きました。この危機が起きて以来、UNHCRは17回の空輸を手配し、2,100トン以上、つまり900万米ドル相当の救援物資を届けました。追加援助も船で3回届けられました。
UNHCRは調理用燃料として、もみ殻固形燃料の配給も開始しました。先週UNHCRと協力団体は、もみ殻をクトゥパロン北部とナヤパラ北部に住む1万8,000以上の世帯に配給しました。難民一世帯につき19キログラムの燃料を届けました。
もみ殻は薪の代替調理用燃料として供給されています。難民の人々は若年者に木々を集めさせるために近くの森林に行かせており、これは子ども達を危険な目にあわせてしまうだけでなく、森林伐採による環境の悪化につながります。UNHCRは今後もこれらの供給を続け、年末までに8万5,000世帯への供給を目指しています。
その一方で、コックスバザールにおいてジフテリアが発生したとの報告への緊急対応として、UNHCRは、クトゥパロンにある一次滞在センターの一部を隔離施設にしました。現在センターでは国境なき医師団が375人の患者を診ています。
また、UNHCRは世界保健機関(WHO)と 国連児童基金(UNICEF)とともにバングラデシュ保険当局による6歳未満の子どもへのジフテリアのワクチン接種活動を支援しています。UNHCRは8,000人の治療をするため抗生物質を入手し、難民のボランティアがジフテリアについての知識を広げ、病気の症状を検出し、患者を保険施設に送られるように彼らを訓練しています。
2017年8月以来、およそロヒンギャ難民65万人がミャンマーからバングラデシュのコックスバザール近くの丘陵地に逃れています。現時点では、ミャンマーから国境を越えて逃れてくる難民の数は徐々に減少しています。最近ではバングラデシュに1日100人程が入国しています。
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原文はこちら(英文)
UNHCR distributes aid to Rohingya refugees ahead of Bangladesh winter
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