リビアを通過して避難する難民や移民が増加
UNHCRの調査によると、北アフリカの国々はこれまで、ヨーロッパに向かう難民や移民にとっての出発点とされてきました。しかし、危険であることは言うまでもありません
公開日 : 2017-07-27
トリポリ(リビア)2017年7月3日 ― 祖国ルワンダでの死の危険から逃れてきたミヒゴ(54歳)とその家族は、ブルキナファソ、モーリタニア、モロッコ、ニジェールを回る壮大な旅を経て、4年前にリビアに到着しました。
首都トリポリでの建設の仕事をしながら、彼は定職をみつけるのにとても苦労していました。その間、彼は強盗に遭い、暴行や人種差別を受け、妻や娘は性的暴行に苦しみました。
「これまであらゆる問題に直面しました。盗難、不当な扱い、差別、搾取、さらには妻や娘に対する性的暴行などです」と彼は話します。
残念ながら、アフリカでの紛争から逃れて北アフリカの国々に逃れる難民や移民の数は増えており、ますます多くの人がこの家族のような絶望的な窮状に陥っています。
リビアに到着する人々の一人であるソマリア人の漁師のホーダン(33歳)は、エチオピアやジブチの陸路を通り、スーダンから密航業者とともにリビアの南西部に到着しました。
ホーダンはかつてレビアナの砂漠で、見知らぬ組織に5日間拘束されたことがあります。しかし、食糧と住む場所を心底必要としていた彼にとって、ヨーロッパへの旅を続けるほかありませんでした。
「ソマリアでの紛争と政府の不在のため、故郷に帰ることはできません」
「ソマリアでの紛争と20年以上にも及ぶ政府の不在のため、私は故郷に帰ることができません」と彼は街でのインタビューで語りました。
ミヒゴとホーダンは、リビアを取り巻く移民の混在移住に関する新たな調査に取り上げられた多くの人々の一例です。この調査はUNHCRにより発表され、北アフリカの国を通る難民や移民と、彼らが遭遇する様々な危機に関して調査したものです。
リビアはほかの地域に比べて雇用機会が多く給料も最も高いため、何十年もの間、近隣諸国からの人々を受け入れてきましたが、2011年にムアンマル・アル=カッザーフィーが追放されてから混乱や不安定な状況が続いています。
調査によると、リビアに向けて旅をする人の半分はリビアで職が見つかることを期待していますが、最終的には生命を脅かすような危険や厳しい経済状況、蔓延する搾取や虐待などから逃れるため、ヨーロッパを目指して進むことになります。
リビアに向かう外国籍の人々は、様々な背景や動機を持つ人々が同じルートをたどることを意味する混在移動の流れの一部です。混在移住には、難民、庇護申請者、経済移民、保護者を伴わない子ども、環境移民、不法移民や立ち往生した移民などが含まれます。
ここ数年、北アフリカからヨーロッパに向かうために地中海を渡る人々の数は増加しました。この傾向は、死の危険とともに続く可能性があります。
リビアを通るいわゆる中央地中海ルート上での数々の災害により、2017年だけで少なくとも2,030人が航海の途中で命を落としたり行方不明になったりしました。
調査によると、リビアは、ほとんどの難民や移民が不規則に陸路でやってきます。東アフリカから出発する人々はスーダンを通り、西アフリカや中央アフリカから出発する人々はニジェールを通ります。それより規模は小さいですが、西アフリカから来る人々はアルジェリアを通過します。
サハラ砂漠を通る難民や移民にとって多少の危険はつきものであり、調査によると、6月に女性や子どもを含む旅人44人が、ニジェール北部で乗っていたトラックの事故により死亡しました。
今回の新たな調査では、現状を明らかにするため、チャド、ニジェール、アルジェリア、チュニジア、リビア、イタリアで数百人もの難民や移民、政府関係者、NGO職員、密航業者にインタビューをしました。
特に懸念されるのは、この調査により、リビアに来るほとんどすべての難民や移民が、リビアに着くまでだけで5,000米ドルも徴収する密航業者や犯罪ネットワークにやみくもに助けを求めていたと分かったことです。
料金の高騰や規模の拡大により、密航業界はより専門的で多国籍になり、武装グループが大きな役割を果たすような危険なものに成長しました。
「これまであらゆる問題に直面しました。盗難、不当な扱い、差別、搾取などです」
調査により、難民や移民の出生国やプロフィールが徐々に変化していることもわかりました。移動をしている多くは若い男性です。特に西アフリカからの流れは拡大しており、自ら計画を立てて、着実に旅をしている人々が多くいます。
この変動の結果、支援サービスの減少や治安情勢の悪化により、旅を続ける難民や移民がこれまで以上に脆弱な立場に置かれていることがこの調査でわかりました。
性的暴行を目的とした人身売買は拡大し、特にナイジェリア人やカメルーン人の女性が被害を受けています。また、保護者や同伴者がおらず一人でリビアを旅する子どもたちが増えており、現在エリトリアやガンビア、ナイジェリアなどから中央地中海ルートを通ってヨーロッパに到着する子どもの14%にも上ります。
リビアを通過する難民や移民にとってのリスクを軽減するため、この報告書はUNHCRや他の組織に、Bani Walid、Rebyana、TazerbuやKufraなど南部にある重要地点において、機動力を備えた協調介入による直接的な援助を推奨しています。
その他にも、砂漠で立ち往生した難民や移民の保護のため、国境付近の監視や救援活動が推奨されています。
By: UNHCR staff and partners
原文はこちら(英文)
Refugee and migrant flows through Libya on the rise – report