ヨルダンのアズラックで、難民キャンプでは世界初のクリーン・エネルギーを導入
太陽光発電所が初めて難民居住地域に建設されたことで、過酷な砂漠地帯に暮らすシリア難民の生活が向上するでしょう
公開日 : 2017-06-28
UNHCRはアズラックで2メガワットの新しい光電装置を17日水曜日に稼働開始しました。これで、1月以来送電網に接続されていたシェルターに暮らすシリア難民約2万人に、無料でクリーンエネルギーが提供されます。送電網は2018年初めまでに、キャンプに現在住んでいる難民3万6,000人全員に拡大される予定です。
発電所建設にかかった875万ユーロ(約960万米ドル)はIKEA Foundationの「難民キャンプに明かりを届けよう」キャンペーンでまかなわれました。これで、150万ドル分のエネルギーが節約され。その分UNHCRはほかの必要なことに出資でき、CO2排出量が年間で2,370トン減ります。
「今日という日は画期的な日です…キャンプの住民全員が尊厳のある生活を送れるようになります」

ダマスカス郊外からやってきた52歳のシングルマザーのファティマは、2015年以来成人した2人の息子と共にキャンプに住んでいます。彼女は実用面と精神面で、電気がキャンプと住民にもたらした恩恵について語りました。
「シリアではそれぞれの生活スタイルがありましたが、難民になった途端、そうはいかなくなりました」と彼女は言いました。「電気があることが当たり前の人にとっては、電気なしで生きるのがどれほど大変か、想像できないでしょう。」
ファティマと2人の息子はすでに中古の冷蔵庫、洗濯機、扇風機を買い、3つのシェルターで共有しています。
「以前は、調理するときに余ったものを安全にとっておく手段がなかったので、捨てなければいけませんでした」とファティマは説明します。「暑すぎる日には、涼むために服の上から水をかけなければなりませんでした。今、私たちは音楽を聴いたり、冷たい水を飲むことができ、日が沈んでからも日常生活を続けることができます。」
太陽光発電所の建設は、ヨルダンの施工業者ムスタクバルに雇われたキャンプの難民50人以上に収入とトレーニングを提供しました。
「太陽光発電所の建設は受入国政府、民間組織、UNHCRが協働した注目すべき例です」
モハメッド(20歳)はダマスカス郊外のゴータから、キャンプが開設されたひと月後の2014年5月にやってきました。現在すでに7年目を迎えたシリア内戦が当時勃発したため、彼はなんの修了証も持たないまま14歳で学校をやめなければなりませんでした。
キャンプで金属細工のトレーニングを受けたことがあったため、モハメッドはソーラーパネルを支える枠を作り、電気の回線を繋ぐ作業をする人に選ばれました。結果的に、彼は新たなスキルを得たためにキャンプ外での臨時雇いの仕事を見つけられたと言います。
「私は戦争と避難のために教育期間を終えることができませんでしたが、将来使えそうな実用的なスキルを得ました」とモハメッドは言いました。「もしシリアに帰ったとしてもインフラはすべて破壊されていますが、再建するためにこの技術を用いることができます。」
アズラックの太陽光発電所はヨルダンの国営送電網に接続されており、使われていない電力は全て送電ネットワークに戻され、受け入れコミュニティの電力需要をサポートしています。
「今日という日は画期的な日です」と5月17日にアズラックを訪れたケリー T. クレメンツUNHCR副高等弁務官は述べました。

「キャンプに電気を通すことは、象徴的な成果というだけでなく、キャンプの住民全員により安全な環境をもたらし、生計を立てる機会を提供しますし、子どもは暗くなってからも勉強できるようになります。それら以上に、キャンプの住民全員がより尊厳のある生活を送れるようになります」と彼女は付け加えました。
「太陽光発電所の建設は受入国政府、民間組織、UNHCRが協働した注目すべき例です」とステファノ・シヴィルUNHCRヨルダン事務所長は述べました。
「IKEA Foundationの寛大な支援とヨルダン政府との協力を通じて、アズラックに住む難民の差し迫った電気需要に対応できただけでなく、難民とヨルダン人の受け入れコミュニティーの長期的な電気需要をも支援できます。」