チャドでの農業プロジェクトがスーダン難民と地元住民の能力を高める

植えつけ、除草、収穫がスーダン難民と地元の村の人々を融合させ、女性の自立を助ける

公開日 : 2016-08-26

プロジェクトによって大きく変わった家族の生活

クトゥフ(チャド)、2016年8月16日 ― 東チャドの農村にある野菜を育てている大きな畑で、アクタ・アブダラ・バイニーは忙しそうに自分の畑の一角で除草作業を行い、翌日に市場で売るためのカブを収穫していました。

彼女は紛争から逃れて母国のスーダンを離れ、現在は500人の難民と地元住民と共に同じ土地で農作業をしています。このプロジェクトは、長期難民をホストコミュニティにより馴染みやすくさせ、同時に女性の財政的な自立にも役立つと考えられています。

Seeds for Solutions(解決のための種)という名のプロジェクトは、UNHCRとルーテル世界連盟によって考案されました。農地を見つけ、農具と種と助言を提供し、農家が自力で作物を市場に売り、自宅でも食べられるように支援するプロジェクトです。

バイニー(37歳)はスーダンのダルフール西部地域の村に2003年に紛争が迫ってきたため、5人の子どもと一緒に隣国のチャドに逃げました。最初、彼女はゴズ・ベイダというチャド人の町の近くにある難民キャンプで暮らしていました。

しかし、故郷での危機が続き、バイニーはたくさんのスーダン難民の家族と共にキャンプを去り、チャド人の町に向かいました。UNHCRの後押しで行われたこの移動は、長期難民が「キャンプを出る」戦略の一環です。

バイニーは2011年に、子どもと年老いた母と共にクトゥフ村に引っ越しました。「農作業を行い、家族を食べさせられる」ように引っ越しを決めたそうです。そこではまず25へクタールの農地と農具、そして種を与えられました。

安定した生活を確立

現在、バイニーはクトゥフのSeeds for Solutionsプログラムの一員である462人の農家(多くは女性であり、243人はスーダン難民)の一人としてすっかり落ち着いています。
女性の多くは読み書きができず、伝統的に家計費を管理することもできないものでした。しかし、変わりつつあるのです。

「この野菜なら、私に責任があり、収入の使い道を自由に決めることができます」とバイニーは農地の一角で泥だらけの手にカブを持ちながら話しました。

バイニーの農地の近くで働いているもう一人の女性は自分の野菜の周りの雑草を抜いていました。彼女は働きながら、「彼らが夫にお金を渡したら、タバコやお酒に使ったり、別の奥さんをもらったりします。Seeds for Solutionsは私が自立して働ける場を与えてくれるし、家族の面倒も見ることができるのです。」

2014年に発足してから、自立型の制度は、1万へクタールの農地があるゴズ・ベイダ地域だけで難民5,000人以上とチャド人3,000人の生活の助けになっています。

水は井戸から引かれ、太陽電力で供給されています。ルーテル世界連盟の専門家スタッフは定期的に畑を訪れ技術に関する助言をしています。

クトゥフでは、2016年に収穫した1万3,700キロ分の野菜を7割売り出したところ、3,500米ドルの売り上げがありました。農家は余った野菜を自宅に持ち帰って、毎日の食事の足しとして使用しました。食糧配給に栄養のある野菜を補足することで、家族の健康を増進することもできます。

Seeds for Solutionsプロジェクトは東チャドで長引いている難民状況に向き合っているのです、とペギー・ペントシアマネングUNHCRゴズ・ベイダ事務所長は言います。チャド国内にいる31万2,000人のスーダン難民のうち、6万2,000人はゴズ・ベイダに住んでいます。

耕作プロジェクトへの地元住民の参加は「2つの共同体の平和な共生を強化」しているため、「すぐにダルフールに安全に帰れる保証がない難民にとっては最もよい解決策です」とペントシアマネングは言います。

プロジェクトは男性にも人気

このプログラムが非常に成功した結果、最初に野菜作りに背を向けていた男性も、妻や姉妹のように農業を始めています。

「プロジェクトの成功は、野菜作りは女性の仕事であると言って、初めのうちは参加を拒否していた男性も引きつけています」とバイニーが収穫したカブの状態を確認した、ルーテル世界同盟の農業監督者アーバイン・マイホウジムは話します。

バイニーは翌日にカブを市場に持っていく準備をしていて、野菜で売り上げた収入がいかに大事であるかを理解していました。

「子どもを大学に通わせるか、または何かの専門を身につけ、彼らが自分で生きていける仕事を見つけられるようにしたいです」とバイニーは言いました。「収穫の一部で得ている少しのお金で、私は子どもの面倒を見て、子どもは自分の勉強に集中できます。」

Ibrahima Diane

詳細はこちら(英文)
Chad farming project empowers Sudanese refugees and locals

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