アイデアの力

~難民支援の新しい形~

公開日 : 2016-06-30

多くの発明品は、不便さを解消し暮らしをよりよいものにしたいという気持ちから生まれました。さまざまな難しさや不自由さが伴う難民支援の現場でも、避難生活の質を向上させたり、援助活動の助けとなる革新的なアイデアが常に求められています。今回はそのようなUNHCRの新しい支援の形をご紹介します。

キャンプの夜を変えたあかり

エチオピア南部の難民キャンプの漆黒の夜を変えたのは私たちにもおなじみのペットボトルでした。ドロアド難民キャンプでは日常生活に使うことのできる電力が不足していました。日々の暮らしに電気が必要であるというニーズは明らかでしたが、コスト面などの問題から長い間実現していませんでした。

UNHCRはフィリピンにある環境団体 (Liter of Light)と協力し、ペットボトルで作ったライトを同キャンプに導入。ライトのつくりはとてもシンプルで、LEDライトとバッテリーをペットボトルに入れ、ふた部分に太陽光パネルを取り付けるだけ。屋根に穴をあけて、パネル部分を屋根から出して取り付ければ、部屋中に電気を行き届かせることのできる充電式ライトとなり、通常の電球のような役割を果たしてくれるのです。
自分たちでつくることができるシンプルなつくりに加え、ひとつ作るのに30分程度しかかからず、材料費も10米ドル(約1,000円)以下とあって予算の面もクリアしています。少し暗くなってからもキャンプ内を歩いたり、家で勉強をするというようなことも可能になり、この地に暮らす難民のキャンプでの日常が変わりつつあるのです。

言葉と心のバリアをなくすトランスレーションカード

難民を保護するUNHCR職員

昨年はシリアの紛争から逃れるために50万人を超えるシリア難民がヨーロッパに渡りました。その長く厳しい旅の途中でもUNHCRは難民の支援や保護をおこなってきました。このような人道援助の現場では、いかに逃げてきた人たちの声に耳を傾け、状況を正確に把握したうえで早急に支援の手をさしのべるかということが重要になります。その際に不可欠なものとして、通訳やオンラインの翻訳システムなどが考えられますが、通訳の数は常に不足し、しかもインターネット環境が整っていない場所での援助活動もあることから、これらの選択肢が常にあるとは限りません。

そこでUNHCRと協力団体が協力して開発したのが「トランスレーションカード」(翻訳カード)というアプリなのです。このアプリでは、難民から頻繁に寄せられる質問をまとめたカードを作成し、その答えとともに準備しておくことができます。逃げてきた難民たちはタブレットの画面上に用意された質問カードをタップすることで、自分の国の言語で必要な情報を得ることができるのです。
このアプリが最初にテスト運用されたマケドニアでは、到着した難民が同アプリを通して、この場所で受けることのできる支援の内容を理解し、必要な書類やブランケット、軽食をスムーズに受け取ることができたといいます。アプリを利用した難民からの反応はポジティブなものが多く、この支援を通して安心を得ることができたというような声も寄せられています。言葉のバリアだけでなく、難民の心のバリアをなくす可能性を秘めたこのアプリは、今後、子どもでも分かるわかりやすい口語表現を多く取り入れるなど、さらなる改良を経て、難民支援の現場で導入されようとしています。


難民を守る。難民を支える。

UNHCRは、人道危機によって生活が脅かされた何千万もの人々を支援しています。人々が紛争や迫害によって故郷を追われるかぎり、いつ、どこであっても、彼らの権利と安全、そして命を守り、援助を届けるため、彼らの尊厳と希望を取り戻すために、UNHCRは活動を続けます。どうぞご支援ください。

※当協会は認定NPO法人ですので、ご寄付は税控除(税制上の優遇措置)の対象となります。

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