若すぎる花嫁 早婚に反対するシリア難民の少女

親友が13歳で嫁がされたあと、オマイマは早婚に反対するキャンペーンをザータリ・シリア難民キャンプ内ではじめました。

公開日 : 2016-06-01

親友が13歳で嫁がされたあと、オマイマは早婚に反対するキャンペーンをザータリ・シリア難民キャンプ内ではじめました。

シリア難民、オマイマ

オマイマがシリアからヨルダンのザータリ難民キャンプにやってきた2012年当時、11歳であった彼女は早婚という問題を知りませんでした。その後、彼女の友だちがクラスから姿を消しはじめたのです。
写真:美術学校で学ぶオマイマ

紛争によって彼女の一家が居心地がよかったダマスカスの家を捨て、安全を求めてヨルダンにやって来たころ、オマイマが優先していたことは勉強を続け、現在はほぼ8万人のシリア難民の家になっている、不規則に広がるキャンプの中で、新しい友達をつくることでした。

「私が2013年に6年生になったとき、12~13歳の女の子が結婚したという話を聞くようになりました。彼らは学校にさよならを言いに来たものです。当時は事実を知らなかったにも関わらず、彼女たちは大きな間違いを犯している、と思ったことを覚えています」と今や15歳になったオマイマは、UNHCRの訪問者に語ります。

オマイマにとってのきっかけ

彼女がこの問題を強く意識するようになったのは、大親友だったバスマが14歳の誕生日を目前にして、家族に結婚を強いられたことがきっかけでした。
写真:美術学校で学ぶ少女

「私たちはいつも一緒にいましたし、バスマはクラスでも優秀な生徒でした」とオマイマは思い出しながら話します。「彼女は結婚したくはありませんでした、けれども、ご両親は、それが彼女にとって最良の選択肢だと思っていたのです」。

ほとんどの早婚と同じように、バスマも結婚式後に学校をやめ、オマイマは二度と彼女に会うことはありませんでした。オマイマはこの出来事をきっかけに、このキャンプから同じ運命をたどる女の子が出ないようにしようと決意しました。

オマイマの活動

彼女は早婚のなにが危険かを調べ、友人たちに、両親が早婚を思いとどまるように彼らとその情報を共有するように勇気づけました。。

また、彼女は同年代の女の子たちと、この問題を話し視覚化するために、絵を描いたり演劇をするセッションを立ち上げました。結婚しようとしていた年下の女の子数人を説得し、通学を続けさせることができたとき、オマイマは、自分の努力に効果があることに気づきました。

早婚問題の詳細

ヨルダンの法律の下では、結婚可能な年齢は18歳以上と規定されています。地域の(シャリーア法下の)裁判では、子どもに最大の利益をもたらすかどうかを考慮した結果、15歳の子どもの結婚であっても許可されることがあります。この法律にもかかわらず、そして司法の最大限の努力にもかかわらず、地域のシャイフ(アラブの族長)が違法な14歳以下の女の子の非公式な結婚を執り行うことがあるのです。

シリア国内では、ザータリ・キャンプにいる多くのシリア人難民の出身地であるダラ県の郊外など、地域によっては文化的に早婚の伝統があるものの、多くの要因によって、早婚がヨルダン国内のシリア難民に広がりました。厳しい生活条件や、不安定な家計の状況によって、親が、金銭的な負担を和らげるために娘を結婚させるという決定をさせようとするのです。

紛争前のシリア全体を見ると、新郎か新婦どちらかが18歳未満の夫婦は平均13%でした。ヨルダン国内に住んでいるシリア難民の間では、2014年第1四半期までにその平均は32%に上昇しました。

UNHCRの活動

ザータリキャンプに拠点を置く、地域のシャリーア法による裁判官と連携をとりながら、UNHCRは18歳になる前に結婚しようとしているすべての人たちに早婚に関するカウンセリングを行っています。このようなカウンセリングは早期妊娠による健康面での危険など、早婚のリスクに対する認知度向上のために行われています。

結婚しようとしている子どもが15歳以下である、または結婚が強制されたものであるという証拠がもしあった場合、UNHCRは家族に対し、法的、健康的、心理的にどのような結果がもたらされるのかについての十分なカウンセリングを、政府の家族保護部門と共に行っています。これはそのような結婚が行われるのを防ごうとするものです。

ザータリ地区のソフィー・エゾールドUNHCR保護官は「身体的・心理的なリスクがあるにも関わらず、もし子どもが15歳かそれ以上であってすべての関係者が合意し、ほかのどんな特定の心配もなされない場合には、私たちがそのような早婚を防ぐことは難しいでしょう」と言います。

オマイマ自身の願い

オマイマは継続的にこの問題の解決に取り組む中で、児童保護グループと共にアウトリーチボランティアとして、2015年からセーブ・ザ・チルドレンの運営するキャンプで働いています。「女の子たちを助け、この問題に対処するために重要なことをしていることを、誇りに思います」と彼女は言います。

オマイマは、いつか結婚する日を楽しみにしているといいます。「ですが、教育課程を終え、大学に行ってからがいいです。そして、願わくば、私が結婚した時には、もはやザータリには住んでいないことでしょう」。

WRITTEN BY Charlie Dunmore
PHOTOS BY Annie Sakkab
12 April 2016 Jordan

 
詳細はこちら(英文)
Too Young to Be a Bride

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