周辺国のシリア難民に届けられた支援の形

公開日 : 2016-04-28

5年におよぶシリアの紛争の終結を目指して話し合いが行われるなか、同国国内の情勢はいまだ安定せず、社会の秩序は失われたままです。将来への展望が見えない暮らしに疲弊した人々は周辺国やヨーロッパに逃れ、その数は現在480万人以上にのぼっています。難民として逃れてきた人たちの支援のニーズは受入国の状態やその受け入れ態勢により多岐にわたりますが、UNHCRはそれぞれの状況を見極め、適切な支援を届けることに注力してきました。今回は、シリア周辺国で2015年に行われた難民支援の詳細をご紹介します。

異なるニーズに柔軟に対応する周辺各国での支援

トルコ

写真:トルコにて、UNHCRから冬服と毛布を供給され微笑むシリア難民

現在270万人以上のシリア難民を受け入れ、世界最大の受入国となっているトルコでは、すべての難民登録者の生体認証登録を完了。難民を保護し必要な支援を確実に届けるためにトルコ当局と正確な情報を共有しました。また母国を逃れた人たちが避難先で1日も早く自立した暮らしができるよう、約9,000人を対象に生計を立てるための訓練を実施するなど、将来的に避難先で難民が独立して生活を営む可能性を考えて支援の形を模索しました。

レバノン

写真:レバノンにて、生後3か月の孫娘を洗ってあげるシリア難民の女性

100万人以上のシリア難民を受け入れ、人口の5人に1人が難民という状況に直面しているレバノンでは、難民キャンプが設営されていないという特別な事情から、難民は都市部や農村地帯などで暮らしています。底辺の生活を強いられているこれらの人々のなかには、路上で生活する子どもたちの姿もみられ、UNHCRはこのような子どもたちを訪問し保護をしてきました。また、日々の暮らしとあらゆる感染症を防ぐうえでも不可欠となる清潔な水を供給するなど、UNHCRの掲げる難民保護の観点からさまざまな支援を行ってきました。

ヨルダン

写真:ヨルダンにて、都市部でテント生活を送るシリア難民の親子

ヨルダンにはアズラックとザータリという2つの難民キャンプがあります。こちらに避難しているシリア難民の数は合わせて13万人に迫り、今も増え続けています。2012年に設営されたザータリキャンプでは、難民の住む仮設住宅の老朽化も目立ちます。UNHCRは全世帯を対象に1回限定で住宅補修用現金を給付しました。この支援を通して難民自身が自ら住宅の状態を確認し、ダメージや経年変化の度合いに合わせて、それにふさわしい修復方法を考えて修理をするという自主的な動きが広がりました。このような現金給付は新たな試みでしたが、今後の支援の形として自主性を育むというひとつの方向性を示しました。

未来を見据えた第三国定住という支援

写真:オーストリアにて、小さな町で新しい生活を始めるシリア難民の兄弟

シリア難民を受け入れているこれらの周辺国では、彼らが避難先の国から第三国に再定住し、暮らしを再建できるようサポートする「第三国定住プログラム」の推進にも力を入れてきました。トルコでは2015年に8,000人以上をプログラムの対象者として登録、レバノンでは1万3,000人を登録し、うち5,000人をカナダに紹介。ヨルダンでは各国政府との協力のもと5万3,000人の枠を確保し(2015年)、慎重に審査を実施。今後もその枠は拡大する予定です。紛争当初、母国であるシリアにすぐに帰れると考えていたシリア難民たちにとって同プログラムへの関心はとても低かったといいます。ところが、終わりの見えない紛争に未来への展望を見出すことができない彼らの心はいま、揺れています。そして、いつかシリアに帰れることを願いながらも、第三国への定住に関心を持つ人が増えています。そのため第三国定住プログラムは、難民の未来を見据えた支援の形として大きな役割を果たすことが期待されています。シリア難民の10%を世界で受け入れるというミッションを掲げ、UNHCRは今後も各国政府と協働しながらシリア難民の保護に取り組んでいきます。

 

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