戦争に翻弄されたシリア人の子どもたち、ドイツの学校で再出発

公開日 : 2015-12-01

シリアから来た元気な女の子

語学の授業で集中して黒板を見ている12歳のシリア人リーン

ノイブランデンブルグ、10月29日―――ドイツ語の授業が終わると、リーンは勢いよく学校のドアを開け外に飛び出しました。秋の冷たい空気をものともしない喜びに彼女は包まれています。

「ここにいるのが好きなの」と彼女は周りを指さしながら言います。「新しい友達、素敵な学校…ここなら安全だわ。」 暖かいセーターと手袋に身を包み、彼女は少し笑ってからダンスの授業へと自転車で去っていきました。

ダマスカスから来た12歳の少女と兄のユーセフは、戦争で荒廃したシリアからのつらい旅を経て、ドイツ北東部に位置するこの町のアム・リンデタル学校で楽しく一学期を過ごしています。

戦争に翻弄される子供たち


彼女の家族はダマスカスから逃れてきました。彼らは二か月前にドイツに到着し、政府よりノイブランデンブルグに住むことが認められました。

リーンはいわゆる“失われた世代”と呼ばれる、シリア内戦が勃発した2011年から学校教育を受けられていない子どもです。彼女は70人の難民や庇護希望者と共にノイブランデンブルグの学校に入りなおし、授業の内容に追いつこうとしています。

「シリア人は教育をとても重んじていますが、シリア周辺国の状況が難民にとって悪化し、子供たちの教育に壊滅的な打撃を与えています」と、UNHCRのマーティン・レンチは語りました。「何十万もの難民の子供たちが学校に通えず、私たちは失われた世代を生み出す瀬戸際にいるのです。」

彼らが地域へ溶け込むための第一歩をサポートするのは、ドイツ語の初心者クラスを担当するディヴィッド・ティエツです。この対話型のクラスは四時間で構成されており、アフガニスタンやシリア、ウクライナからの若い庇護希望者を流暢なドイツ語話者にすべく教育が行われています。彼らは二年以上をかけて、完全に国内のカリキュラムに参加できるように見込まれています。
br /> 今年ドイツに到着する庇護希望者の多くが、ノイブランデンブルグのような街に振り分けられています。ドイツ語の勉強を続け、教育を受け続けることがとても重要なことなのです。

シリアで残虐な衝突が起きているということは、たくさんの子どもたちが身体的にも精神的にもトラウマを負っていることを意味します。2011年に戦争が始まって以来、多くの子供たちが学校に行けなくなり、何とか安定した未来を描きたくても、彼らの教育は中途半端な状態だと専門家は言います。

「紛争地域から逃れてくる人々は安全を求めてやってきますが、彼らのつらい記憶は絶えず付きまといます」とUNHCRのマーティン・レンチは言います。「UNHCRは国際的な保護を必要とする人々に対し、国家が資金を提供するトラウマ治療を提唱しています。」
リーンとユーセフもトラウマをかかえています。爆撃の最中に爆弾の破片によって負傷したユーセフは、シリアの学校に通えなくなってしまいました。彼とリーンのどちらも繰り返される悪夢に苦しんでいるのです。

故郷を追われ、生活の糧も失い、若者の親たちの多くもドイツでの新しい生活に慣れるために奮闘しています。

 

親世代への教育


ヘイトスピーチに対して絶対反対の立場をとるアム・リンデタル学校の教師たちは、コミュニティに属しているという意識を持ってもらうために、親や大人の庇護希望者も学校に通うべきであると主張しています。

その一つの方法となっていたのが、彼らを教師の仕事に就かせることです。例えば、自国で土木技師をしていたイラン人の亡命者であるイスマエルは、今では数学と物理の教師をしています。「この仕事は私の心を満たし、私の人生を形あるものとしてくれます」と彼は言います。

「庇護希望者である親たちは難民申請の手続き中は働いていない場合が多いので、家やレセプションセンターにこもり、気がめいってしまうのです」と、ヨルダンで学んでいたドイツ語教師のアンツェ・ホフェーは説明します。「私たちの学校は、交流センターの役割も果たし、親たちも参加するべきなのです」と彼女は付け加えました。

リーンとユーセフの母親であるマルワは、2011年にシリアでの内戦が始まった当時、医療ボランティアをしていました。彼女はシリアの学校で英語を学んでいたので、ノイブランデンブルグでも若者たちに教える予定です。

 

Rebecca Murray、ノイブランデンブルクにて

詳細はこちら(英文)
Shaken by war, Syrian children start over at German school

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