レバノンとヨルダン、嵐で大雪に見舞われる
公開日 : 2015-01-28
冬の嵐、多数の難民に影響

1月第2週、厳しい冬の嵐による低温、大雪、強風、激しい雨のため、レバノンとヨルダンの難民数千人は暖を取ったりシェルターを守ったりしようと苦労しました。
UNHCRのフィールド職員によると、7日朝レバノンのベッカー高原には雪が積もり、道路が通行止めになり難民数万人に影響が出ました。難民の多くは、空き地に設置された非公式の居住区850か所以上にある仮設シェルター、空き家、車庫、物置、農地で暮らしています。
難民の中にはザーレにあるUNHCRの登録センターまで嵐の中たどり着き、職員の対応を受けている人もいます。ヒーターの周りで身を寄せ合ったり、シェルターの倒壊を避けるため屋根の雪下ろしをしたりしてその日を過ごした人もいました。非公式の居住区では雪の重みで仮設シェルターが倒壊し、家屋損壊の報告があります。
標高1300から1400メートルに位置するアルサルやその郊外で状況が特に悪化しました。事業実施パートナーがテント地区を離れる家族を受け入れる体制を整えている場所に緊急シェルター6基が設置され、地元自治体が除雪作業を行っています。ベッカー高原中で、UNHCRと事業実施パートナーはシェルター修復用の材料を提供しています。毛布やマットレスなど被害を受けた物資を交換する計画も始まっています。
秋から備えるも、十分な備えは困難
UNHCRは2014年10月、最も脆弱な難民への現金、ストーブ、毛布の提供に重点を置いた冬季援助事業をレバノンで開始しました。冬季事業には現在雪で覆われたベッカー高原の多くの地区を含む標高500メートル以上の地域に暮らす人々を支援するための燃料引換券も含まれています。未完成の建物や非公式居住区で暮らす約25万人にビニールシート、木材、断熱効果を維持するための基本的な道具などが配給されました。
多くの冬の支援が行われた一方で、懸念が残されています。「最大限の努力にもかかわらず、極度の貧困に置かれ、あちこちに分散して暮らしている難民にとってレバノンの状況は不安定です」とニネッテ・ケリーUNHCR駐レバノン代表は述べました。「1700か所以上に散らばった難民に冬の数か月を通じて安全と暖かさを保障し、厳しい嵐に耐えるための十分な手段を整えるために困難を乗り越え続けなければなりません。」
国内の他地域では、悪天候でレバノン山脈やベイルート、レバノン北部や南部に暮らす難民に影響が出ています。南部では強風によりテント100張り以上が吹き飛ばされたという報告があります。
道路封鎖でいくつかの活動に影響がでていますが、レバノンのUNHCR事務所5か所で働く職員600人が嵐の中活動しています。UNHCRはニーズを調査し、対応を調整するため、事業実施パートナーや地元自治体と引き続き協力しています。嵐に備えて、UNHCRは燃料、毛布、薪、シェルターの材料の非常用備蓄を補充し、関係機関合同のチームを緊急対応のため待機させました。
ヨルダンでも寒波に備え、対応
一方ヨルダンでは、以前から降雪のあったジャラシュ、イルビッド、アジュルンに続いて、ザータリ難民キャンプでも7日昼頃雪が降り始め、数多くの難民がいる他地域にも降雪がありました。首都のアンマンでも雪が降っています。
嵐「ヒューダ」による寒波に備え、UNHCRはヨルダン国内のイラク、ソマリア、スーダンからの難民に毛布2万枚を提供し始めました。7日には、アラブ首長国連邦から寄付された毛布2万9000枚をシリア難民に配給しました。シリア難民の多くは不安定な状態で暮らしており、氷点下状態への備えができていません。
ヨルダンのUNHCR登録センターは悪天候にもかかわらず開所しており、相談窓口も全面的に機能しています。
アズラックとザータリ難民キャンプでは、嵐の到来について伝える活動が行われ、ヒーターやストーブの安全な使い方についてもアドバイスされています。追加の毛布もアズラックキャンプに届けられます。ザータリキャンプでは、人々の20パーセントが依然テントで生活しており、緊急シェルターが整備されています。しかし、まだこのシェルターへの入居はありません。
都市部や農村部で生活する最も脆弱な難民が冬を越せるようにするため、UNHCRは暖房費のような必要不可欠なものを購入するための現金を難民家族2万7000世帯に支給しました。
同時に7日、UNHCRはヨルダン各地の状況を調査し、難民の懸念に対処し、追加支援が必要な場所への配給を計画するため、職員60人以上を配置しました。
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