中央アフリカ共和国出身の難民が暮らすコンゴのキャンプで、現金支援が生活を変える
公開日 : 2014-10-24
食糧配布から現金支給へ

モール難民キャンプにある市場では9月27日朝、魚やヤギ肉、キャッサバ、野菜から、衣類、化粧品、家庭用品、電化製品まで何でも売られており大盛況でした。
ちょうど2か月前、この場所は半分しか埋まっていませんでした。世界食糧計画(WFP)が中央アフリカ共和国から来た1万3000人の難民のための食糧配給を終了し、現金支援に乗り出してからその状況は一変し、コンゴ民主共和国(DRC)北部のモールキャンプにいる人々の生活を変えました。
現金を手に入れて自立する難民たち
食糧配給は、ある食べ物がなくなってしまうなど常に混乱を生んでいました。「現在は何ら問題なくみんなが現金を受け取っています」と25歳の難民代表であるパトリック・ヌゴッコは言いました。資金はUNHCRが提供しています。
またこれらの現金支援は新たな経済状況を作りだし、人々の自立に役立っています。例えば多くの難民はキャンプ付近の市場で売るために、余分に野菜を栽培するのに忙しい一方、商人となった難民はエクアトール州の他の地域から商品を運んで、現金を持つ仲間たちに売っています。
「難民キャンプで50~60%の店は現金支給の資金によってまかなわれ、貿易量が増加することで地元の人々がこの市場に来るようになりました」と、ヌゴッコは言いました。彼はまた、「モール村は変わりつつあります。村人たちは難民キャンプにやってきて商品を売るのです。難民たちは現金を持っていますから、物はたくさん売れますよ」と付け加えました。
現金支援がもたらす私生活の変化
UNHCRから質問を受けた難民たちによれば、WFPが3か月前に難民キャンプで現金支援を開始してから、好きなものを食べたり買ったりすることができています。牛肉はささやかな贅たく品だとされているため、「牛がキャンプで殺されることが、彼らにとって幸せなのです」とヌゴッコは言いました。
「この支給によって、食事にわずかですが変化が出てきました。今食べたいもの食べる事ができます」ともう一人の難民代表であるエドウィッヂ・クポマコは話しました。彼女は魚が好きで、Oubangui川近くに住む村人たちから買っています。
52歳のアントネッチ・ヴォウボーのように、多くの難民にとって現金支援は自分の必要なものにお金を使い、残った資金で商売ができ、自立した生活に役立つと言います。2児の母親は、でんぷんの甘いキャッサバを乗せた魚料理(chickwangue)を作っています。「私がこの仕事を始めてもう1ヶ月になります」と彼女は笑顔で話しました。
現金支給のデメリット
しかし、現金支援は市場における食糧やその他商品の値上げなどの難題も生じています。また、食糧を買う割合が低いことも新たな問題となっています。難民が現金を受給すると、衣類、家庭用品、レジャー用品など、以前は買うことのできなかったものを買う人もいます。
ヌゴッコは、食糧配布が終わって現金が渡されるようになってから、食糧以外のものを買うことと栄養失調の深刻化には関連性があることを指摘しました。「食糧が配布される以前は、自動的に食べ物はありました」と彼は言い、妊婦や5歳までの子どもたちのために、補助栄養プログラムの導入を求めました。
お酒も問題の一つです。お金を持っている人、特に男性はより一層お酒を買う傾向にあります。UNHCRとその他支援機関は、アルコール依存症は家庭や難民キャンプで普通に生活している人々に影響を及ぼすため、状況を注意深く監視しています。
最も避けるべきは支援金の不足
しかしこの計画の最も大きな壁は、支援金が不足していることで、WFPはコンゴ民主共和国での食糧と現金の支援を終了せざるを得なくなります。10月末までに新たな資金が得られなければ、WFPは早急に現金支給を止めなければならないでしょう。これでは難民に食糧も現金もなくなってしまいます。
「食糧配布が現金支給に切り替わってから、中央アフリカ共和国出身の難民の生活には相当な改善がみられてきましたが、この中断は大きな悪影響を与えるでしょう」とステファノ・サバーUNHCR地域代表は言いました。
「そのため世界中で人道支援が必要ではあるものの、中央アフリカ共和国出身の難民への、現金支給と援助をこれからも支えていただけるように改めて呼びかけています」と彼は付け加えました。
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Cash grants transform life in Congo camp for Central African Republic refugees