【UNHCRからこんにちは~職員インタビューvol2./北川愛里さん~】part 2

公開日 : 2014-11-15

今週も引き続き、UNHCR職員北川愛里さんのインタビューをお届けいたします。

 

Q:アナウンサーを退職されて、大学院への進学を希望される際、「人間の安全保障」というテーマを選んだのはなぜですか?

 

A:人間って何だろうとその本質考えるような哲学に近い授業もあれば、実務者を呼んで開発や平和構築を学ぶ授業まで幅広く網羅されているのが東大の「人間の安全保障プログラム」だったんです。

 

人間の安全保障は「人間の尊厳」というものを大事にしていて、これからの社会のあり方、人の生き方を考える上で自分自身が共感できる要素が多く含まれていました。

Q:なるほど。お仕事を辞めて、進学されるということは大きな決断だったのではないですか?そこに至るまでに、何か人生の転機があったのですか?

 

A:ありましたね。仕事でもプライベートでも、いろんなことがありました。仕事とは?組織に属するとは?など色々と悩みましたが、沢山悩んだあげくみつけた答えの一つが、「どこで生きるか、どこに所属するかではなくて、自分がどう生きたいか」を明確にするということでした。

 

どう生きたいか…ですか。

 

自分が何をして、どう生きたいか、すごく冷静に長い時間をかけて考えました。暗いトンネルをひたすら歩いているような感じでした。

 

今は、トンネルのどの辺りですか?

 

トンネルは、そういう意味では、ぬけましたね。

 

Q:トンネルを無事にぬけた北川さんの現在の業務についておききしたいのですが、UNHCR駐日事務所の広報では、どういうことをなさっているのですか?

 

A:毎週、人道危機に関する詳細な情報が、ジュネーブ本部から送られてくるのですが、その中から日本のオーディエンスに向けて、どれを伝えるべきか、どのように伝えるとみんなの心に響くのかというのを考えながら、翻訳する情報をピックアップするという作業から入ります。

 

そこから、webサイトやFacebook、Twitterなどで情報発信しています。翻訳も主に自分で行っているので、翻訳作業が、全体のお仕事の8割を占める日もあります。

 

翻訳作業が8割ですか?広報ときくと、一見、華やかにもきこえますが、意外と地道な作業が多いんですね。

 

他には、難民映画祭のようなイベントのコーディネートです。あとは、海外で働いているUNHCR職員のインタビューを行ったり、機関誌を刊行するために原稿を書いたり、webの企画を担当したり、様々です。

 

現在は、「なんみん応援隊」という企画に力を入れています。

 

どうしたら、難民について知ってもらえるのだろうと考えたときに、直接、難民ではなく、難民を応援している人をフォーカスしてみたらどうかということを思いつきました。

 

ラジオで難民について発信している方や、難民を対象にネイルリストになるためのトレーニングを行なっている方など、難民をサポートしている方を通して、「同じ日本人でこんなことをしている人がいるんだ!」ということを知ってもらいたいという意図があり企画しました。

 

あとは、「旅するキッチン」というタイトルで、難民として日本にきて、現在はレストランを経営している人のお話を紹介したりもしています。

 

どうしたら興味をもってもらえるのかということを常に考えながら、業務に取り組んでいます。難民に関する数字だけではなく、顔の見える記事、共感をよぶ記事を通し、身近に感じてもらうところから、はじめていただけたらなぁと思っています。

 

-北川さんはアイディアを豊富にお持ちな方でもあるとお見受けしました。食べ物や映画からなら、まずは知るための一歩も踏み出しやすいですね。

 

Q:今のお仕事と以前のアナウンサーのお仕事って、だいぶ違うと思うのですが、現在のお仕事のやりがいはどのような時に感じますか?

 

A:前職も現在の仕事も、必ずしも自分の目の前に聞き手がいるわけではないという意味では似ています。前職であれば、ブラウン管やラジオを通して、今はWebサイトやSNS、機関誌を通して情報を伝えるので、情報の受け取り手がどのように感じたかを知る機会が少ないんです。

 

でも今の仕事をはじめてから、直接「難民とは?UNHCRとは?」というようなお話を学生を対象にする機会に恵まれています。

 

難民に関してまったく知らなかった学生に話をすることも多いのですが、しっかりとこちらのメッセージを受け取ってくれたと感じるときはとても嬉しいです。

 

他にも、毎年開催しているUNHCR難民映画祭について、TVやラジオ、新聞・雑誌などでとりあげて頂いたときはその意義を感じます。

 

難民というテーマをTVなどで取り上げてもらうことは簡単ではありません。

 

だからこそ難民映画祭のようなイベントを通して、少しでも多くの人に知ってもらうチャンスを拡げることは大きな意味を持つと思います。

 

身近な人に難民について伝えることはもちろん重要ですが、メディアが社会に与える影響の大きさも身をもって感じています。どちらも大事に広報活動をしていきたいと思います。

 

マスコミ業界でのご経験も存分に活かされているのですね。

 

次回はついに最終回です。Part3では、北川さんからのメッセージも伺いたいと思いますので、来週をお楽しみに。

 

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