【支援企業】株式会社ABC Cooking Studio

公開日 : 2012-11-01

過酷なミャンマー難民の状況。無力感を感じたその記憶は今も鮮明に

株式会社 ABC Cooking Studio創業者の横井啓之氏は、1992年に日本青年会議所が主催する「国境なき奉仕団」で、バングラデシュのミャンマー難民の現地での支援活動を行った経験を持つ。当時バングラデシュのダッカから日本円で約600万円の資金で粉ミルク、蚊帳、ランタン等の物資を購入し、トラックをチャーターしてミャンマーから逃れた難民キャンプに直接届けたのだ。しかし来る日も来る日も増え続ける難民の状況は、想像とのあまりのギャップに無力感を通り越していたという。
帰りの飛行機の中で、果たしてあの行動は、意味があったのかどうか?という疑問も。物資の倉庫は盗まれないように厳重に警備され、殺気立つ物資の配給現場、生きなければならない人間の性を目のあたりした3日間は、あまり思い出したくない現実だったようだ。

来る日も来る日も増え続ける難民に、届ける物資はすぐ底をついた
来る日も来る日も増え続ける難民に、届ける物資はすぐ底をついた

日本での豊かで平和な生活に安堵しながら、その後難民の悲惨な状況をばねにして仕事に全力を注ぐことを自分に誓う。
いつしか心の余裕ができたら、もう一度支援の手を差し伸べてみたいという思いを持ちつつ、国連UNHCR協会の赤野間理事長との出会いが再び難民支援を考えるきっかけとなる。

そして難民支援活動はたくさんの人に知ってもらい、支援の輪を少しでも広げないと立ち行かなくなるという危機感を抱き、まずは難民問題に関心を持ってもらうことが重要だと認識する。
そのためにABC Cooking Studioという企業の組織力を活用して始めたUNHCRへの支援。多くの顧客と接点があり、直接問いかける時間と機会があることは、他にはない利点である。そこに着目し受講生に難民支援を訴えかけるスタイルは、強いメッセージとなって伝わっている。

顧客にとってもわかりやすい明確な支援ゴール

クッキングビジネスの多様性を追求すると同時に、難民支援を効果的に浸透させようとする知恵は、事業を拡大し、女性の心をつかんで離さない事業才覚から生まれるものといえる。体験型エンターテインメントとも言われるABC Cooking Studioの「1 dayレッスン」は、2006年より売り上げの1%を、難民キャンプで使用する調理器具セットの購入に寄付するというわかりやすいもの。また、クッキングスタジオに募金箱を設置して受講生への支援を呼びかけている。

「世界中に笑顔あふれる食卓を」という企業理念のもと、「食」を通じて難民の「食」を支援するというメッセージも伝わる。レッスンの最後に美味しいものが食べられて、しかもチャリティに参加できるという顧客にとっての満足感は新しいスタイルともいえる。

未来を背負う子どもたちにも笑顔がなく、不安な様子はぬぐえない。

今後は難民支援のアプローチを広げ問題をより深く考え、意見を交わす場としてスタジオの提供を考えている。勿論、「食」を自ら提供し、難民が人間として生きて行くための「食」を含めて女性視点で真剣に考えるアプローチは、ABC Cooking Studioならではの試みといえる。社内でのそんな自発的な動きは、難民問題に対する社員の意識の高さを物語っている。

難民支援活動をCSRの柱に据え、事業特性を活かしながら推進し、企業価値を高めている株式会社 ABC Cooking Studio。今後も企業の理念に共感しファンが増え続けることは間違いない。

株式会社 ABC Cooking Studio

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全国にクッキングスタジオを126店舗、28万人の生徒を有する。また上海で4店舗、北京と香港でそれぞれ1店舗展開するなどグローバルに料理教室を拡大中。斬新なガラス張りのスタジオは、心地よい空間になっている。「食」のトレンドを巧みにつかみながら、常に新しい試みに挑戦し続けるスタイルは、これからも目が離せない。

ABC voice-5

2013年11月時点
http://www.abc-cooking.co.jp/

インタビュー:国連UNHCR協会(2012年11月末)

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