【支援企業】株式会社明治
公開日 : 2012-12-01
チョコレートを通じて美味しさの輪と共に広がっていく
2008年度から始まった、明治の「チョコレートで応援します」活動は毎年バレンタインデーに向けて実施されている。CSR活動もようやく社会的に認知されつつあった当時から、途切れることなく毎年続き、バレンタインの時期に販売されるミルクチョコレートの売上の一部が寄付されている。

明治はチョコレート市場ではトップメーカー。この期間に販売されるミルクチョコレートのラベル裏面には、その趣旨が記載されている。チョコレートの原料はアフリカから輸入されるカカオ豆であることから、寄付金は「アフリカの難民の子どもたちの栄養改善プロジェクト」に充当されており、2011年度の寄付金額は、7,076,082円にのぼる。
これらの活動をリードするのが菓子マーケティング部。明治らしい取り組みを模索していた中たどり着いたのが、代表商品であるミルクチョコレートを通じた社会貢献、「チョコレートで応援します」活動という。
専任課長の北林孝裕氏は、「自社の社会貢献のあり方については、本業の強みを生かすことによって長く継続することにこだわった」と話す。会社全体の共通部門としてCSR部も存在するが、製品と密接な結びつきでのCSR活動と、会社全体としてのCSR活動の両輪体制となっており、「チョコレートで応援します」活動は、菓子マーケティング部主導で実施されている。チョコレートというコア事業が軸ということで、社員にも受け入れやすいことが強味でもある。
社員に根づいた社会貢献意識
「チョコレートで応援します」活動は、国内と海外向けの支援として4つの柱があり、その1つがUNHCRへの支援である。活動の範囲は多岐にわたり、社内認知は、社員としての誇りにもつながっている。

2011年の東日本大震災の際には、菓子マーケティング部が中心となって社員に呼びかけ、震災地の子どもたちにお菓子を届けた。社員一人一人がお菓子を袋に詰め、手書きのメッセージが添えられた。震災後わずか1か月という短期間で活動が立ち上げられ、多くの社員が自発的に参加したのは、継続して行ってきた「チョコレートで応援します」活動に対する誇りと自覚が企業にしっかり根付いてきたからこそだと実感できたという。
また被災者の子どもたちからもメッセージをもらい、その手ごたえを感じてさらに活動意識が高まることにつながったようだ。「しあわせや元気」をお客様に届ける企業として、商品がもつ機能的価値だけでなく、社員一人一人が情緒的価値を高めることの大切さをあらためて実感する取り組みとなったという。
自社製品を通じて「世の中のためにもっと役に立ちたい」という願いが、着実に実現されている。「おいしさ」ということを軸に、豊かな情緒的価値をもって、消費者と長期間よい関係を維持することは、ステークホルダーに対して活動の継続性の担保となり、企業経営にとって大事な視点でもあろう。
「しあわせや元気」を届ける企業として

少人数のスタッフで、ブランドマネージャー、カテゴリーマネージャーとして製品のマーケティングに携わりながらCSR活動もリードする北林氏の話には、健全かつ継続的なCSR活動は、企業が利益を生みだして初めて可能になるが、それはあくまでも企業が果たすべき責任であり、必要以上にアピールすることではないというスタンスが垣間見られた。大震災の復興支援にしても、「商品を買っていただければ復興支援の一部に役立てます」というプロモーション的な方法は明治のスタイルではないという。
大切なことは企業の特色を生かした継続的な貢献。お菓子を通じて、子どもたちが笑顔になり、それによって社会が元気になる。北林氏からは、ひたすらそれにこだわっていきたいという熱意がひしと伝わってきた。
株式会社明治
2009年、乳業最大手の明治乳業と菓子業界2位の明治製菓が、持ち株会社方式で経営統合。2011年4月、明治グループ内事業再編により、食品事業会社「株式会社 明治」と薬品事業会社「Meiji Seika ファルマ株式会社」が発足。菓子、牛乳・乳製品、食品、から一般用医薬品の製造販売まで幅広い事業領域をカバーしている。
2013年1月時点
https://www.meiji.co.jp/
インタビュー:国連UNHCR協会(2012年12月)