イラク危機「どうぞ、私たちを忘れないで」国連UNHCR協会

モスル解放後、置き去りにされたままのイラク
今こそ支援が必要です

皆さんは覚えているでしょうか。イラク第二の都市、モスルで起こった悲劇を。
過激派組織による約3年の過酷な支配。町を奪還するための激しい空爆と戦闘。多くの尊い命が犠牲となり、ついにモスルが解放されてから約2年。激しく破壊され無残な廃墟となった町は、今も変わらず瓦礫の山のままです。
「食べ物がありません」「電気もないのです」「子どもたちは学校に行っていません」。
モスル市内でも、避難先の避難民キャンプでも、人々の暮らしは良くならず、帰還した人も避難を続ける人も、悲痛な声で助けを求めています。
幼い子を抱えて。寝たきりの家族を看護しながら。夫を亡くし帰る家も失いながら…。
想像を絶するような迫害が終わってなお、支援なしでは日々の生活もままならない人々。
世界の関心が薄れ支援が急速に減っている今、イラクの人々は希望を失いかけています。
今こそ、皆様の温かい支援の手が必要です。

イラクの避難民を今すぐ支援する

2017年6月23日、モスル旧市街の戦闘の中、歩いて避難する人々

 2014年6月  モスル制圧
過激派組織による略奪、暴力、強姦など市民への残虐行為と支配が始まる。
UNHCRはモスルの事務所を閉鎖、隣のエルビル県の事務所から職員を派遣して支援にあたる。
 
 2016年10月  イラク軍がモスル奪還作戦開始
UNHCRは軍事作戦の開始に備えモスル近隣に13の避難民キャンプを設置、37万人を保護し緊急援助に尽力。
 
 2017年7月  モスル解放宣言
市民の帰還が始まり、UNHCRは生活に不可欠な援助物資や緊急シェルターキット等を配布、人々の家の修復支援を開始。

「私がこれまで見たUNHCRの現場の中で、最悪の破壊状態です」
アンジェリーナ・ジョリー特使

(動画右下の設定で字幕をオンにしていただければ、日本語字幕が表示されます)

モスル西部を訪問したアンジェリーナ・ジョリーUNHCR特使。彼女の背後の瓦礫にはまだ不発弾や遺体が埋まったままです。

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数字で見るイラクの状況

イラク国内で避難する人174万4980人 避難先から帰還した人421万1982人 シリア難民25万3672人

国連UNHCR協会 イラク視察レポート

2019年3月、国連UNHCR協会の職員がイラクでUNHCRの活動の最前線を視察しました。そこで私たちが目の当たりにしたのは、過酷な避難生活を送る子どもたちや家族でした。

食糧も電気もない暮らし。 ヤジディ教徒・シーリーンとジュンディの一家

ベッドに横たわるジュンディと彼を支える家族

シャリヤ国内避難民キャンプで私たちを迎えてくれた女性は、シーリーン(55歳)。「私はシンジャル出身です」と自己紹介された瞬間、はっとしました。その地域はまさに、ISISに長く迫害を受けてきたヤジディ教徒の村だったからです。
夫のジュンディ(66歳)は二度の脳梗塞のために半身不随で言葉も話せず、ずっとベッドに横たわったまま、私たちのインタビューに耳を傾けていました。シーリーンは、食糧も不足し電気もない厳しい暮らしの中で懸命に夫を支えていました。月に2回薬を買いにいくそうで、結婚した息子からの助けでなんとか医療費を捻出しているとのことでした。

一家が暮らすテント。電気は通っておらず、昼でも中は薄暗い

言葉を発しないまま、涙した夫
別れ際にジュンディの枕元で「ありがとうございました」と声をかけると、言葉にならない中うめくようにして、顔をくしゃくしゃにして涙ぐんでいました。この簡素なテントにただ寝かされ、何もできない生活はどれだけ苦しいことか。本当は何と言いたかったのだろう…と、今も胸が痛みます。

「夫はISISに捕らわれ、行方不明のままです」(サラ・26歳)

サラの子どもたち。学校にも行けず、薄暗いテントで暮らす毎日

イラク・バハルカ避難民キャンプで出会ったサラは、4歳から9歳までの4人の子の母親です。薄暗いテントへ案内され座ると、雨漏りの滴が落ちてきます。年々支援は減り、食糧支援もカットされて電気もほとんど通っていないという一家。「夫はISISに捕まったままです。どうなったかは分かりません。」そう言いながらサラは夫が殺されたことを疑っていないようでした。
身分を証明するものを何一つ持たず逃げてきたため、子どもたちは学校にも通えません。サラの4歳の息子は、私たちの訪問の直前に熱を出し、体調を崩していましたが、キャンプのクリニックは薬も十分になく、サラは「外の病院に連れていくお金はありません」と声を落としました。父を失い、衣食住にも欠く4人の子どもたちの未来はどうなるのでしょうか。イラクの未来を背負うのは彼らなのです。

「日本の皆様、どうぞ今すぐのご支援をお願いします」

UNHCRイラク・バグダッド事務局 丸山千晶

イラクには現在約180万人の国内避難民、そしてシリアから避難した約25万4000人の難民がおり、約69%の難民が女性や子どもです。UNHCRイラク事務所では、長い避難生活の中、学校に通えなくなった子どもや家族を失い社会的・経済的弱者となってしまった女性、故郷に戻れず生計を立てられなくなった人々のために、教育支援・女性支援・自立支援を行なっています。イラク全土の130以上の国内避難民キャンプでは、今も多くの人々が不自由な環境の中で避難生活を送っており、シェルターの支援、食糧や水、教育・医療、保護の提供等、多岐に渡る支援が不可欠です。
今後も現地で援助活動を続けるため、皆様の温かいご支援を、何卒よろしくお願い申し上げます。

UNHCRとともに、イラク避難民を助ける

UNHCRのイラクにおける援助活動

モスルが解放されて2年近く。家を破壊され、帰りたくても帰れない人々、治安が悪く水や電気もないのを承知で、やり直そうと決意しモスルへ戻った人々。どちらを選んでも険しい道のりです。またイラクには、隣国シリアから戦闘を逃れてきた難民も多く暮らしています。多くの人が支援を待つ中、UNHCRは以下のような援助活動に尽力しています。

難民、国内避難民の保護 支援物資の提供 シェルター支援

イラクの人々を救うUNHCRのシェルター支援

家の修復のための現金給付

修復前 破壊された家(プロジェクトに登録した当初) 修復後 修復中の家の前に立つモハメド

モスルでは戦闘で家や学校、病院など多くが破壊されたままです。家を失った人々にとって、まず何よりも安全な住居を確保する支援が必要です。そこでUNHCRは「Cash for Shelter」という現金給付プロジェクトを開始。帰還民へ家の改修費の支給と研修を実施し、各家庭が必要な資材を買い建設業者を選んで、家族の状況や希望に合わせ家の修復を進めます。新たな生活を始める基盤を、人々自らが築いていくのです。
 
モハメド一家 壁に空いた大きな穴も修復
モハマドは10人家族を養っていましたが、障がいを負って働けなくなった上、ガンを患う娘の治療にお金がかかり、非常に困窮した状況でした。避難先からモスルに戻ると、家はISISの兵士の住居として使用され、空爆で激しく損壊していました。最低限の補修にも、2868 USドル(約32万円)が必要だったため、モハメドは「Cash for shelter」プロジェクトに登録。その後支援を受けて家の修理を進めています。写真は修復の60%が終わったところです。

中長期型シェルター(RHU)の提供

亡くなったカーリド夫妻の子どもたちと、提供されたばかりのシェルター

UNHCRは、一刻を争う緊急時には「緊急用テント」を提供するほか、避難生活が長期化した人々に、より耐久性の高いシェルターも提供します。イラクでは夏は気温が50℃以上、冬は氷点下になることもある過酷な気候です。RHUはこうした気候に対応し、約3年の耐久性を持つシェルターです。
※Refugee Housing Unit
 
孤児を引き取った一家に新しい家を!
カーリドは5人の子の父でしたが、政府の職員だったため、ISISの占領時に処刑されてしまいました。その後、妻と子どもたちは避難しましたが、モスル奪還のための爆撃で、妻も亡くなってしまったのです。両親を失った子どもたちを引き取ったのは叔父のジャダーン一家でした。UNHCRは、家は壊され自分たちの子どもに加え5人の子どもを育てる一家のために、2棟のRHUを支給。過酷な暮らしが大きく改善しました。

UNHCRは世界中の難民の保護と支援を行なっています。UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)は1950年に設立された国連の難民支援機関です。紛争や迫害により故郷を追われた難民・避難民を国際的に保護・支援し、水や食糧・毛布などの物資の配布や、難民キャンプなどの避難場所の提供、保護者を失った子どもの保護や心のケアなど、最前線で援助活動に尽力しています。この国連の難民支援活動を支えるため、広報・募金活動を行う日本の公式支援窓口が、国連UNHCR協会です。

モスル解放後のイラクに、今こそ支援が必要です

「食べ物も水も足りないし、病気の子どものための薬もないのです」
イラクの人々の暮らしは、訪問した私たち職員の想像を超える過酷なものでした。
食べ物や水すら不足し、電気も届かない。医療や教育も受けられない。そうした厳しい状況の中で、人々は家族の命を守るために懸命に生きています。
私たちが出会ったイラクの人々は、世界が急速にイラクの危機への関心を失い、支援が年々減っていることを肌で感じ、大きな不安を抱えていました。世界からの関心も支援も減り続けている今こそ、あなたのご支援がかけがえのない意味を持ちます。どうぞ今、温かいご支援をいただけないでしょうか。

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