難民をテーマとした映画を通じて、日本社会で理解と支援の輪を広げていくことを目的とした映画祭「難民映画祭」へ寄せられた著名人からの応援メッセージです。

MIYAVI(UNHCR親善大使/ アーティスト)
「難民」というと、どんな人を想像しますか?
着の身着のままで紛争から逃れてきた人
故郷にいられなくなり身を寄せる場所がなくなってしまった人
僕たちがメディアなどでよく見る「難民」の方たちのイメージは
どれも、重く、厳しいものです。
実際、難民支援の現場では
先行きの見えない現状、
家族や友人と離れて暮らさなければいけない日々、
衛生面でも決して安全とはいえない環境の中で
不安や緊張、ストレスが常に付きまといます。
それでも、僕は親善大使として世界中の難民キャンプを訪問する中で
彼らの「生きる強さ」そして「人としての温かさ」を目の当たりにしてきました。
僕たちと何ら変わりない“一人の人間”
紛争や戦争によって何気ない日々の暮らしを奪われ、
僕たちの想像を超える壮絶で困難な道を生き抜いてきた人たちです。
僕自身も世界各地の難民キャンプを訪問するたびに、
どれほど彼らから力をもらってきたか分かりません。
UNHCRが日本で続けてきた「難民映画祭」は、今年で18回目を迎えます。
それぞれの映画で描かれている、一人ひとりの物語。
映画というキャンバスの上で描かれる彼らの人生は、
時に残酷で、それでいて僕たちにほとばしるほどの生きるエネルギーとメッセージをくれます。
僕たちが、
この世界で一番大切にしなければならないものって何なんだろう?
誰一人、取り残さない社会
共に助け合い、高め合うことができる世界
一人ひとりにできること、役割がきっとある。
この「難民映画祭」から、その一歩を踏み出してみませんか。
UNHCR親善大使/アーティスト
MIYAVI
長野智子(国連UNHCR協会 報道ディレクター)

国連UNHCR協会 報道ディレクター
長野智子
川井郁子(国連難民サポーター / ヴァイオリニスト)

屋外に設けられたステージでヴァイオリンを演奏したのですが、子供達は食い入るように聴いてくれて、曲が終わる度に「もう一回。もう一回弾いて」と言って寄ってくるほど、熱心なお客様になってくれました。
子供達の中には、昔寄付されたヴァイオリンを熱心に練習している子達もいて、少し恥ずかしがりながら、本当に真剣に一生懸命弾いてみせてくれました。
そんな子供達の純粋でひたむきな姿に、昔、ヴァイオリンに憧れて夢中だった頃の自分を、久しぶりに思い出したのでした。
さて、数年前には、デュダメルの指揮でウィーンフィルの演奏を聴く機会がありました。
若く、輝くようなエネルギーに溢れたデュダメルには、同時に常に周りに心を配る繊細さも感じました。この映画を通して、彼が背負っている背景と純粋でひたむきな人間性を知ることができ、とても感慨深かったです。
映画に登場する、オーケストラでの演奏を通して子供達が仲間と絆を深め、夢を持って生きるプログラム「エル・システマ」。このオーケストラを、デュダメルが政治的な困難に遭いながらも信念と愛情を持って導く姿に、私も大きな勇気をもらいました。
川井郁子
茂木健一郎(脳科学者)

脳科学者
茂木健一郎
ジョン・カビラ(ラジオ・テレビパーソナリティー)

どこか遠いところのこと、と感じてしまうかもしれません。
しかし、ここ日本でも第二次大戦後の沖縄で30万人近くの人々が家を追われ、収容所での生活を強いられました。
自然災害でなく、防ぐことができる災禍を生み出す紛争、戦争、宗教闘争で生まれる「難民」。
その現状をまずは知ることからはじめてみませんか。スクリーンの前で、そう、観ることが支援につながります。
ジョン・カビラ
亀田誠治(音楽プロデューサー)

見渡せば世界で活躍する名だたるアーティストの中には、数多くの難民出身者がいます。そしてまた、難民の悲しみや傷みを知る多くのアーティストが難民支援を継続的に行なっています。
この映画祭から難民問題という今世界で起きている重い現実を知ることができます。映画を通じて見えてくるものがあり、そこには湧き上がる感情があります。
みんなおんなじ人間です。だのになぜ人間は戦争という過ちを繰り返してしまうのでしょう。
映画祭を通じてメッセージを受け取ったみなさんの思いが、難民支援につながって行きますように。
亀田誠治
丸山ゴンザレス(ジャーナリスト)

悲劇的な事件に巻き込まれた人たちは遠い世界の存在ではない。
ただ運よく回避できている私たちにできることは、明日の自分かもしれない人たちを支援することなのだ。
まずは知ること。それが最初の一歩です。
丸山ゴンザレス
ライムスター宇多丸(ラッパー/ラジオパーソナリティ)

ライムスター宇多丸
スプツニ子!(アーティスト / 東京藝術大学デザイン科准教授)

自分の国に住むことを脅かされ、去らなければならないという現実とやるせなさ。この映画を見て、世界で起こっていることを知ることから始めてみませんか。
知ることが、支援の一歩につながります。
堀 潤(ジャーナリスト)

2017年、日本のNGOの支援活動に同行してガザを訪ねた。栄養失調に苦しむ子どもたちの健康回復のため、親たちに栄養学の知識を伝え、限られた支援物資であっても栄養バランスの良い食事をつくることできるようにする取り組みだった。
パレスチナ人の女性たちでつくる地元のNPOと協力し地区毎にその活動の輪を広げていた。
訪ねる家々は停電で薄暗い。
そうした中で迎えてくれた、ある一家の家長が胸に手をあてて私たちにこんな言葉をかけてくれた。
「日本は第二次世界大戦で原子爆弾の犠牲になって焼け野原になった。しかしその後、努力を重ね見事に経済成長する国になった。そして今、日本はこうして世界の不均衡のためにその経済力を役立ててくれている。本当に感謝しています」と。
その後、シリアからヨルダンに避難している人たちが暮らす、ザアタリ難民キャンプを取材で訪ねた。元気よく走り回る子どもたちが背負っているリュックサックには日の丸がプリントされていた。日本からの支援だった。シリア人の皆さんに「日本から来た」と伝えると、「ヤバーニ!!」と言って、口々に日本に対する思いを語ってくれた。「恐ろしいあの津波の被害はその後大丈夫なのか?」と聞いてくれる人もいた。
故郷を追われ避難生活を続ける人たちに取材をすると、必ずと言って「日本」について語ってくれる人がいる。スーダン人も、ウクライナ人も、ミャンマー人も、出会う人、出会う人みんなだ。
しかし、日本に帰ってきてその現地の取材、現地の人たちの言葉を伝えるとき、その反応は極めて曖昧だ。
パレスチナで何が起きているのか。スーダンで今、どんな戦闘が起きているのか。
興味を持って私の話を聞いてくれる人が沢山いるものの、目線を落として「知らなかった」とポツリと感想を述べるシーンに毎回出くわす。
「知るところから始まりますからね!ありがとうございます!」と互いに励まし合ってその会話を終えるのだけど、いつも思うことがある。
「もう、こんな片想いはやめよう。遠く離れていても、想いあえるわたしたちでいよう」と。
難民映画祭は、きっと、そんな片想いを両想いに変えてくれるきっかけになるに違いない。
だから、応援します!皆さんぜひみてください。そして、温かな交流を。
堀 潤
犬山紙子(イラストエッセイスト)

でも私たちと同じく、人権を尊重されるべき人が尊厳を傷つけられ、故郷を奪われ、危険に晒されているということ。その数は難民、国内避難民合わせて1億人以上、74人に1人という大きな数字になっています。そのうち子どもは4000万人以上と言われていますが、今この瞬間また増えていると思うととても辛い気持ちでいっぱいです。
まずは知ることで、他人事を変えていけるのではと思います。
難民映画祭で、今世界に何が起きているのか知ることも一つの支援の始まりではないでしょうか。
たくさんの方が知るきっかけになりますよう。私も学ばせていただきます。
犬山紙子
キニマンス塚本ニキ(翻訳者/ラジオパーソナリティ)

画面のこちら側で、わたしたちは為す術もなく呟いてしまう
「むずかしい問題だよね」「いろいろ複雑なんだね」「本当にどうしようもないね」
無関心なわけじゃない。けど、それ以上どう踏み込めばいいのか分からない
真剣に向き合おうとしても無力感や罪悪感で気が重くなる
心が痛むあまり、考えることを放棄したくなる…
世界はすぐには変われないし、理想はすぐに現実にはならない
それでも、尊厳と命を守るために必死に生きる人々のストーリーを見れば、
難しいとかどうしようもないでは決して済まされないと気づくはずだ
「かわいそうだね」で終わらない未来のためにも、
スクリーンの中だけでなく、今この瞬間も不条理に抗いながら
生きようとするだれかの言葉を、姿を、難民映画祭で確かめてほしい
キニマンス塚本ニキ