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今、世界のために日本ができること。齋木 昭隆 外務省顧問 滝澤 三郎 国連UNHCR協会理事長 Profile さいき あきたか/1976年外務省入省。以降、北米局、経済局、アジア局、小渕恵三外務大臣秘書官、内閣副広報官、経済局外務参事官、アジア大洋州局長、インド駐箚特命全権大使、外務審議官(政務担当)などを経て2013年から2016年まで外務事務次官。2016年より現職。 Profile たきざわ さぶろう/1976年法務省入省。1981年国連ジュネーブ本部採用。以降、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)、UNHCRジュネーブ本部財務局長、UNHCR駐日代表、国連大学客員教授などを経て、2016年より現職。2013年4月より東洋英和女学院大学教授。

外交官一筋40年、2016年まで外務事務次官を務められ、現在は外務省顧問の齋木昭隆さん。UNHCR駐日代表など30年以上難民問題に関わってきた当協会理事長、滝澤三郎。異なる立場から「日本の国際協力」に携わってきたお二人が、日本の国際協力・難民支援について語り合いました。(司会:国連UNHCR協会 事務局長 檜森 隆信)

檜森 お二人は国際協力の分野で長年尽力されてこられましたが、その原動力は何だったのでしょうか。

滝澤 私が国連で働き始めた1981年当時は、国連で働く日本人は非常に少数でしたので、自分は日本人であるという意識を常にもたざるを得ませんでした。そんな中、心の支えになっていたのは憲法前文です。「国際社会で尊敬される存在になりたい」という誓い、この文章は私に非常に大きな影響を与えました。

齋木 とても共感を覚えますね。私も外務省に入ったとき憲法前文が頭の中にありました。日本が戦争から立ち直り国際社会の中で存在感を増していく中で、「日本の発展のために貢献したい、自分はどのような貢献をすれば良いのだろうか」と思いながらやってきました。「日本が国際社会のために貢献することが日本人全体の評判があがることにつながる。大きな意味での日本の国益や品格を高めることになる」と思って働いてまいりました。

檜森 日本からの難民支援について印象に残っていることを教えていただけますか。

滝澤 国連で働く間、いろいろな形で日本との関わりを感じていました。例えば世界各地の難民キャンプを訪れると、時折、小学校などに「この建物は日本の支援でできました」という一文と小さな日の丸の旗を見かけました。そのたびに「こんな山奥まで日本の支援が届いているのか」と感動しました。また、難民のために働く日本の若いスタッフの姿を見かけると、いつもとても誇らしく感じていました。

齋木 私は難民支援そのものを担当したことはありませんので、私の難民に関わる経験は狭いものですが、特に心に残っているのは1984年頃、当時の安倍晋太郎外務大臣が「アフリカに毛布をおくる運動」*1の一環でエチオピアの難民キャンプを訪問した際に通訳として同行したときのことです。現地でとても喜ばれたあの光景は忘れられません。訪問後も「あのエチオピアの難民はその後どうなっているのだろう」と気にかかり、以降、難民が苦しい生活環境におかれているのを見るたびに「日本はどう対応したらいいだろう」という想いが常に頭の中にありました。

檜森 昨年は日本が国連に加盟して60年という節目の年でした。国連が国際社会に果たす役割についてどのようにお考えですか。

齋木 今から60年前の1956年、日本国民は「国際社会にもう一度迎え入れられたい。日本として平和と繁栄のために一生懸命汗を流したい」という純粋な願いで国連に加盟したと思うのです。
国連は「平和をどうやって世界にもたらし維持するか。どうやって各国が繁栄を享受できるか。参加国すべてがそういった理念を目指す」という旗印を掲げている唯一の国際機関だと思います。そのような国際機関に日本が積極的に貢献し、大きな役割を果たすことは、日本外交にとって一貫した非常に大きな柱です。
基本的な考え方はシンプルで、困っている人がいたら助ける。「お互いさま」ということ。そうでないと国際機関は成立しないと思います。今、自分たちが困っているのを助けてくれる国がある。逆に自分もどこかで困っている国があったら助ける。やり方は色々とあると思います。難民問題に対しても、資金面で貢献する国もあれば、実際に人が出ていって難民たちに寄り添いながら医療や生活支援を行う国もある。難民支援について更にいえば、難民は何らかの理由でやむを得ず自国から避難しているわけですから、難民となった原因についてケースごとに分析し、どういう方法で助けるのが有効か検討することも大切です。

滝澤 齋木さんのご意見に賛同します。目の前の人を助ける。でもそれだけにとどまらず、原因まで分析して対応するという。そうなるとやはり国連しかないと思うんです。一国だけでは世界の紛争や貧困を解決にみちびくことができない。そこで国連のもとで世界が協調してやっていくということですね。現在の国連事務総長であるグテーレスさん*2はかつて難民高等弁務官としてUNHCRを率いて世界各地で数千万人の難民・国内避難民の保護・援助に取り組んできた実績があります。そのグテーレス国連事務総長も、難民問題の背景にある原因の解決に国連の力を結集したいといっている。これは正しい方向だと思います。そういう意味で、国連機関の意味は今こそ問われ、期待されていると感じます。

檜森 日本は今、国際社会にどう関わっていくべきでしょうか。

©国連UNHCR協会

齋木 私が外務省で働いていた40年間に日本の国力、責任や役割ははるかに大きくなり、各国から日本への尊敬・敬愛・信頼も強くなってきたと感じます。平和と繁栄を目指すこと、人権や自由を守ること。そういったひとつひとつについて、国際社会で責任ある国々は実現を目指してそれぞれの役割を果たさなければならない。日本は今、既にそういう立場にあると私は思います。

滝澤 最近は自分の国だけ良ければという「一国主義」の傾向がありますが、それでは結局共倒れになってしまう。難民問題においても自国の利益優先という風潮の中で、むしろ今こそ日本の出番、ここで日本が一歩前進したら、国際社会から日本への尊敬が高まるのではないでしょうか。
世界に数千万人もいる難民を助けることは国際関係を安定させるという意味で、すべての国に役立ちます。ですからもっと日本としては意識的に関わっていく必要があるのではないかと思います。

檜森 日本において難民支援の輪を広げるにはどうしたら良いとお考えですか。

齋木 日本において難民問題への関心をもっと高める広報活動が必要ですね。例えば、難民分野で目覚ましい実績をあげられたグテーレス国連事務総長に早く来日していただき、国連全体が難民問題に取り組むことの重要性、難民問題における日本の実績や貢献について語っていただくのは大切です。また、東京マラソン2017チャリティのチャリティランナー*3のように、民間の方々に自分も難民支援に貢献できるという意識づけの場を広げていくことも有効だと思います。

滝澤 私もチャリティランナーとして東京マラソン2017チャリティに参加しましたが、一人ひとりが普段の生活の中で難民支援に関わることができる場を作っていくのはとても良いと思います。日本人の持つ優しさには難民支援につながる大きなポテンシャルがあると思います。それを発揮する機会を探すことが必要だと思うんですね。

©国連UNHCR協会

齋木 2020年に東京でオリンピック・パラリンピックが開催されます。そのとき日本は世界にどういう姿を発信できるか。競技だけでなく、日本の国や国民の品格をアピールする良い機会になると思います。この地域はきれいです、おいしいものがあります、という話にとどめず、日本人が国際社会に対して優しい気持ちで色々な貢献をしてきているということも分かってもらえるような意識を高めていくことも大事ですね。
日本政府は今までも難民支援に大きな資金援助を行ってきました。それは結局、税金を納めてくださっている国民一人ひとりのおかげです。日本政府は日本が取り組んできた難民支援活動について国連と共にもっと広める努力が必要だと思います。そして国連UNHCR協会を通じた一人ひとりの方の貢献についても私たちは本当に感謝しております。そのことをぜひお伝えしたく思います。

(2017年2月2日 国連UNHCR協会事務所にて)

[*1] 1980年代半ばから現在まで続く官民合同の支援活動。

[*2] アントニオ・グテーレス国連事務総長
2005年よりUNHCRのトップ、国連難民高等弁務官を10年間務める。2017年より現職。

[*3] 東京マラソンでは、自分が選んだ寄付先団体に対して10万円以上の寄付をして出走することで、チャリティ活動の素晴らしさを発信する人を「チャリティランナー」と呼ぶ。

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