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シリア難民はなぜ今、シリアに帰るのか

写真:イラクからチグリス川を渡り、ふるさとへ戻ろうとするシリア難民

イラクに逃れて10か月、65歳のシリア難民の女性ナゾは、大きな荷物を手に2人の娘とともにシリアに戻っていきました。母国を離れるシリア難民がいまだに増えている一方で、ナゾのように避難先の国からシリアに戻る難民も実は今増えているのです。ナゾの住んでいたイラクの北部に位置するクルディスタン地域では、避難していた2万5千人のシリア人が再び去り、その多くがシリアに戻ったといわれています。5年経ってもなお紛争が続き情勢の安定しないシリアに、難民たちは今なぜ戻ろうとしているのでしょう。

多くの難民が直面する都市部の暮らしの厳しい現実とは

写真:レバノンの建築途中の建物に住むシリア難民の母親一度は諸外国へ逃れながら再び母国に戻るという決断をしたシリア難民たち。そのうち約8割の人は、避難した国の都市部で暮らす難民でした。
 
難民というと、難民キャンプで援助を受けながら生活する人々というイメージがありますが、現状世界の難民キャンプは増え続ける難民すべてを受け入れられる規模ではないことなど、さまざまな理由から、多くの難民は都市部に住む決断を迫られているのです。また都市部に暮らすと聞くと裕福なイメージがついてまわるかもしれませんが、都市部に住む難民は、高い家賃や生活費に困窮しながら生活していることが多く、その暮らしは一定の支援が届きやすいキャンプでの生活以上に過酷ともいわれています。自立して生計を立てようと試みる難民もいますが、難民を保護している国では自国民の雇用を優先する傾向にあり、難民が合法的に就労し自活することは難しく、経済的に追い詰められた生活を強いられていることがほとんどなのです。UNHCRはこのように都市部で暮らす困窮した難民の支援を続けていますが、資金不足からその援助は行き渡らず、いまだ紛争下にあるシリアに帰っていく難民は後を絶ちません。

写真:レバノンに避難したシリア難民の母親と3人の子どもたち

先日シリアに帰ったナゾの場合は、都市部での厳しい暮らしに直面していたうえに持病の治療が必要でした。また、シリアなら400米ドル程度で済むはずの治療費が、避難先のイラクではその5倍近くかかるため、その医療費も工面できないという状況だったのです。ナゾの義理の息子は言います。「シリアに戻ったところで、彼女たちの面倒をみてくれる人はいません。でも、彼女は行ってしまいました」。

紛争下にあるシリアに戻ることがどれほど危険なことか、ナゾをはじめ、シリアに戻った難民たちが、分かっていないわけではありません。また、避難先の国からシリアに帰る場合、難民申請を取り下げる必要があり、再度その国に戻って再申請をするのが難しくなるという現実もあります。それでも、ふるさとの存在は彼らにとって、希望そのものなのです。「シリアに帰るのが本当に楽しみ。ふるさとほど大切なものはないわ」。そう言い残し、ナゾはイラクを後にしました。

写真:レバノンの建築途中の建物の戸口に立つシリア難民の女の子危険を避けて他国に逃れながらも、いつ終わるとも知れない厳しい都市部での暮らしの中で郷愁の念を募らせ、帰国していくシリア難民たち。紛争が長期化するなか、今後ますます多くのシリア難民が母国に戻ることが予想されています。この命の保障のない危険な旅を思いとどまらせるためにも、都市部の難民支援により一層力を入れていく必要があります。みなさまの温かいご支援をどうぞよろしくお願いいたします。


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