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川井郁子さん/ウガンダ訪問

難民の子どもたちに音楽を届けたい。2年前に自分の娘が生まれて以来、恵まれない環境にある子どもたちのことにとても胸が痛むようになって、ほっておけない気持ちが強くなりました。ヴァイオリニストとして、私にできることは音楽のプレゼントかもしれない、そして現地の子どもたちのことを日本の皆さんにも伝えたい、という思いから、初めて、タイにある難民キャンプを訪ねたのは2007年11月。あの時に出会った子どもたちの目の輝き、あふれるエネルギーが忘れられず、次はアフリカにいる難民の子どもたちにも音楽を届けに行きたいと願い続けて来ました。ようやくその願いが叶い、2008年11月、私はついにウガンダに行って来ました。

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11月20日、首都カンパラから北西に向かって、ひたすら真っ直ぐに伸びた道を車で走らせること約4時間、キリヤンドンゴ難民居住地に到着しました。ここでは、スーダン政府から土地の提供を受け、長年にわたって農耕生活を営んで来たスーダン難民約3000人、さらに2008年5月に一時避難所から移り住んで来たケニア難民約2000人が、UNHCRの支援を受けつつ、農耕による自立した生活を営んでいます。

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第一日目の会場となった教会前の広場では、大きな木の下に椅子が並べられ、大人、子ども合わせて200人以上の人々が待っていてくれました。私達が会場に到着するや否や歓迎の歌が始まり、女の人達が次から次へと抱擁で歓迎の気持ちを表現してくれて、私はとても温かい気持ちになりました。今回の受け入れ準備をしてくださったUNHCRカンパラ事務所職員である高嶋由美子さんは、約半年前にケニアからの難民が一時避難所からこの難民居住地に移る時にUNHCR側の責任者を務めたことから、会場に来ていたケニア人の多くが高嶋さんを覚えていたのです。再会の喜びを皆が口々に、子どもたちは全身で嬉しさを表現していました。

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最初からすっかり打ち解けた雰囲気の中で、私は初めてアフリカでヴァイオリンを演奏しました。曲調や音色の変化にすぐに反応する子どもたちの表情から、ヴァイオリンの音色に込めた様々な感情をそこにいる人々と共有している、という確かな実感が伝わって、とても嬉しかったです。楽しくて、予定よりも沢山の曲を演奏しました。また、日本からのおみやげとして持参したタンバリンやマラケシュなどの楽器を数人に手渡し、リズミカルな曲に合わせて一緒に演奏したり、ノルウェー出身のUNHCR職員が母国の民謡を紹介し、私の伴奏で全員がメロディーを「ラララ」のスキャットで歌ったりしました。

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難民の子どもたちも、ケニアの歌や学校で習った歌や詩を披露してくれました。プリミティブな熱いグルーブの太鼓に合わせ、スーダンの民族音楽と踊りが始まると、私たちも思わずその踊りの輪に加わったりして、皆、大笑いしながら大いに盛り上がりました。約2時間があっという間に過ぎ、私たちがその場を去る時が来ると、人々は口々に「遠くから来てくれてありがとう!また来てね!」と満面の笑顔で語りかけてくれました。

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2日目は難民居住地内の小学校が会場となりました。広い校庭の一角にある大木のおかげで大きな影ができる場所に椅子が並べられ、全校生徒と教師や親約300人ぐらいの人々が待っていてくれました。私がヴァイオリンを弾き始めると、子どもたちは皆、興味津々の目で私を見つめ、元気なリズムになると自然と笑い声が沸きあがります。おみやげの楽器で一緒に演奏する希望者を募ると、あちこちから「やりたい!」と元気な手が上がりました。この学校の子どもたちも、音楽と踊りのプレゼントを用意してくれていました。野外にもかかわらずよく通る強い声、情熱的でリズミカルなダンス。伝統に根ざした太鼓に乗せて繰り広げられる、演奏と踊りの圧倒的なエネルギーに魅了されました。

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ケニア人グループの一人である牧師さんは、次のように話してくれました。「昨年の大統領選挙後に起きたケニアでの暴動によって、私たちは土地も財産も失ってしまいました。政府が何も保障してくれない現状では、ケニアに戻っても生活を再建する見通しさえ立ちません。農業をしたことのない私たちにとって、この居住地で農作物を作って自立した生活を営むことは容易ではありませんが、多くの支援に支えられながらがんばっています。テレビでしか聴いたことのなかったヴァイオリンの生の音に触れたのは今回が初めてで、とても感動しました。このような機会はとくに子どもたちにとって素晴らしい刺激となり、将来への希望を持ち続ける力となるでしょう。」

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21日お昼頃、帰路につこうとする私たちの車が難民居住地の中を通り抜けて行くと、大人も子どもも、すれ違う一人一人がみな、笑顔で手を振って見送ってくれました。どうか、今の逆境に負けずに、笑顔で乗り越えてほしい。子どもたちにはいつか必ず夢をつかんでほしいと心から祈らずにはいられませんでした。

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すべてが印象的で素晴らしい体験でしたが、中でも、子どもが小さな子どもを背負っている姿がもっとも私の目に焼きついています。その姿は生活の大変さも物語っているのでしょうが、それよりも、彼らの健気さ、たくましさを強く感じて深く感動したのです。恵まれた環境に住む私たちの方が学ばなくてはならないことがあるような気がしました。そして、どんな状況にあっても、子どもたちは新しいことを吸収したい、そして自分を表現したい、という気持ちにあふれていることも改めて感じました。少しでも多くの機会が難民の子どもたちに与えられるように、こらからも応援して行きたいと思います。

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