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支援の現場から

飢餓と避難に耐える、疎外されたイエメンの人々

イエメンの少数民族ムハマシーンに対する数世紀に及ぶ差別は、紛争と避難により深刻化、就職や証明書、人道支援へのアクセスを遮っています

イエメンのアムラーンにある避難所にて、水を汲みに行くマリアム(50歳)。彼女はここで13人の子どもたちを養い、世話をするために悪戦苦闘している

アムラーン(イエメン)2021年2月4日 ― マリアムが子どもたちの昼食の準備に取り掛かるのはたいてい12時過ぎでした。しかし今日、彼女を含む14人の家族はまだ朝食をとっていません。テントの隅で冷たくなった囲炉裏は、彼女たちが食事をとってから1日以上過ぎていることを、悲しくも思い出させます。

貧困と食糧難にあえぐイエメンの避難民

「ここで私は料理し、ここで私たちは眠ります」と、マリアムは石で囲まれた小さな灰の山を指さします。その隣には、今にも倒れそうな暗いシェルターの床に、擦り切れた敷物が広げられています。「ほとんどの場合、私たちは1日1回しか食事をとりません。燃料も薪もないので、何か料理するものがある時は、ペットボトルやゴミを燃やします」と彼女は語りました。

イエメン国内で避難生活を送るマリアムとその息子

2015年に紛争がぼっ発した後、マリアム(50歳)と彼女の家族は、故郷であるイエメン北西部サアダからの避難を強いられました。彼女は今、イエメンの首都サナア北部にあるアムラーン地区のカリフ地域にあるイエメン避難民受入サイトにて、他の136家族と共に、日々生き残るための闘いに直面しています。

6人の子どもを持つ未亡人であるマリアムは、彼女のきょうだいとその妻が爆撃で殺されて故郷からの避難を強いられた後、7人の姪と甥を引き取りました。栄養が足りず飢えた状態で彼女は今、13人の子どもを養い、世話をしなければなりません。

「ほとんどの場合、私たちは1日1回しか食事をとりません」

少数民族ムハマシーンへの根深い差別

イエメンでの紛争がこの国全体に大きな打撃を与える中、マリアムが属する下層階級ムハマシーンほど喪失感を感じた民族はいません。“疎外された人々”と言われるこの下層部族は、2015年に戦闘がぼっ発する前から、すでに数世紀にわたる差別と貧困の負の遺産に苦しんできました。

彼女たちが直面する根深い差別は、6世紀にアフリカからこの地へ連れて来られた奴隷の子孫としての民族的起源に由来すると信じる人もいます。彼らはたいてい町や都市の片隅にあるスラム街に閉じ込められ、経済機会は少なく、水や衛生、教育といった基本的サービスも利用できません。

この部族にまつわる疎外感を軽減するため、サナア当局は最近、彼らを“ビラルの孫”と新たに命名しました。初めて礼拝の呼びかけを導いた預言者モハメドに近い仲間であり、かつてアフリカの奴隷だった、ムスリムの世界で非常に尊敬されている歴史上の人物にちなんだ名前です。

2015年3月、紛争ぼっ発により始まった避難生活

爆撃に遭う前、マリアムは家政婦として働き、掃除や床のモップ掛けで家族を養うためのわずかなお金を稼いでいました。しかし、故郷を逃れて以来、彼女は仕事を見つけることができず、彼女の子どもの多くが必要とする学用品や、正式な証明書にかかる1万2,000イエメンリアル(約20米ドル)の費用が捻出できないままです。

「夜はとても冷えるのです」

結局、今学校へ通っているのは4人だけです。「子どもたちに本や制服を買うお金がないのです。1日1回の食事ですら賄う余裕がないのです」とマリアムは言いました。授業を受ける子どもたちは近隣の学校へ通うため、1日5キロメートルを歩かなければなりません。

教育がどんな場合でも彼らの前途を明るくするために貢献するのか、マリアムは疑わしく思っています。ムハマシーンには地位が低い、低賃金の仕事しか選択肢がないことが多いからです。彼女の養子ハサイン(20歳)はカリフ受入サイトで資源ゴミの収集販売でわずかなお金を稼ぎ、援助団体から得るわずかな支援を補っています。

「夜はとても冷えます。しかし、私たち全員分の毛布はありません。だから3人で1枚の毛布を使うのです」と、マリアムはテントの隅に折りたたまれた小さな毛布を指して語りました。

彼らに身分証がなく、いかなる部族の所属からも排除されているということも、マリアムと彼女の子どもたちの多くが食料の配給やその他の人道支援を得る資格がないことをしばしば意味しています。身分証のある子どもたち4人を基とした断片的な援助しか受けられないのです。

ムハマシーンの実際の人口は分かっていませんが、50万から350万人とも推定され、その多くはアルフダイダ、タイズ、イブ、ラヒジュ、マフウィート、ハッジャ、ハドラマウト地区に居住しています。

悪化の一途をたどるイエメン危機

食料難に苦しむイエメン国内避難民の母子

6年間の紛争により、安全を求めて国内のどこかへ避難を強いられたイエメン人は約400万人。その圧倒的大多数(76%)が女性と子どもです。

2020年だけで約17万2,000人が新たに国内で避難を強いられ、イエメンの国内避難民の数は世界で4番目に多くなりました。

イエメン国内での新たな避難の波、そして長期間にわたって避難する人々に対応するため、UNHCRは最も弱い立場に置かれた人々へ、シェルター、家庭の必需品、現金給付を含む緊急援助を提供しています。

UNHCRはマリアムと家族に数回の現金援助の給付を実施。これにより、彼女やイエメンで恩恵を受けるその他100万人が、食料を買い、医薬品や家賃、シェルターの修繕といった他の優先事項のためのお金を払うことができるのです。さらに、UNHCRはマットレスや調理器具、シェルターを建てるための資材を含む必需品も提供しています。

UNHCRから援助物資を配給されたイエメン避難民の一家

パートナー団体と連携し、ムハマシーンを含む避難家族のニーズもモニターしています。これにより、最も弱い立場に置かれた人々を見つけ出し、身分証明書を得る手助けをするための法的援助へのアクセスを含む、人道支援を受けることができるようになるのです。

こういった援助にも関わらず、数百万人がイエメンで苦しみ続けています。終わらない紛争は国中の生活状況を著しく悪化させています。UNHCRは目撃しています ― 新たな戦線によって悪化している人々のニーズへの打撃、崩壊する経済、縮小する社会サービス、生計の損失を。

UNHCR公式ツイッター:イエメン支援の現場より

ツイート訳
イエメン避難民約100万人にとって、これが家のようなものです。
私たちは、イエメンを忘れてはなりません。

この国には飢饉のような状態という脅威が迫りくる地域があり、マリアムのような母子家庭が特に飢える恐れがあることを示すデータがあります。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが収入を圧迫し、食料供給を途絶えさせる中、食料危機の規模と影響は大きくなることが予想されます。

全世界で、2020年中盤までに推定4,600万人が紛争や迫害によって国境内の自国で避難を強いられ、世界で強制避難を強いられた8,000万人のうちの大多数を占めています。

イエメンのタイズにて、間に合わせのシェルターで生活する4歳のイエメン国内避難民の少女

Jean-Nicolas Beuze

原文はこちら(英文)
Yemen’s ‘marginalized ones’ endure hunger, displacement

イエメンで人道支援を待ち続ける人 2,400万人超

UNHCRは紛争が始まって以来、イエメンで避難を強いられた人々を支え続けている数少ない団体であり、今も刻々と変化する戦況の影響により逃れてくる人々の元で援助活動を続けています。どうぞ、今すぐUNHCRの支援活動にご協力ください。

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