国連UNHCR協会は、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の公式支援窓口です。 《寄付は税控除の対象になります。》

  • 0120-540-732(平日10:00-19:00)
  • メニューを開く

支援の現場から

革新的な「キーホールガーデン」が難民の栄養改善の一翼を担う

野菜を育てるというユニークかつシンプルなアプローチが、タンザニア難民キャンプで難民の食の多様化につながる

タンザニアのキゴマ難民キャンプで孫2人と一緒にいるヴェラリー・ナタホニカブ(68歳)

ヴェナンシア・ニビタンガは家の裏から緑の野菜の束を抱えて現れると、きれいな水で念入りに野菜を洗い、それを調理用に細かく刻みます。

ンドゥタ(タンザニア)2020年10月16日 ― 彼女の3歳の娘は熱心に見守っています。

「私たちは皆お腹「娘はいつも私のそばにいます。いつの日か母親のように料理上手になるのかしら」と、彼女は笑います。

ヴェナンシア(35歳)は、1300世帯もの家族が身をよせるタンザニアの難民キャンプで、「食の多様化と栄養改善を目的とした家庭菜園プロジェクト」に携わっています。

UNHCRとデンマーク難民評議会が共同で運営するこのプロジェクトは、ヴェナンシアのような家族が、それぞれ独自のキーホールガーデンを作るのを支援し、野菜の種子、農具、農業者が必ず守らなければならない最低限のルール(good farming practices)に関するトレーニングも提供しています。

「キーホールガーデンでは一年中食料を生産できます」

タンザニア西部のキゴマ難民キャンプの難民用住宅ユニット(RHU)の外にある菜園

キーホールガーデン(鍵穴型の家庭菜園)は、高くもちあげられた円形の苗床で、現地で安く手に入れられる材料で作ります。キーホールガーデンは、コンポスト(堆肥)を作るバスケットがある中心部へ、未調理の野菜くずや、排水、肥やしを加えていけるように、鍵穴(キーホール)のような形になっています。通常の菜園と比較して、キーホールガーデンは、手間がかからず、少量の水で済み、高価な肥料は必要ありません。

「キーホールガーデンは、過酷な暑さでも1年中食料となる作物生産が可能で、1度に少なくとも5種類の野菜を育てられます」と、タンザニアにあるデンマーク難民評議会のエリアマネージャーであるオイエラ・アグネスは語りました。「これが食の多様化を促進する秘訣です。また、収穫量も多く、8人家族が食べる分の作物がとれます。」

「食の多様化と栄養改善を目的とした家庭菜園プロジェクト」に取り組んでいるタンザニアのキゴマ難民キャンプの女性

7人のシングルマザーであるヴェナンシアは、ブルンジの政治危機から逃れ、3日間の苦難に満ちた旅の後に、タンザニアに到着しました。このプロジェクトの開始前は、彼女の家族は約24万人の難民を受け入れている難民キャンプでの月1回の食料配給だけで命をつないでいましたが、十分とはいえない状況でした。

月末までに食料配給が底をつくことが心配だったヴェナンシアは、当時を振り返り、「子どもたちは1日に野菜が入っていない1食分しか食事にありつけませんでした」と説明します。「今では、子どもたちには、もっと食べるものがあり、栄養価も高いです。」

国連世界食糧計画(UNWFP)によると、アフリカ東部・アフリカの角地域の4,150万人が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックによる深刻な食料不安に直面することが推定されています。地域全体では、難民への食料配給量は30%まで削減されています。

「“食料への権利”は、基本的人権の一つです」

タンザニアでは、ここ数か月で、難民への食料配給量はじわじわと削減されており、毎月必要とされる食料バスケット(お米、小麦粉、豆、油、缶詰、調味料などの食品のパッケージ)の72%まで減らされています。この削減は、新型コロナウイルス感染症の感染リスクを軽減するために生じた食料配給のコスト増に伴う調整に因るものです。

WFPは、タンザニアで、今から2021年3月まで、毎月の食料配給が削減されることなく難民が受け取れるようにすることを目指しており、そのために2,100万米ドルの追加資金が必要と試算しています。

“食料への権利”は、基本的人権の一つです。キーホールガーデンといったプログラムは、難民やその他の強制的に避難させられた人々に、菜園を通じて自分自身が食べる作物を自らの手で育てられるといった自立支援の場を提供します。やがて、そのプログラムを通じて、食料、自給自足、そして栄養について、難民が自らの手で満たせるようになり、そのことが、人としての尊厳の回復にもつながるのです」とアントニオ・カンハンデュラUNHCRタンザニア代表は訴えます。

ヴェナンシアは、このプロジェクトを通じてさまざまな恩恵を受けているので、より多くの人々もその恩恵にあやかって欲しいと思っています。

「最初は、野菜が無くて困っている近所の人たちに、私の家の余分な野菜を分けていました」と彼女は言います。 「今は、私が近所の人たちにキーホールガーデンの作り方や、自給できるような作物の育て方を教えています。簡単で、誰にでもできることなのですから。」

タンザニアのンドゥタ難民キャンプの家の外で末娘と一緒に座るブルンジ難民のヴェナンシア・ニビタンガ

Edward Ogolla and Christina John

原文はこちら(英文)
Innovative ‘keyhole’ gardens help refugees improve their nutrition

難民を守る。難民を支える。

紛争、迫害、そして人道危機から逃れてきた難民、避難民など、多くの人々が故郷を追われている中、今ほど人道的な支援が必要とされる時代はありません。皆様からのご寄付によって多くの命が助かります。彼らを支えるため、ぜひ継続的なご支援をお願いいたします。

※当協会は認定NPO法人ですので、ご寄付は税控除(税制上の優遇措置)の対象となります

一覧ページへ戻る

国連UNHCR協会について
UNHCRを知る
UNHCRを支援する