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避難民の経験を生かして支援を行うイラクのビジネスマン

避難民としての経験

イラク、ドホーク市に避難を強いられたイラク人と一緒のファルハド・シンジャリ

イラク、ドホーク市に避難を強いられたイラク人と一緒のファルハド・シンジャリ

ファルハド・シンジャリは、自分のふるさとから逃げ出さなければならないのがどういう気持ちか知っています。今ではパリッとしたシャツとロレックスの腕時計を身に付け、成功した中年のビジネスマンになった彼も、1974年の戦闘で、彼とその家族が、イラク北部のクルド人地域の山岳地帯に逃げ込むことを余儀なくされたときはまだ子どもでした。

 

彼は1991年にもう一度、そして2003年にも再び、住んでいた地を追われました。最近の戦闘で避難を強いられた数十万人ものイラク人が、現在、彼の暮らすイラクのクルド人地域のドホーク市に避難して来たとき、彼が行動を起こしたのは、これらの経験があったからだと彼は話します。

 

「人々は路上で生活し、木の下や道端で寝ていました」と彼は言います。「私は、自分自身がこのような状況を経験し、彼らがどんな思いをしているかを知っているので、彼らを助けようと決めたのです。」

ファルハドのキャンプ

2014年初め以降、推定180万人のイラク人が国内避難民になっています。UNHCRはこの10年で最大規模の支援物資配布を展開し、人々にテントやマットレスなどの生活必需品を支給しています。一方で、あまりに緊急性の高い状況のため、ファルハドのような数えきれないほど多くのイラク人個人も、できる支援を申し出ました。

 

多くの家族がドホーク市に次々と押し寄せるようになったので、ファルハドは、テントや水、衛生施設、電気を備えたキャンプを自ら作りました。キャンプがあるのは、ドホーク市を見渡す丘の上で、主に自身が出資する数百万ドル規模の高級住宅開発地の裏手にある一画です。

 

キャンプには当初、300人ほどが身を寄せていました。最初に到着した人の多くは、ファルハドのふるさとであるシンジャールやその周辺部で行われた建設プロジェクトで、かつて彼の下で働いていた男たちです。彼らは8月に武装グループが市を占拠した際、家族とともにその一帯から逃げてきました。

 

逃げてきたアッバスを救ったもの

37歳のアッバスは4年前、ファルハドの建設プロジェクトの1つで労働者として働いていました。8月初めにふるさとから逃げてきた後、彼と妻、そして10人の子どもたちは、武装勢力に囲まれたシンジャール山で身動きが取れないまま、9日間をおびえながら過ごしました。

 

「山には食べ物や飲み物はいっさいなく、子どもたちは飢えていました」とアッバスは話します。彼らは、包囲網が破られた後、何千もの他のクルド系少数派ヤジディ教徒の家族らとともに、歩いて国境を越え、シリアに入りました。

 

そこに着いてから、驚いたことに、アッバスのもとにかつての上司から電話がかかってきました。「上司は私たちに、国境を越えてドホーク市に来れば面倒を見るよと言ってくれたのです。信じられませんでした。彼が私を覚えているなんて思ってもいなかったのです。」アッバスは、自分の家族が暮らすテントの入り口に子どもたちに囲まれて座りながら、街にいるほかの家族が未完成の建物で暮らしているのを見ると、自分は幸運だと思うと話します。

 

このキャンプのうわさが広まると、避難を余儀なくされたさらに多くの家族が到着し始めました。ファルハドの推定では、キャンプに身を寄せている人は、今では1000人にも上ります。その数は、UNHCRから家族用テント40張が供給されたことで膨れ上がりました。

きめ細かい支援

ファルハドは、子どもの衣類を供給したり、疾患のある人たちの治療に地元の医者の往診を手配したりするだけでなく、各テントに電気を供給し、専用のクーラーも付けました。

 

彼は、強制移動という自らの経験から、人々に食糧や水、避難所を提供することは課題の一部でしかないことを学んだと話します。「彼らが最初にたどり着いたとき、彼らがお腹をすかせ、のどが渇いていたことだけでなく、彼らが自分の身に起きたことを忘れられないことも問題でした。」

 

キャンプには専用の台所やパン焼き場があり、居住者は、1日に3度出される食事を用意するために、交代でパンを焼いたり、調理したりしています。また、キャンプ自体の建設や修繕の多くを手伝います。「働いて時間を過ごせば、経験してきたことをあれこれ考えずに済みます」とファルハドは説明します。

 

このやり方は効果を上げているように見えます。ある子どもたちのグループはサッカーをし、もっと小さな子どもたちはテントの間を縫って追いかけっこをし、男たちは共用の食堂でラムシチューとライスの昼食を食べながら、ワイワイガヤガヤと話をしています。

 

アッバスは、ファルハドがこれまでにしてくれたことに感謝していると言います。「もちろん、私たちの将来はこんな状況であってほしくはありません。ふるさとに帰り、子どもたちが学校に戻れるように、こんなことは終わらせてほしいです。でも今のところ、ここでの生活は快適です。この世の中に、ファルハドのような人たちがもっとたくさんいてほしいです。」

 

 

詳細はこちらから(英文)

 

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