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支援の現場から

新型コロナウイルスによる学校閉鎖で打撃を受ける難民の子どもたち

世界中の多くの避難民の子どもたちにとって、そもそも通学することは毎日の挑戦です。今、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のロックダウン(封鎖)が解除されても、子どもによっては学校に戻らない恐れがあります

ヨルダンにて、新型コロナウイルスで封鎖された先月は家でとても退屈だった、と語るムハマド(10歳)。シリアからの難民である彼はアンマン東部の小さなアパートに両親と4人のきょうだいと共に暮らしている

中米グアテマラ:2か月しか通学できなかった少年

2020年5月11日 ― イサイ* は2年間学校へ通えませんでした。その間、家族が故郷ニカラグアの社会不安から逃れ、最初は隣国ホンジュラスへ、その後にグアテマラへ避難して来たのです。

 
8歳の時、彼はついに1月、グアテマラの学期が始まる時、教室へ戻ってきました。新型コロナウイルス感染症がこの国を襲い、政府が全学校の閉鎖を命令した時、彼は友達を作り始めたばかりでした、と彼の母親リセス* は語りました。

 

グアテマラ市外にある学校が閉鎖される前、3年生の先生と学習する庇護申請者のイサイ*(8歳、グレーのジャケット)

「すべてが閉鎖される前、彼はたった2か月しか学校生活を経験しなかったのです」とリセスは言いました。「彼はとても悲しみ、動揺しています。彼にとって、再びニカラグアと同じようになってしまったのですから。」

 
新型コロナウイルスのパンデミックにより世界中の学校が封鎖される前ですら、国連児童基金(UNICEF)によれば、学生約16億人が教育を受けられず、数百万人もの避難民の子どもたちへ教室の扉は閉ざされていました。

 
学校へ通う就学年齢の難民の子どもは半数以下で、中等学校へ行けるのは4人に1人です。数か月の学校閉鎖は、最近教育機会を拡大させている難民の子どもたちにとって、そのわずかな利益を覆す危険をはらんでいます。

「教育格差が広がる恐れが大いにあります」

「教育格差が広がる恐れが大いにあります」とUNHCRで教育分野を統括するレベッカ・タルフォードは語りました。多くの国々が遠隔学習プログラムを迅速に展開する中、このプログラムを難民も利用できるようにするためになされた介入はほとんどないことに彼女は言及しました。

 
「課題はアクセスについてであり、人々が電話をもっているか、家にハードウェアがあるかです」と彼女は言いました。「また、各家族はデータ容量に余裕がないかもしれません。多くの難民キャンプは、国内のラジオ局からFM信号が届かない遠隔地域に設けられています。そのため、人々は教育放送を聞くことができません。」

中東ヨルダン:オンライン学習に苦闘するシリア難民の家族

3月中旬にヨルダンで学校が封鎖されて以来、アンマン東部に暮らすシリア難民のムスタファとシェリンは、5人の子どもたち一人ひとりが学業のために家のテレビ1台と携帯電話1台を順番に使うことができるよう、スケジュールを組む必要がありました。

故郷シリアのダマスカスから逃れた後、2013年からヨルダンで暮らすムスタファとシェリン、そして5人の子どもたち、ノア(15歳)、ファディア(14歳)、ナディア(12歳)、ムハマド(10歳)アベド(5歳)

ヨルダンの教育省はテレビで授業を放映し、携帯会社はオンライン学習プラットフォームへアクセスするための無料データを提供しています。しかし、子どもたちの先生がビデオを送るために使うワッツアップ(WhatsApp、スマートフォン向けメッセンジャーアプリ)のためにムスタファはデータを追加購入しなければならなかった、と語りました。データの追加費用によって、家族は他の出費を抑えなければなりません。

 
また、ロックダウンによって、ムスタファは普段の生計手段である廃棄プラスティック/金属のリサイクル収集ができなくなった一方、シェリンは清掃の仕事ができなくなりました。家族は食費や家賃を払い続けるためにUNHCRから受け取る月150ヨルダンダイナー(211米ドル)の現金給付に頼っていますが、この支援はすべての難民の家族が利用できているものではありません。

 

アンマン東部の自宅の外の路地に座るナディア(12歳)と末の弟のアベド(5歳)。彼女たちと他の3人のきょうだいは家のテレビ1台と携帯電話1台を交代で使っている

ヨルダンにいるシリア難民の23%は家にインターネット環境がなく、最近のニーズ調査のアンケートによると、46%は自分の子どもたちが政府のオンライン学習プラットフォームにアクセスできない、と伝えました。

 
受入コミュニティにおいて低所得の家族に属する子どもたちがデジタルの有無に影響されているように、多くが以前から長期間学校へ通えていない難民の子どもたちも同様に、語学クラスや心理社会サポートといった、学校を通じて可能となる非常に必要な付加的な支援の機会を失っています。

 
ブルガリアでは学校閉鎖に伴い、まず難民の子どもたちは機器がないため、オンライン教育に参加することで苦労していますが、UNHCRブルガリア事務所広報担当のボリスラフ・グルスタノフによれば、それだけではなく、言語の壁にも苦しんでいるのです。難民女性評議会とブルガリア赤十字社は現在、寄与されたノートPCとタブレット端末を難民の家族に提供し、NGOのカリタス・ソフィアはオンラインの語学コースを配信しています。

 
「私の5人の子どもたち全員が…オンラインの語学コースに出席しています」と、今ブルガリアの首都に暮らすシリア難民のウィサムは語りました。「私はとても幸せです…彼らは語学の学習を続けることができるのですから。しかし、オンラインのコースでは学校の代わりにはなりえません。子どもたちは友達や先生に会いたがり、学校へ戻りたがっています。」

中米ホンジュラス:ギャングの暴力にさらされる子どもたち

ギャングによって破壊されたホンジュラスで子どもたちを学校に行かせ続けることは、新たな暴力や避難を防ぐ重要な要素とみなされています。ホンジュラスの都市部では、子どもたちは犯罪ギャングの勧誘の標的となることがよくあり、学校は子どもたちが安全を感じることができる数少ない場所の1つなのです。

 
「学校は子どもたちをギャングから救うことができます」とこの中米の国の首都テグシガルパの低所得地域の学校長であるルイス* は語りました。「私たちは単なる教師ではないのです。私たちは心理学者であり、助言者であり、ガイドなのです。」

 
学校閉鎖以降、教え子たちの多くはインターネット料金を払う余裕がなく、政府の教育放送についていけるようになるためのテレビもないため、家で授業についていくのに苦労している、と彼は言いました。

アジア、バングラデシュ:教育機会の重要性

地球の半周向こう側のバングラデシュでは、新型コロナウイルス感染症拡大を抑えるための公衆保健対策として4月にロックダウンが施行される前から、コックスバザールで拡大する居住地で暮らしているロヒンギャ難民の子どもたちは教育機会を制限されていました。国中の学校は、難民キャンプの学習センター同様に閉鎖されています。

2020年1月27日、バングラデシュのコックスバザールにあるクトゥパロン難民キャンプのローズ2学習センターにて、絵を描くアスマ(8歳)

複数の援助グループは、初めて居住地の子どもたちがミャンマーのカリキュラムから学び始めることができる試験プログラムの開始を、1月のバングラデシュ政府による許可を受けて、準備していました。そんな中、数百の非公式な一時学習センターは基礎的な教育を提供し、過密したキャンプで直面する日々の苦難を忘れる機会を子どもたちに提供していました。

 
このような学習センターの1つで学習アシスタントをしている難民のバブ・ニサは、ロックダウンの一環でセンターが閉鎖されると聞いて、生徒たちは“とても動揺している”と言いました。

「学習センターは勉強だけのためのものではありません。ここで彼らは成長するのです」

「学習センターは勉強だけのためのものではありません」と彼女は言いました。「ここで彼らは成長するのです。彼らはここで教育と共に、楽しみ、軽食をとります。キャンプは混雑していて、避難所の生活状況は生徒たちがきちんと勉強するには適していません。」

 
キャンプでの携帯電話のインターネット接続が制限されているため、オンラインでの学習は不可能です。UNHCRとパートナー団体は、子どもたちが家で何らかの学習をする手助けになるよう、親や介助者たちにガイドラインを提供し、キャンプと周辺の受入コミュニティ内でインターネット接続を再開するよう働きかけています。また、バブと彼女の仲間たちは近所に住む生徒たちを訪問しようと試みています。

 
「私たちは、彼らが希望を失わず、悲しまないように勇気づけています。彼らは学びたかっていますが、私たちには彼らが家で学ぶ環境を確保できません」と彼女は言い、多くの親たちは言語スキルがないために子どもたちを手助けできない、と説明しました。

 
印刷した学習材料をつくって配給するだけではなく、UNHCRは各国政府やパートナーのNGOと共に、学校が閉鎖され続ける中、教師や親たち、そして生徒たちを支援するため尽力しています。

 
いくつかの国々において、それは難民の教師たちに報酬を払い続けること、そしてデジタル技術に新たな信頼を置く手助けをすることを意味します。

アフリカ、ケニア:選択可能な教育支援

ケニアのダダーブ・キャンプの中等学校教師であるロバート・キニャンジュイは、ここの教師たちは学習の継続を確実にするため、ワッツアップのグループやラジオ放送、オーディオ録音を通じての授業実施を含む様々な方法を使っている、と語りました。

(動画の設定で字幕をオンにしていただければ、日本語字幕が表示されます)

キャンプの生徒たちは、困難にも関わらず、学び、そしてあらゆる可能な機会を活用することをずっと熱望している、と付け加えました。

 
「私たちは選択可能な教育プログラムへの出席が少ない生徒たちをフォローします」と彼は語りました。

 
ジェニファー・ロバーツUNHCR上級教育担当官によれば、学校閉鎖によって、教育支援サービスの提供やデジタル技術の利用においていくつかの新機軸が促進されました。これらは、学校が安全に再開する準備を始めると非常に重要とみなされるでしょう。

 
「パンデミック対応によって、私たちはより良く戻し、様々な制度の弾力性を向上させる機会を与えられているのです」と彼女は言いました。

 
アフリカ西部でエボラ出血熱が発生した時期などのかつて長期的な学校閉鎖により引き出された教訓は、10代の少女たちは、教育が遅れ、学校が再開する際に復学できないリスクに最もさらされていることが示しています。

 
「私たちは今、彼女たちを支援するために独自の介入を検討し始める必要があります」とロバーツは語り、エボラで学校が閉鎖された後は就学が途絶えた子どもたちのための速習クラブが有効利用されたことを付け加えました。

 
テグシガルパの校長のルイスは、より根本的な問題に直面しています。この地域を支配するギャングの1つが、学校に誰もいないことをすぐに悪用し、彼らの活動の拠点として占領したのです。

 
「彼らが返してくれないのではないかと心配しています」と彼は語りました。

 

* 名前は個人保護のため変更されています。

 
By UNHCR Staff

 
原文はこちら(英文)
Refugee children hard hit by coronavirus school closures

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