国連UNHCR協会は、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の公式支援窓口です。 《寄付は税控除の対象になります。》

  • 0120-540-732(平日10:00-19:00)
  • メニューを開く

支援の現場から

カメルーン東部で難民の母親が未熟児を救う手助けとなる“カンガルー・ケア”

UNHCRとゲイツ財団の協同主導により、若い母親たちは命を守るためのシンプルかつ効果的な方法を取り入れています

エムビル・ヘルスセンターにて、カンガルー・スカーフを使ってアブサトを手助けする女性。アブサトは中央アフリカ共和国を逃れて以来、早産により2人の子どもを失った

アブサトは生まれてからずっと野生生物に囲まれていました。しかし最近までカンガルーを見たことはなく、言葉すら聞いたことがありませんでした。今、彼女はオーストラリアで最も有名なシンボルの1つであるこの動物の大ファンです。

 
ベルトゥア(カメルーン)2020年4月27日 ― アブサト(22歳)は、象やカバ、キリンや珍種であるフォレスト・ゴリラの故郷、中央アフリカ共和国の出身です。同郷の数千人と同様に、彼女は2年前戦闘から逃れ、それ以来カメルーン東部のガド難民キャンプで暮らしています。

 
生まれたばかりの赤ちゃんを胸に抱いてあやしながら、アブサトは言いました。「この娘は2か月早く生まれました。2キロ以下でした。私は彼女を失ってしまうのではないかと思いました。」

 
彼女はすでに2人の赤ちゃんを失ったと説明してくれました。2人とも早産だったのです。

 
今回は“カンガルー・ケア”と呼ばれるものによって、彼女の赤ちゃんの命は救われたのです。

 
それは、カンガルーがどうやって自然の中で子どもを守るのか、その方法に触発された新生児のケアのシンプルかつ独創的な形です。

(動画の設定で字幕をオンにしていただければ、日本語字幕が表示されます)

多くの幼い赤ちゃんの命を救った“カンガルー・ケア”の命綱は、忠実な肌と肌の接触です。母親の胸元に包まれて、赤ちゃんは母親の身体から発する自然の温かさから安定した体温を維持します。

 
ほとんどの病院やヘルスケア・センターでは未熟児の診察やケアをする余裕がある一方、このような遠隔地ではもっと困難で、地元の病院に電気やちゃんとした発電機がないことが多く、未熟児への特別なケアができないことによる死のリスクがあります。

 
カンガルー・ケアが紹介される前、母親たちはプラスチック容器にお湯を満たし、未熟児の周りにおいて温めていました。これだと、赤ちゃんは簡単に火傷を負いますし、水が冷めると体温も下がってしまうので、決して効果的とは言えませんでした。

 
「私たちは定期的に赤ちゃんを低体温症で失っていました。未熟児が800~900グラムで誕生すると、私たちはパニックに陥ったものです」と、ガルア・ブライ地域の主要病院で働くモニーク・メカ助産婦は説明しました。この病院は、2014年に設立され2万5,000人を受け入れているガド・キャンプから約25キロメートル離れた場所に位置しています。

 
ほとんどの新生児は、約4時間離れた場所にある、この症状のケースを取り扱うことができるベルトゥア唯一の地域病院に行く途中で死んでしまう、と彼女は付け加えました。

「私たちは定期的に、赤ちゃんを低体温症で失っていました。ほとんどの新生児は、約4時間離れた場所にあるベルトゥアの病院に行く途中で死んでしまいます。」ガド難民キャンプ近隣のガルア・ブライ病院にて、モニーク・メカ助産婦は、カンガルー方式で自分たちの赤ちゃんを世話する、中央アフリカ出身者2万3,000人の中の母親たちを手助けしている

ビル&メリンダ・ゲイツ財団によってUNHCRとパートナー団体のアフリカ人道支援アクションを通じて出資されたこのプロジェクトは、2018年暮れに始まって以来、この地域の新生児ケアを変革してきました。

 
医療スタッフはこの方式の訓練を受け、スタッフが、アブサトや生まれたばかりの息子を胸にしっかりと抱くドゥルー(23歳)のような母親たちを訓練します。生まれた時、彼はわずか2キロでした。彼は今、体が2倍になっています。

 

カンガルー・ケア方式で早産の赤ちゃんたちの命を救う東部地域にある居住地の1つ、エムビル難民居住地にて、小さい弟を背負う幼い少女

「人肌の温かさを超えた感情的な部分もあります。赤ちゃんは、何か悪いところがないかすぐに気にかける母親といつも接しています」とモニークは説明しました。

 
世界保健機構(WHO)によると、1年に2,000万人以上の新生児が2.5キロ未満の体重で誕生しています。この96%以上が発展途上国の子どもたちです。

 
カンガルー・ケアは未熟児の慣例的なケアとして推奨されています。新生児たちが臨床的に安定したらヘルスケア施設ですぐに始めるべきとされています。

 
ヤウンデをベースとして活動するUNHCR公衆保健担当官のブノア・カイェンベ医師は、カンガルー・ケアは出産に伴うリスクの多くを軽減する手助けをしている、と付け加えました。

 
「早産の赤ちゃんを主要病院へ移送させることができず、母親たちの命を脅かす高いリスクが私たちにはありました。女性たちは家で出産し、治療に昔ながらの薬を利用し、感染症のリスクを高めていたのです」と彼は説明します。

中央アフリカ難民2万3,000人が暮らすガド難民居住地にて赤ちゃんに授乳するアブサト・ドゥルー(23歳)。この赤ちゃんは生まれた時700グラムだったが、カンガルー方式のおかげで、3キロで安定している

“母親と新生児の命を守る”としても知られるこのプロジェクトは、母親の健康へのアクセスを改善し、保健スタッフへの訓練と、ヘルスセンターで出産することの重要性への女性たちの理解を拡げた、と彼は付け加えました。

 
「女性たちは自信をつけ、それによって私たちはたくさんの命を助けることができました」と彼は補足しました。

 
加えて、熱を保つ特別な繊維を使って作られたポーチに入ったカンガルー・キット700セットが、カメルーン東部にある6つの難民キャンプにいる母親たちに配布されました。しかし、ニーズは膨大です。このプロジェクトの恩恵を受けているのは、カメルーン東部でUNHCRが支援する42か所あるヘルスセンターのうちわずか6か所でしかありません。

 
エムビル・ヘルスセンターで、若い母親のグループが2つの小さな分娩室に集まります。数日前に出産を終えた若い母親4人が休んでいます。彼女たちは皆、疲れ、栄養不足に見えます。

 
「私にはこの双子に与えるミルクはなく、買うお金もありません」と、7人の子の母であるサラマントゥは説明しました。

 
限られたスペースを明らかにまさる人数や、栄養失調につながる十分な食糧の不足が、ほとんどの女性たちにとって常に問題なのです。

 
「このプロジェクトは大きな影響力を持ち、さらに広がっていくことを願います」とカイェンベ医師は語りました。

エムビル・ヘルスセンターにて、生まれたばかりの赤ちゃんのそばに座る中央アフリカ出身の母親ラビアトウ。この赤ちゃんは1.9キロで生を受けたが、カンガルー方式のおかげで安定した体重になっている

Xavier Bourgois and Melvis Lu-uh Kimbi

 
原文はこちら(英文)
‘Kangaroo care’ helps refugee moms in eastern Cameroon save pre-term babies

UNHCRの女性支援

紛争や避難に巻き込まれる女性や少女たちは、紛争や避難の中、そして避難先で、最も弱い立場に置かれます。女性たちの命と尊厳を守るため、UNHCRの援助活動にご協力ください。

※当協会は認定NPO法人ですので、ご寄付は税控除(税制上の優遇措置)の対象となります

一覧ページへ戻る

国連UNHCR協会について
UNHCRを知る
UNHCRを支援する