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支援の現場から

死の脅威により、新型コロナウイルスのロックダウンから逃れる中米の難民

自らが残忍なストリート・ギャングの標的となっている多くの中米の人々にとって、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が発生している時でさえ、避難が唯一の選択肢なのです

昨年末、メキシコのタパチュラにある避難所で、国連難民高等弁務官の訪問を待つ中米の家族

新型コロナウイルスのパンデミックの中、感染を食い止め、命を守る最善の方法として1つの戦略が明らかになりました。それは「Stay Home(ステイホーム)」、家にいることです。しかし、オスカー* にとって、エルサルバドルのギャングが荒らす近隣の地で避難することはただ選択肢ではなかったのです。

 
タパチュラ(メキシコ)2020年4月28日 ― 3月、この44歳は偶然犯罪を目撃しました。その犯人である武装ギャングは彼を追い、家族を脅したのです。このパンデミックの中でも、命がけで逃れる以外に選択肢はないとオスカーには分かっていました。

 
「警察へ行くことも考えましたが、もしそうしたら、彼ら(ギャングのメンバー)は、家族を殺す、と私たちに言ったのです」と、今もエルサルバドルに成人した息子を残すオスカーは言いました。

 
中南米で最も犯罪率が高い国の1つであるエルサルバドルで育ったオスカーは、多くの地域を暴力で支配している犯罪ギャングがどれだけ冷酷かを、その目で長年見てきました。明確かつ標的を定めた威嚇は新型コロナウイルスよりもさらに恐ろしく、死につながる可能性が高いのです。だからこそ「メキシコに行くことを決めました」と、彼は語りました。

 
彼は3月21日に施行された国の自宅待機(Stay-at-home)命令に先駆け、何とかエルサルバドルを脱出し、メキシコの国境南西部の町タパチュラに入りました。

 
そこで、オスカーは難民申請をすることができました。理由の1つは、メキシコ政府が庇護申請の登録は重要な行動だと考えているからです。これは、スペイン語でCOMARという略称で知られているこの国の難民機関がこのパンデミックの中で門戸開放を維持し、オスカーのように暴力や迫害から逃れて来る人々を国外追放する可能性を阻止する助けをしていることを意味します。

 
彼だけではありません。このパンデミックの中で逃れることの脅威が高まっているにも関わらず、故郷で広がる現実的な危機により、人々は安全を求めて外国へと避難を強いられ続けています。その1人が、ホンジュラス出身のマシウス(19歳)* です。彼はストリート・ギャングのために麻薬を売ることを断った結果、避難するしか選択肢がありませんでした。

「私の国では、私たちは脅され、恐喝されます」

3月16日にホンジュラス政府が自宅待機命令の宣言をする前の3月上旬、彼は友達と共にメキシコへ出発しました。その2日後の3月18日、ホンジュラス北部での完全なロックダウン(閉鎖)が実施され、それは今も続いています。避難は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が地域で大発生している中を旅することを意味しましたが、死につながるかもしれないウイルスに身をささらす方が、故郷のギャングに反抗するより安全な賭けに思えたのです。

 
「私の国では、私たちは脅され、恐喝されます」と、母と姉妹をホンジュラスに残し、メキシコで難民申請をしたマシウスは言いました。「このコロナウイルスは私の心配事ではありません。」

 
近年、オスカーやマシウスのような人々が記録的な数でメキシコに庇護申請をしています。そのほとんどがギャングの迫害の標的から逃れた中米の人々です。昨年、メキシコ当局は7万件以上の申請を受理しました。5年前、2014年の2,100件から上昇しています。

 
新型コロナウイルスのパンデミックにより申請のペースが緩和してきた一方、厳しい窮地に立たされている人々は健康上のリスクにも関わらず、到着し続けています。COMARのデータによれば、メキシコでは1、2月と比較すると4月上旬における1週あたりの難民申請は約90%減少しましたが、今も緊急の支援を必要としている数百もの人々が毎週申請を行っています。

 
最近の声明で、フィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官は、国境閉鎖とその他のパンデミックに関連する制限が、安全を求める権利に影響していることへの懸念を表しました。グランディ高等弁務官は各国に、難民を保護する積年の法律を尊重するよう要請したのです。

「安全な公衆衛生と難民保護は、相互的に相容れないことではありません」

「難民保護の核心をなす原則が試されています」とグランディ高等弁務官は語り、「紛争や迫害から逃れざるを得ない人々が、このウイルス対応の口実または副作用として、安全や保護を否定されるべきではありません」と付け加えました。

 
「安全な公衆衛生と難民保護は、相互的に相容れないことではありません。これは二者択一ではないのです。私たちは両方を実現しなければなりません」とグランディ高等弁務官は補足しました。「たとえ政府が国境においても、公衆衛生を守るために厳重な対策を採用したとしても、長く認識されている難民法を尊重することができるのです。」

 
また、新型コロナウイルスによって、世界で最も弱い立場に置かれている難民、庇護申請者、国内避難民は、乏しい収入源を脅かされ、さらに危険にさらされています。さらに、多くの難民、特に受入国に新たに到着したばかりのオスカーやマシウスのような難民は、しばしば感染予防対策が困難な生活状況に置かれます。

 
パンデミックの中、メキシコでは数十の避難所が、新規到着者への門戸を閉鎖しました。その一方、他の避難所では、安全な距離(ディスタンス)を保つことが困難になっています。そのため、UNHCRは隔離部屋を作るといったような、避難所における追加の予防策を手助けしています。またUNHCRは、庇護申請者が宿泊施設を借りることができるよう援助して、避難所の混雑を緩和させる手助けもしています。3月上旬以来、庇護申請者が自分で宿泊施設を借りて、より容易にフィジカル(ソーシャル)ディスタンスを維持できるように、UNHCRは3,300人以上に現金給付を実施しました。避難所には手洗い施設を設置し、数千の衛生セットも配給しました。

 
メキシコの難民当局COMARのアンドレ・ラミレス統括責任者は、このパンデミックにおいて国際的な保護は“基本的な権利”であり続ける、と述べました。

 
「迫害、蔓延する暴力、故郷での組織的な人権侵害を経てやってくるこの人々はひどく脆弱な状況にあるので、メキシコ政府は彼らを最優先とします。とりわけこの健康上の緊急事態は、最も弱い立場に置かれた人々に最も厳しい打撃を与えるのですから」とラミレス担当官は語りました。

 

* 名前は個人保護のため変更されています。

 
Pierre-Marc René

 
原文はこちら(英文)
Death threats drive refugees to flee coronavirus lockdown

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