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支援の現場から

廃墟に戻り、再建支援を受けるイラク避難民の農家

2014年、ISISの侵攻によって2年間避難していたヤスリブのイラク帰還民は、農場再興のための灌漑/故郷再建プロジェクトの恩恵を受けています

イラクのヤスリブにある村の農場でオクラを収穫するマトラ・ヌサエフ

「私たちがここを離れた時、木に実っていたオレンジはこんなに大きかったのです」と、自分たちの農場から逃れた夜について語る時、風雨にさらされた2つの手で果実の思い出をめぐらしながら、マトラは言います。「帰還すると、木々はすべて焼き落ち、何も残っていませんでした。」

 
ヤスリブ(イラク)、2019年12月2日 ― 2014年半ば、ISISの武装勢力がこの地域を掃討した時、マトラ(60歳)は家族や他の多くの村人たちと共に、バグダッドから50キロメートル北にある農業集落のヤスリブを逃れました。

 
「辛い夜でした」と彼女は言います。「彼らは私たちにロケット兵器を発射していたのです。私たちは何とか逃れましたが、苦難の夜でした。」

 
2年間の避難を強いられ、2016年、彼女はついに農場へ帰還できました。しかし、そこで惨状と化した光景を目の当たりにしたのです。「すべてが違っていました」とマトラは語りました。「戻ってみると、農場は焼き払われ、私たちの衣服も含め、すべてがなくなっていました。」

「農業は私の生活です」

簡素でも落ち着いた生活を支えるのに十分なオレンジ、ザクロ、ブドウ等の農作物をかつて生産していた場所で、退却する部隊に傷つけられた故郷や農場では、もはや売れるだけの作物を収穫することはできませんでした。

 
「農業は私の生活です。農業がなければ、私たちは生き延びられません。収穫し、売る。しかし今は、ただ食べるために植えています」とマトラは説明します。夫と共に暮らしていた農業用の母屋付きの小さなアパートは火事で破壊され、他の家族6人と部屋をシェアして眠らなければなりませんでした。

家族写真に写るマトラ(下列の一番右)と夫(左)と、その家族

近隣に住むクタイバ(22歳)にも、同じようなストーリーがありました。彼の家族は4,000平方メートルのブトウとリンゴ、ザクロの木の畑を所有しています。サーマッラーの近隣都市で2年間避難して父親の教員の給料を頼って何とかやっていた後に農場へ戻ると、彼が生活の糧にしていた農場は破壊されていたのです。

 
「帰還すると、心が砕けました」とクタイバは語りました。「農場は荒れ果て、家は焼け落ちていたのです。」彼らは再建のため、困難かつ費用のかかる仕事を始めました。家を離れる前に生計を立てていた農場から始め、次に家に移り、1部屋ずつ修繕しました。

 
「私たちにとって、この農場はすべてです」とクタイバは説明します。「植え直しには時間がかかります。私たちに収穫があったのは(2016年以来)今年が初めてです。以前、生活はより良いものでした。お金、家、車、牛…私たちは多くを失いました。今、生活にはさらにお金がかかり、かつ困難です。」

 
推定1万2,000人のヤスリブ住民が2014年に避難を強いられ、これまでに、そのうちの約8,500人がこの地域に帰還しました。イラク全体では、2014年以来、約600万人が紛争により避難を強いられ、約430万人が故郷へ帰還しましたが、約160万人が今も避難をしています。

 
UNHCRはイラク全土で、避難民と帰還民の両方に支援を提供するため、尽力しています。ヤスリブでは、電気変圧器の設置、水処理施設の再建、橋やこの地域の主要な用水路の修理を含む、数々の優先的なプロジェクトに出資しています。

「修理は大きな助けになりました」

「水は私たちの生活にとって不可欠です。水がなければ(植え直した)木々が全部死んでしまいます」とクタイバは言います。「用水路は戦争中に破壊されました。だから、修理は私たちが再び仕事をするための大きな助けとなりました。」

 
また、UNHCRはマトラのような人々を手助けし、破壊された家の修繕、窓やドアの付け替え、損傷した壁の張り付けや塗り替えを実施しました。再建業務の規模は莫大で、その証拠として、人々がこの地を離れた時に武装勢力によって破壊され、崩れ落ちた家は列になって並んでいます。しかし、少なくとも帰還民には一筋の光があります。

 
「これは私たちの土地、私たちの祖先の土地です。もちろん、私はこの土地にとても愛着があります」とクタイバは説明します。「私たちは最初に帰還した家族の1つです。たとえすべてが破壊されても、私たちは自分たちの土地で尊厳を持って生きたかったのです。戻って来た時の気持ちを表現できません。(そして今)私はより良い未来を楽しみにしています。」

(動画右下の設定で字幕をオンにしていただければ、日本語字幕が表示されます)

Charlie Dunmore and Edith Champagne

 
原文はこちら(英文)
Returning to ruins, displaced Iraqi farmers find help to rebuild

イラク危機「どうぞ、私たちを忘れないで」

皆さんは覚えているでしょうか。イラク第二の都市、モスルで起こった悲劇を。過激派組織による長期の過酷な支配。町を奪還するための激しい空爆と戦闘。
世界からの関心も支援も減り続けている今こそ、あなたのご支援がかけがえのない意味を持ちます。どうぞ今、温かいご支援をいただけないでしょうか。

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