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世界最大の難民地帯で、人身売買業者に対処する

UNHCRは、クトゥパロン難民居住地において、被害を受けやすいロヒンギャ難民を拉致や人身売買から保護するために、バングラデシュ当局と密接に活動しています

クトゥパロン難民居住地内の子どもが集う場所にいるロヒンギャの子どもたち(2019年7月)。居住地の住民の半分以上が、大人よりも人身売買や拉致の被害に遭いやすい子どもたち

サラ* の息子モハメッド*(7歳)が、バングラデシュ南東部にある巨大なクトゥパロン難民居住地から誘拐され、彼女は歩いて彼を探し始めました。

 
クトゥパロン(バングラデシュ)、2019年12月2日 ― 「丸1週間、私は何も食べていません。ただ彼を探しにキャンプ内をすみずみまで歩きました。足の感覚がなくなりました」と、彼女は話します。

 
この難民居住地は、世界で最も大きなものです。約90万人の無国籍のロヒンギャ難民の居住地であり、その大多数は2017年8月にミャンマーでの武力攻撃から避難した人々です。

 
拉致や人身売買に遭う危険性は比較的低いですが、しかし現実に起きていることです。今年はこれまでに、UNHCRとパートナー機関は、難民居住地において170件以上の行方不明者、拉致や誘拐の事件に介入してきましたが、実際の事件数はさらに多い可能性があります。

 
ロヒンギャ難民は、バングラデシュの貧しい家族と同様に、人身売買の被害に遭いやすいのです。人身売買の犠牲者たちの多くは、結果的に、強制労働や奴隷労働、国内奴隷となったり、性目的のために取引されることになります。

 
サラはモハメッドに二度と会えないことを恐れて、UNHCRに彼が行方不明になったことを報告し、UNHCRは即座に行動に移しました。

「丸1週間、私は何も食べていません。ただ彼を探しにキャンプ内のすみずみまで歩きました。足の感覚がなくなりました」

コミュニティー支援ボランティアは、竹材とプラスチック敷布で作られている、無秩序に広がる居住地に住む家族を訪問し、UNHCRのパートナー機関、TAIという名称の技術援助会社で働いている弁護士に報告しました。キャンプを担当しているバングラデシュの地方自治体の職員は、報告を受けて警察に連絡しました。その時までに、モハメッドが行方不明になってからすでに4日間が経っていました。

 
サラは、彼が行方不明になったことは彼女の夫の家族との争いに関係していると確信しました。アメッド* は、マレーシアで仕事を探すために、2012年に漁業用のトロール船に乗ってミャンマーのラカイン州を去りました。故郷では農民だった彼は、政府によって移動や有給の就業が制限されていたことにより、家族を支えることが出来ませんでした。彼は、家族と再会したいと望んでいますが、書類がないため困難に直面しています。

 
サラは、義理の両家族が、サラはアメッドが2人の息子のために送って来たお金を蓄えていたと疑っていたのだと信じています。彼女は、彼らが金銭をゆすり取るために、自分を脅して一番幼い息子であるモハメッドを誘拐したのだと警察に話しました。

 
彼女が弁護士や警察に対してその疑念を打ち明けると、彼らはすぐに彼女の義理の兄(弟)とその他の家族に尋問しました。彼らは、結果的に、モハメッドがクトゥパロンから車で約90分のコックスバザールの町にある家にとどめられていることがわかりました。

 
3日後、警察は家宅捜索で彼が拘束されているのを発見しましたが、それ以外に被害は受けていませんでした。彼は何日もの間、きちんと食事をしていませんでした。彼が解放されてから、心理支援職員がTAIとともに、モハメッドや彼の家族と密接に関わりました。

 
「彼は、精神的に深くショックを受けていました。食べることさえできませんでした。私たちは彼を助けるためにあらゆる方法を取り、彼の家族に言葉をかけました。私は、彼が心の傷を癒していくのを助ける方法を家族に伝えました。今、彼は学習センターに戻って通い、以前よりだいぶ回復してきています」と、支援職員は話します。

 
この事件に関わったバングラデシュのキャンプの担当者は、当局は毎日、家庭内暴力、性的暴行、子どもの保護問題や行方不明の子どもを含め、幅広い事件に対処している、と話しました。

 
「女性と子どもが最も被害を受けやすいのです。どんな緊急的な状況においても、彼らは精神的にショックを受けます。人々は、最も被害を受けやすい人を搾取し、教育を受けていない人を食い物にするのです」と、彼は語ります。「しかし、誰もがここでの対応の一部を担っています。とても大変ですが、協力はうまくいっています。」

 
今年になって現在まで、UNHCRに行方不明の報告があった170人のうち、64件が未解決のままである一方、106件の事案はうまく解決しました。しかし、バングラデシュで最も貧しく発展が進んでいない地域の一つであるコックスバザール県では、おそらく多くの事案が報告されずに終わっています。この地域では、2年前にロヒンギャ難民の大量流入が始まるかなり前から、人身売買のネットワークがしっかりと形成されていたのです。

「人々は、最も被害を受けやすい人を搾取し、教育を受けていない人を食い物にするのです」

UNHCRは、バングラデシュ政府を支援し、かつパートナー機関と密接に活動し、支援する難民の安全を確保する責任があります。9月には、UNHCRは、人身売買の事件をマッピングして分析し、協力を強化していくために、国際移住機関(IOM)と共同で活動を主導する反人身売買ワーキング・グループ活動団体の立ち上げに尽力しました。

 
UNHCRは、救援活動に対する法的助言、法的代理人、仲介や協力を提供していくために、様々なパートナー機関と共に活動しています。また、難民の保護を強化するために、コミュニティー内での意識向上キャンペーンも行われています。

 
難民と受け入れコミュニティーが合法な権利と適法な手続きへの権利を持つことを保証し、彼らを保護するための施策を取ることは、12月17日と18日にジュネーブで行われるグローバル難民フォーラムにて取り上げられる予定の議題の一つです。この会議では、民間部門、人権・開発団体及び政府が一堂に会します。

 
モハメッドを捜し、解放するために尽力した弁護士のアブドゥル・ラフマンにとっては、キャンプにおける法務に関する意識向上は確かな効果があると確信しています。

 
「以前は、より多くの拉致の事案があり、今よりも悪い状況でした。しかし、難民らは、徐々に法律を学び、彼らが行使することのできる法的手段があることも学んできています。より多くの人々が法的支援を受けることで、誘拐事件の数が減少します」と、彼は話します。「行動に変化があることがわかるでしょう。これは最も重要な要素です。」UNHCRは、キャンプの至るところで、メッセージを発信しています。

 
モハメッドの母親にとっては、彼の回復と安全な帰還を確保するために様々な機関によって行われた迅速な行動がすべてを意味しています。

 
サラは、「私はついに彼と再会した時、苦しみと喜びから気を失いました」と語り、彼女の話を信じて行動を取ってくれたことについて、UNHCR、弁護士、そして警察に感謝しました。

 
「もし彼らが動いてくれなければ、私は今息子がどこにいるのか知ることはなかったでしょう。私は、要求された金銭を払うことが出来ずに、彼らは息子の身を売っていただろうと思います」と、彼女は付け加え、息子を強く抱きしめました。

 
* 個人情報保護のため、名前を変更しています。

 
Louise Donovan

 
原文はこちら(英文)
Taking on traffickers at the world’s largest refugee site

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