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支援の現場から

絵本で子どもたちにインスピレーションを与え続ける元ソマリア人難民

ケニアの難民キャンプで育ったハブソ・モハマドが世界中の子どもたちに伝えたいメッセージは「私たちこそが変化の主人公」

ワシントンDCの学校で行われた朗読会の最中にてハブソ・モハマドが質問に答える

児童書『必要なのはたった1つのイエス(原題:It Only Takes One Yes)』の主人公である小さな女の子ナスラは、「私がジャングルの女王だったらいいのに……」と夢見ています。女王だったらホームレスを助けたり、お腹をすかせている人に食べ物をあげたり、皆が本を読めるように本がなる木を作れるのに……と彼女は思っていました。

 
ワシントンD.C.(アメリカ合衆国)、2019年4月22日 ― でもナスラは気づきます。前向きな変化を起こせるようになる日を待っている必要はないんだと。「変化を起こせる力は私の心の中に前からあったんだ」と彼女は悟ります。「今この瞬間こそが踏み出す時なんだ」と。

 
ナスラのこの思いは、ソマリアから来た24歳の元難民であるハブソ・モハマド自身の思いです。本の中のナスラの人生はハブソの実際の人生によく似ていて、彼女はこの2つの物語を学校の子どもたちと共有するために、アメリカ各地を回って朗読会を行っています。

 
ハブソの伝えたいメッセージは明確です。それは、「自分がどこにいても、どんな状況に出くわしても、自分をあきらめたり夢をあきらめたりしないで」ということです。

「彼らは難民になりたくてなったわけではありません」

ハブソ自身も多くの障壁を克服しなければなりませんでした。ケニアのダダーブ難民キャンプで育った彼女は、毎日45分歩いて学校に通わなければなりませんでした。それでも彼女は授業を欠席することは決してありませんでした。たとえその日1日を乗り切るための食べ物を買うお金がなかったとしても。

 
「教育への愛はまさに難民キャンプにいた時に生まれたんです」とハブソは説明します。「どんなに学校が家から遠かったとしても、絶対にこのチャンスを逃したくなかったんです」

 

ワシントンD.C.の図書館を訪問する児童書作家であり元ソマリア人難民のハブソ・モハマド

ハブソと両親、そして9人のきょうだいは、UNHCRによる照会を経て、2005年に米国に定住することになりました。世界規模の強制退去が増加しているにもかかわらず、今日、第三国定住のチャンスを手にできる難民は数えるほどしかいません。2018年時点で、第三国定住を必要としている難民約120万人のうち、実際にできたのは5万5,692人だけでした。

 
一家はまず、夏真っ盛りのニューヨークに到着しました。「自分たちが実際にアメリカにいるとは思えませんでした」とハブソは当時を思い出します。「私は、『雪はどこ?』って感じだったんですよ」。ですが最終的に一家はミネソタ州北部に落ち着き、それ以降長年にわたり、彼女は雪を楽しんだり、また「雪に耐える」経験をしました。

 
10歳のハブソにとって、新しい環境になじむのは容易ではありませんでした。不安や落ち込みを感じることもしばしばでした。「難民キャンプでの記憶がよみがえってきて……」と彼女は言います。ハブソは12歳の時から6年間セラピーに通い、病院にしばらく入院していた時期もありました。

 
「私はただ、皆と同じようになりたいだけだったんです」と彼女は言います。ですが、彼女のいたコミュニティでは心の健康について発言することは恥ずかしいこととされていました。

 
ハブソは、自分自身の話をすることで、難民や心の健康に関する既成概念に挑戦したいと思っています。

 
「私たちは(難民を)重荷と捉えるべきではありません」と彼女は言います。「彼らが別の人生を歩めるように、可能な限りあらゆるチャンスを与えるべきです。彼らは難民になりたくてなったわけではないのですから。」

「自分をあきらめたり、夢をあきらめたりしないでください」

ハブソは絵本の枠を超えて活動を行っています。彼女は、ソーシャルメディアや電子メールで子どもたちの質問に直接答えたり、子どもたちを励ましたりサポートする活動にも力を入れています。

 
朗読会の際、ハブソは毎回本の主人公のナスラに合わせてスカーフの上から白い水玉模様の赤いバンダナを結んでいます。

ワシントンDC地区の中学校で行われた朗読会の後にポーズを取る児童書作家であり元ソマリア人難民のハブソ・モハマドと生徒たち

少し前のある冬の朝、ワシントン地区の学校で、ハブソは11歳と12歳の約20人の子どもたちの前に立って大きな声で本を読み上げました。ハードカバーのこの本は、子どもたちに絵がよく見えるように特別に特大仕様で作られたものです。前列に、熱心に話を聞いている金髪の髪をポニーテールにしたブリジットという小柄な女の子がいました。

 
7ページ目になるとハブソは声を止め、大きな声で文字を読んでくださいと子どもたちに言いました。そこには「私たちこそが変化の主人公」とありました。

 
朗読が終わると、ハブソの人生についてもっと知りたいと思った子どもたちから、難民キャンプの家は何でできていたの? 難民キャンプに住んでいた時に一番大変だったことは何? アメリカで一番好きなことは何?といった質問が飛び交いました。

 
朗読会が終わった後、幼いブリジットは涙をこらえながら恥ずかしそうにハブソに近づきました。何と言っていいのかわからない様子を見せながら、彼女はただハブソをぎゅっと抱きしめました。

児童書作家であり元ソマリア人難民のハブソ・モハマドの著書『必要なのはたった1つのイエス(原題:It Only Takes One Yes)』の朗読会後にハブソを抱きしめる若いファン

ハブソはこの初々しい少女に話しかけて、夢は何?と尋ねました。ブリジットは『必要なのはたった1つのイエス』の本に書かれたハブソからのメッセージを見て、環境のためになる発明をしたい、と教えてくれました。本には「ブリジットへ。あなたは賢くて強い。そしてあなたは世界を変えることができるのよ。ハブソより」というメッセージが書かれていました。

 
Marta Martinez and Arielle Moncure

 
原文はこちら(英文)
Former Somali refugee inspires children with illustrated book

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