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支援の現場から/最新ニュース

イエメンで見た、衝撃的な規模の人々の苦悩

UNHCRのバソール・アハメッドが、戦火のイエメンでの任務の中で目の当たりにした恐怖を語る

イエメンのダラワン居住地にて、家族が暮らす間に合わせのシェルターの外に立つ少年

私は中東におけるさまざまな人道危機に取り組んできて、イエメンの紛争についてのニュースは数年間追ってきました。しかし、3か月前ここに来た時、私を待ち受けていた人道危機の規模は、これまで読んだり、経験したりしてきた全てを超えていました。

 
イエメン、2019年2月26日 ― 到着する前から、イエメン国内では、極度の飢餓に苦しむ約1,000万人を含む、2,000万人が食糧難に陥っていることは知っていました。

 
しかし、重度の栄養失調に苦しむ生後8か月の赤ん坊の泣き声を聞き、母親の目の中にある失望を見た時、親友を殺した地雷の爆発のことを話す10代の少年の言葉を聞いた時に初めて、こういった統計が示しているあふれるほどの恐怖が、胸にこたえたのです。

 
緊急を要する440万人を含む、740万のイエメン人が栄養失調の治療や予防の援助が必要と国連は推定しています。また、紛争ぼっ発以来、6,700人以上の子どもが殺されたり重傷を負わされたことが確認されています。

アデンにあるの非公式のシェルターに避難する子ども

港町アデン南部に拠点をおくUNHCRのコミュニケーション担当官としての私の仕事には、私が目撃し、聞いたことを共有し、イエメン、そしてその誇るべき人々に何が起こっているのかを、外の世界が理解する手助けをすることがあります。

 
私が最初に衝撃を受けたことの1つは、この国の驚くほどの美しさでした。どこまでも伸びる素朴な海岸線と白い砂浜、そして背後にそびえ立つ山脈。ルビー色の果汁が詰まったザクロ、地球上のすべてのものに合うシーフード、黄金色の陰にあふれるハチミツ。

 
この驚異的な自然の背景に、衝撃的なレベルの貧困と破壊が対峠しています。4年近くに及ぶ残忍な戦闘の跡は、いたるところに見られます。アデンの町をドライブすると、砲弾による損傷や弾穴の跡がない建物は1つも見られません。ほぼすべての大人の男性が自動小銃を肩にかけているのです。

紛争によって数百万人が苦しみ、港町アデンを引き裂いた

国連はイエメンの状況を、今も続いている世界最悪の人道災害と表現しています。ニュースを追っている人は誰でもこの見出しを知るでしょう。「民間人が殺害され、負傷し、家々が破壊され、子どもたちは飢えている。」しかし、戦争で荒廃した国の虐げられた日々の格闘は、伝え難いです。

 
ここでは、苦しみは何層にも及んでおり、大規模な避難によってさらに悪化しています。推定430万人が過去4年で故郷からの避難を強いられ、330万人以上が今も避難生活の中、生き延びようと格闘しています。食糧はありますが、ごく一般のイエメン人には、もう買う余裕はないのです。栄養失調だと、母親が赤ん坊に十分な母乳が与えられないのだと複数の家族から聞きましたが、別の方法で代用することもできないのです。

 
経済は崩壊の危機に直面しています。実質GDPの累積損失は過去3年で499億米ドルと推定されています。しかし、経済は物語のほんの一部でしかありません。子どもの全人口の4分の1以上が学校に通えません。2016年末以来、イエメンの306地域において、130万件以上のコレラの疑い、そして約2,800人の関連死が報告されています。近現代における最悪の発生です。

アデンの非公式シェルターでUNHCRスタッフと話す、フダイダの戦闘から逃れたイエメンの女性

また、写真やニュース報道では見えない、精神的、心理的な傷もあります。男性たち、女性たち、少年たち、少女たちが、不安、憂うつ、その他の心理的な不調に苦しんでいます。父親たちは、もはや子どもたちを養うことができません。伝統的に男性が主な稼ぎ手である社会において、この地位の損失は、DV(Domestic Violence家庭内暴力)の増加を含む、重大な影響を与えています。

 
社会心理的カウンセリングがUNHCRの援助を受けているコミュニティセンターとその移動訪問チームによって提供されていますが、精神医学の専門家と稼働している医療施設は著しく不足しており、多くの患者が、必要とされる治療やフォローアップを受けられないままとなっています。この国には、十分に機能している医療施設は50%以下しかなく、必要な医薬品の深刻な不足に直面しています。

 
自暴自棄な空気が広がっています。私は、さまざまな危険にさらされた、岩の多い土地において戸外で暮らしている人々に会いました。夏は気温40度になります。しかし、どこへも逃れる場所がないのです。私たちが“自発的なサイト”と呼ぶ場所に住む避難家族が増加しています。そこには安定したシェルターもなく、飲料水や衛生施設を利用することができないのです。私はレバノンやイラクで、間に合わせのシェルターを見たことがありますが、ここほどではありませんでした。ここには頑丈なものを建てるための資材がほぼないのです。スクラップされたもの、段ボール箱、枝、ビニール袋…そこにあるものを何でも使った不安定なシェルターが放置されています。

ダラワン居住地のテントの外に立つ少女と彼女の弟

先週、サラーに会いました。イエメン南西部のタイズという町から来た、おとなしくて優しい語り口の10代の少年です。タイズや港町アルハダイダの戦闘から逃れた数千人が暮らす自発的なサイトの1つで、私は彼と出会いました。老いた両親を残し、彼は1年前に祖母と姉とともに故郷を逃れました。両親は家と家畜を置いていきたくはなかったのです。

 
サラーは自らが建てるのを手伝った間に合わせの建物で暮らしています。そこは狭すぎて彼は真っすぐ立てないのですが、彼と彼の家族が与えられた環境でどうにかやっていくには、最高の状態なのです。「ここは僕自身の場所です。まるで僕の一人部屋のようです」と彼は私に言いました。

 
サラーのシェルターのそばに立つと、何もないことの意味が分かります。彼の持ち物は、着ている服と、このサイトにいる家族にUNHCRが配給した基本的な救援物資のみです。ほぼすべての人が、何も持たずに逃れてきました。靴すらないケースも多々あるのです。人々は完全に援助に頼っています。

「戦争が経済を抹消し、暮らしと命を破壊しました」

私がイエメンで聞いた多くの物語のように、サラーの物語は、簡単に聞いて再び語ることはできません。1年半前、彼と親友のカリーマはタイズの家の近くの谷に、他の友達とともに羊の群れを集めに行きました。カリーマはある物体を見つけました。他の子どもたちがそうするように、彼女は好奇心でそれを拾いました。「それが何なのか分からず、遊べるものだと思ったのです」とサラーは私に語りました。「拾い上げて1分ほど後、爆発したのです。」

 
カリーマはその場で亡くなりました。サラーは左足と左手を失いました。「起きたら病院にいたのです」と、私に低い声で言いました。「腸が飛び出していて、何度か手術を受けました。足と手を失ったことが分かった時、僕は途方に暮れました。」彼のもう一人の友達も、同じように重傷でした。

 
イエメンの戦争は、サラーのような子どもたちから、子ども時代を奪いました。彼と別れてから、私は惨憺たる気持ちと怒りにさいなまれました。これほどの危機の規模では、彼や何千もの彼のような人々の生活がすぐに良くなる見込みはないのです。現在、イエメンで何かしらの人道援助や保護を必要としている人は2,400万人と国連は推定しています。人口の80%です。彼らを支援するために尽力する人道的コミュニティーでは、2019年、元も弱い立場に置かれた人々の命を守る援助を提供するために42億米ドルが必要とされています。

「イエメンにいる2,400万人が何かしらの人道援助や保護を必要としています」

戦争は経済を抹消し、暮らしと命を破壊しました。食費が上がり、職に就く機会が少なく、人々は基本的なニーズを満たすことが徐々にできなくなってきています。貧困率は劇的に上昇し、今では、推定81%のイエメン人が貧困ライン以下となっています。これは2014年から約30%の増加です。賃貸の宿泊施設で生活し、借金の増加とともに、追い立ての脅しに直面している避難家族が増えています。

 
国中で、私たちのチームは、人々の大きなニーズを査定しています。分かったのは、物乞いをしたり、最悪の労働へ子どもを送り出したり、児童婚を強いたりする好ましくない対処方法に訴える人が増えているということです。特に少女たちの場合、児童婚は経済的な苦境を和らげなければならない家族の少ない選択肢の1つとなっています。

 
UNHCRは現場で、最も弱い立場に置かれた人々に手を差し伸べるために尽力しています。私たちのチームは国中で、緊急かつ暫定的なシェルター、脆弱な家族が生き延びる手助けをするための現金給付といった、援助と保護を提供しています。私たちの対応の中核は、支援を必要とする人々を保護することです。それは、社会的なカウンセリングであり、心理的なサポートであり、法的援助などを意味します。2018年、UNHCRは10万5,000人に、この支援を提供しました。

 
しかし、この危機の規模は、私が今まで目にしたすべてにまさるものです。私たちは最も弱い立場に置かれた人々を助けるために尽力し続けますが、この紛争が続く限り、実際にすべての人々には手を差し伸べられません。

 
手遅れになる前に、命を守る私たちの現地での活動をご支援ください。

 
原文はこちら(英文)
This is the shocking scale of human suffering I’ve seen in Yemen

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