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東京オリンピックへ向かって水しぶきをあげて奮闘するシリア難民

安全のために戦争から逃れたシリア難民のエイド・アルジャザイリは、ロンドンで再起し、次の夏季大会で難民選手団として泳ぐことを夢見ています

ダマスカス出身の難民であるエイド・アルジャザイリ(24歳)はロンドンで訓練を受けており、2020年の東京オリンピックでは難民選手団と一緒に水泳選手として出場することを望んでいる

 
ロンドン近郊にあるシリア難民の部屋の壁に、アメリカの伝説の水泳選手マイケル・フェルプスのポスターが貼られています。 「限界などない」 「夢は大きいほど、多くを得られる」とポスターには書いてあります。

 
ロンドン(イギリス)2019年1月17日 ― オリンピックへの夢を抱いたシリア・ダマスカスからの難民であるエイド・アルジャザイリ(24歳)にとって、そのアスリートの言葉は信念となっています。

 
アルジャザイリは、フェルプスの足跡をたどると決意し、2020年の夏季オリンピックで水泳選手として競技に出場することを夢見ています。 12か月程前には、彼はほとんど泳げませんでした。

 
「水泳を始めたのは遅かったとわかっています。普通は4歳か5歳から泳ぎ始めるでしょう」と、毎日4時間トレーニングしている、ロンドン東部にある25メートルのプールで、アルジャザイリはUNHCRに語りました。 「しかし私は自分を信じています。私たちは夢のために生きているのです。」

 
彼の驚異的な進歩と決意は、疑いを持っていた人々に勝ち、コーチ、仲間の水泳選手、彼の努力を支えている140人以上のドナー、そして地元の議員であるステラ・クリーシーの注目を集めました。

 
彼の話を聞いて、クリーシーは昨年ビデオで彼を特集しました。彼女のアドバイスで、アルジャザイリに部屋と家族のサポートを提供した地元住民のデビー・ブリスがクラウドファンディングサイトを立ち上げました。それは彼のコーチの費用と旅費として5,000ポンド以上を集めました。

デビー・ブリス(右)がアルジャザイリをホストしている

「彼に会ったとき、彼は私にオリンピックへの夢を語り、彼の決意に驚きました」とブリスは1年前に英語を話せなかった若いシリア人について語りました。 「彼はあらゆる瞬間を新しい情熱に捧げて来ました。」

 
シリアから逃れたときにギリシャの海岸沖で木造の船で溺れかけたアルジャザイリは、二度と水の近くに行きたくないと言ったとしても許されたかもしれません。

 
その代わりに、フェルプスのポスターの周りは、昨年の1月からの彼の進歩を記した付箋紙でいっぱいになっています。ユースホステルに住んでいたときに彼は初めてYouTubeでフェルプス現象を観て、大きな夢へと駆り立てられ、人生がリセットされました。

 
プールのメンバーシップに加入する余裕ができるとすぐに、彼は5ポンドの水泳パンツで地元のプールに現れました。そして、一人で練習することに決めました。

 
「私は何度も何度も挑戦し、怒りと悲しみで家に帰りました」と彼は2メートル泳げなかった最初の日々を思い出します。 「私は次の朝には練習に戻りましたが、またできませんでした。」

 
次第に彼の粘り強さに感銘を受け、ひとりのコーチが、そしてまた別のコーチが彼に手を貸し始めました。ひとりは彼にゴーグルを、もう一人は最初のレッスンをしました。そして、彼は水泳に夢中になりました。 「鍵を手に入れた」とその時思ったことを今でも覚えています。 「私は心底幸せだ!」とも。

 
ある日、息切れしつつも、彼はコーチの緑のベストとあきらめないように叫んでいる誰かがちらっと見えました。そして胸が一杯になって壁に触れると、プール全体が歓声であふれました。

アルジャザイリはトレーナーのダニエル・ブロック(右)にサポートされている

彼に気付いたもう一人のインストラクターは、競泳水着メーカーであるスピードのトレーナーかつ顧問コーチであるダニエル・ブロックでした。彼の最初の印象は、隣のレーンで、自分の技術を模倣している新人でした。

 
「私はちょっと生意気だなと思いました」とブロックは言いました。その後になって初めてアルジャザイリが彼に接触したとき、彼はありそうもない夢を抱いていた若い男性を評価しました。

 
当時、アルジャザイリはプール代を支払うために、1日当たり5ポンドの生活手当の半分を節約するために食事を減らしていました。彼は栄養も足りず、健康管理もしていませんでした。

 
プールの係員から彼が水泳を始めたばかりだと聞いたとき、ブロックは最初は疑い、それから驚きました。 「私は20年近く水泳を教えてきました」と彼は言いました。「大人がこんなに始めるのが遅くてもこんなに早く泳げるようになるとは知りませんでした。彼には直すべき悪い習慣もありませんでした。」

 
ブロックはアルジャザイリを彼の練習会に招待しました。彼はその技術と修正能力そして長時間取り組める驚くべき姿勢を発見しました。

 
プールで、アルジャザイリはまだタンブルターンをマスターしようとしていますが、流線型で多才です。 「私のお気に入りはバタフライです。それが一番難しいストロークです」と彼は言いました。 「一番早いの?それはクロールです。」

(動画右下の設定で字幕をオンにしていただければ、日本語字幕が表示されます)

彼のやる気は彼の仲間の水泳選手によい影響力があることが証明されています。プルブイ、パドル、フィン、キックボードなど、道具を寄付した人もいます。ある人は水泳競技会に彼を誘い、彼はたくさんのメダルを獲得しました。それ以来、彼は多くの地元のレースで優勝しました。

 
50メートルの自由形で、彼のスピードは35秒まで下がり、ベストタイムを8秒短縮しました。

 
10月には、アルジャザイリの期待はさらに高まりました。ブエノスアイレスでの会議で、国際オリンピック委員会(IOC)は、2016年のリオでのように、2020年の東京オリンピックでIOCの旗の下に難民選手団を結成することを発表しました。

 
アルジャザイリがチームに入る保証はありませんが、それは彼に具体的な目標を与えてくれました。

 
UNHCRの難民スポーツ活動のためのボランティアコンサルタントであるクロード・マーシャルは、難民アスリートは選考候補として登録するためでさえ、最低限のオリンピック基準を達成しなければならないと言います。

 
彼らはスポーツの全国連盟と全国オリンピック委員会に印象付ける必要があります。それから、マーシャルによると、これら2つの機関は、IOCのユニットの1つで、恵まれないアスリートを支援する“オリンピック連帯”に「オリンピックチームを作ることを視野に入れた、さらなるトレーニングのための奨学金」を要請する必要があると述べました。

 
難民選手団がリオに派遣された10人より多くなるのか、少なくなるのか、またはどのようなスポーツが含まれるのか、まだ誰も知りません。 「それはIOCが決めることです」とマーシャルは語りました。

 
アルジャザイリの進歩は驚くべきものですが、ブロックは、彼がオリンピックという目標を達成するために直面している課題についていまだに悲観的です。 2016年のリオでは、50メートル自由形の男子選抜時間は23秒強ですが、これはトップレベルの選手しか達成できないものです。

 
しかし、様々な新しい国の水泳選手が多く出場していた予選では、30秒に近かったとブロックは言います。そしてそれは、アルジャザイリにとって実現可能であると彼は言います。 「30秒近くが私たちの目標です。そして冬の集中トレーニングでそれは起こるでしょう」と、ブロックは付け加えます。 「エイドの現在の進捗率が維持されれば、12か月で28秒近くが可能になります。」

アルジャザイリは大学にも通っている

それまでの間、2017年後半にイギリスによって難民として認められ、戦前にダマスカス大学で会計学を勉強していたアルジャザイリは、これからの人生をなんとか生きていかなければなりません。

 
水泳に加え、彼は地元の大学で英語と数学を勉強していて、国際的な英語試験の準備をするために追加のクラスを取っています。もう1つの目標は、ロンドンスクールオブエコノミクスで会計学を学び、母国で取り組んだ学位を取得することです。

 
「私は難民であることを誇りに思いますが、それだけではありません。私は夢想家です」とアルジャザイリは言います。 「私たちは人間です。私たちは医師、エンジニアです。人は家を失うと、もう何もない、未来がないと思います。でも違います。私たちは普通の人間です。私たちは皆同じなのです。」

 
Caroline Brothers

 
原文はこちら(英文)
Syrian refugee strives to make a splash at Tokyo Olympics

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