国連UNHCR協会は、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の公式支援窓口です。 《寄付は税控除の対象になります。》

  • 0120-540-732(平日10:00-19:00)
  • メニューを開く

支援の現場から

「私たちの一年。私たちのこれから。」ロヒンギャ危機から一年 今あらためて知ってほしい5つの事実

2017年8月25日。ミャンマーでの激しい武力弾圧を機に、ロヒンギャの人々はかつてない勢いで避難を始めました。村の襲撃。放火され燃え上がる家々。相次ぐ虐殺と性的暴行。人々は着の身着のまま命がけで国境を越え、バングラデシュを目指しました。親を失った子ども、出産を控えた女性、銃で撃たれたりナイフで刺された男性などが続々と到着、難民キャンプは大変な過密状態となり、一刻を争う未曾有の人道危機へと急速に深刻化しました。
あれから一年。ロヒンギャの人々の「今」はどうなっているのでしょうか。皆さんに改めて知ってほしい、5つの事実をお伝えします。

1. ロヒンギャ危機が深刻化して一年。
今ロヒンギャの人々はどんな状況にあるの?

昨年8月以降、ミャンマーから逃れてきたロヒンギャ難民は約72万人。2018年はこれまでに、12,936人* が避難してきました。そのほとんどが、水流が激しく危険なナフ川を舟で渡ってきています。(* 2018年7月現在)
今年6月に避難してきた18歳のハミダ・ベガムは、今もミャンマーで続く恐ろしい暴力について語りました。「8歳の女の子が5人の兵士にレイプされ、殺されたのを目撃しました」。そして実は彼女自身も被害者なのです。「兵士たちが家にやってきて私に暴行を加えました。私が泣き叫ぶと、火のついた木で私を焼いたのです。」彼女はその傷跡を見せながら訴えました。「夜になると、女の人は誰一人として安全ではないのです。」

「神様はどうして私を死なせてくださらなかったのでしょう」
(カリマ 20歳)

「私が結婚して3か月のときでした。兵士たちが来て、村の赤ん坊を水に投げ込み子どもたちに火をつけ、夫と妹を銃で撃ったのです。私は恐ろしく殴られ、何人もの男にレイプされて気を失いました。気がついたとき、家には火がつけられていました。それから3日間歩いてバングラデシュまで逃げてきたのです。もう私には、何も大切なものなどありません。」

2. モンスーンの大雨の影響は?

迫害を逃れてなお、人々はさらなる脅威にさらされています。バングラデシュは例年モンスーンやサイクロンによる大雨に悩まされ、国土の多くが洪水やがけ崩れなどの被害にあってきました。昨年はロヒンギャ難民の避難するキャンプでも甚大な被害を出し、多くの難民のテントが水につかり、衛生上の問題が発生しました。今年も6月にモンスーンが始まり7月には豪雨に見舞われ、死者が出るなど多くの被害が出ました。崖や地盤の弱い場所に暮らす難民も多く、人々は不安の中で生活しています。UNHCRは道や橋、排水路などのインフラ整備、難民のテントを補強するキットの配布、危険な地域に住む難民の移転など大規模な支援を行っています。

豪雨による地滑りで家が崩壊し、移動を強いられるロヒンギャ難民の少女

豪雨に見舞われる中、シェルターを補強するための竹を運ぶ少年

「地滑りで家が流されてしまいました」
(クハージャ一家)

カリマ(10歳)、母クハージャ(40歳)、弟サイフル(4歳)、祖母スビア(60歳)の一家は、10か月前に逃れてきましたが、今年6月の大雨によるがけ崩れで家が流されてしまいました。
6日間隣人のシェルターへ避難を余儀なくされた後、UNHCRの支援で平坦に整地された安全な場所の新しいシェルターに移ることができました。「以前より安心して眠れます」と母のクハージャは話します。(新しいシェルターの前にて)

3. ミャンマーへの帰還は進んでいるの?

ロヒンギャ難民の多くは今もミャンマーにおける安全に不安を覚えており、帰還はほとんど進んでいない状況です。
2018年6月、ミャンマー政府は「ロヒンギャの自主的な帰還と再定住に向け、国連の二機関、UNHCRならびに国連開発計画(UNDP)と協力する」という覚書に合意・署名しました。今後この三者が連携し、ロヒンギャ難民が自らの意思で安全に帰還できるよう事態の打開を図ることになります。これまでラカイン州では国連機関の調査は入ることができませんでしたが、今後はUNHCRが現地で調査を行い、ロヒンギャ難民に彼らの住んでいた地域が帰還できる状況なのか、初めて独自の情報を伝えることができるようになります。

「夫が銃で撃たれた、あの恐ろしい瞬間を思い出したくありません」
(モスタファ・クハトゥン/55歳 クトゥパロン難民キャンプに避難)

「夫が撃たれ、家の前で倒れているのを見ました。思い出さないようにしようとしても難しいのです。家に火をつけられ、去年逃れてきました。ミャンマーでは、夜に灯りをつけることも許されていませんでした。今一番心配なのは5人の孫たちの将来です。彼らにはミャンマーに戻り、教育を受けてほしいと思いますが、安全と平和が戻り、権利が保障されるまでは帰れません。何十年間も人々の命を奪ってきた迫害と暴力が終わるまでは。

4. 国際社会はロヒンギャ問題に対して、どのように対応しているの?

ロヒンギャ難民危機の根本的な原因に対する取り組みに、国際社会の連帯と支援が大きく欠けていることを、多くの人道支援機関や当事者が訴えています。アントニオ・グテーレス国連事務総長は7月バングラデシュを訪問し、記者会見などでこう訴えました。
「ロヒンギャの人々は民族浄化の犠牲者です。国際社会は、彼らを見捨ててきたのです」
(アメリカ・ワシントンポスト紙へ寄稿)

バングラデシュの難民キャンプに赴き、ロヒンギャ難民の声をじかに聞くケイト・ブランシェット

また、バングラデシュを訪れ、ロヒンギャ難民の苦しみをつぶさに見てきたUNHCRの親善大使、ケイト・ブランシェットも8月、世界へこう訴えました。
「私は母親です。私は、出会った一人ひとりの難民の子どもたちの目に、私の子どもたちを見ました。また、一人ひとりの親の目に、自分自身を見ました。自分の子どもが火の中に投げ込まれる姿を目撃して耐えられる母親など、いるでしょうか?

5. UNHCRはこの一年、どんなサポートをしてきたの?今はどんな支援が必要?

UNHCRはこの一年、最も弱い立場にある人々の保護を最優先に、シェルター、水、保健、教育など幅広い分野で支援活動を展開してきました。難民の命を救い、避難生活の改善につなげてきた一方、モンスーン対策が引き続き喫緊の課題です。またミャンマーにおいて、男子の42%、女子の50%は小学校1年生すら修了できていなかったことが明らかになっています*。ロヒンギャの未来のために、教育への支援が不可欠です。
* Joint Education Needs Assessment: Rohingya Refugee in Cox’s Bazarより

UNHCRは今日も、皆様のご支援を
ロヒンギャの人々のもとへ届けています

「今までこうした支援を受けたことはありません」
(シャタラ・ベガム/18歳 カウンセリング・センターにて)

3日前に避難してきた1歳の子の母・シャハラ。トランジットセンターで食べ物やシェルターを受け取り、保健サービスも受けることができた。UNHCRは母親と子どものためにカウンセリングも提供しており、子どもの栄養状態や授乳、健康を保つための相談にのっている。「良いアドバイスをもらっています。今までこうした支援を受けたことはありません。」

皆様のご支援でできたこと - 数字でみるUNHCRの援助活動

補強されたシェルターで暮らすロヒンギャの親子

※2018年9月現在

バングラデシュで、日本人職員がロヒンギャ支援に尽力しています
「最も弱い立場の一人ひとりに、手を差し伸べるために」
UNHCRバングラデシュ事務所 中柴 春乃 首席保護官

バングラデシュ・コックスバザールで支援活動に尽力している中柴首席保護官

私は今、バングラデシュでのUNHCRの難民保護活動を行っています。実はバングラデシュは私がUNHCRに入って最初の赴任地で、思い入れがある場所です。その2004年当時から、ロヒンギャの人々が経験してきた苦難や苦悩を間近に感じてきました。
 
安全と保護を求めてバングラデシュに逃れてきた難民の多くは、女性や18歳未満の子どもたちです。障がいや病気をかかえていたり、身寄りのいない高齢者も多くいます。UNHCRの行う難民の方々への支援は「衣(及び医)食住」を満たすだけではなく、心のケアやサポートを通して、難民の方々自身の持つ再生する力に寄り添いたいと考えています。しかし、最も傷ついている人はそうした場所に出てきません。例えば先日、ラカイン州で被った襲撃で3人の子のうち2人を失った夫婦が、悲しみとトラウマのあまり家から出ることもできず、すぐに支援が必要だという報告を受けたことがあります。ロヒンギャの人々は何世代にも亘って虐げられてきて、それが生活の一部にすらなっている。助けを求めて良いという認識もないのです。そうした最も弱い立場の一人ひとりに、手を差し伸べるシステムを作らなければ、と強く思います。
 
コックスバザールにあるロヒンギャ難民キャンプは世界最大規模の難民キャンプとなりました。そこで、UNHCRは他の国連諸機関やNGOと協同で精一杯の支援を行っていますが、シェルターや道、橋の補強、子どもたちの学びの場や医療サービスの拡充、環境にやさしい燃料の支給、女性への支援など、しなければいけないことがまだまだあります。
 
バングラデシュでは、日本人はとても尊敬を受け信頼されています。勤勉で、戦後何もないところから復興を遂げ、アジアの国々を助けてきたと考えられているのです。日本の皆様、どうぞ今後ともロヒンギャ難民へ温かいご支援をお願いいたします。

UNHCRは、ロヒンギャ難民を決して見捨てません

ロヒンギャ難民の命を守り、避難生活を支えるために、今日も中柴職員をはじめ多くのUNHCR職員が全力で支援にあたっています。皆様のご支援に支えられ、UNHCRはこれまで援助活動を絶やさず、多くの命を救うことができました。今もモンスーンの雨が続く中、ロヒンギャの人々は苦しみに耐え、家族を支えながら懸命に生きています。どうぞ皆様、UNHCRと一緒にロヒンギャの人々に支援を届けてください。

※当協会は認定NPO法人ですので、ご寄付は税控除(税制上の優遇措置)の対象となります

一覧ページへ戻る

国連UNHCR協会について
UNHCRを知る
UNHCRを支援する