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支援の現場から

「難民支援」が果たす、レバノン社会への貢献

レバノンの非公式の難民居住区に暮らす子どもたち。レバノンのシリア難民の約70%が、厳しい貧困生活を強いられている

100万人の難民-それは私たちにとって、容易には想像がつかない規模の人々ではないでしょうか。今、それだけのシリア難民を、人口約400万人の国・レバノンが受け入れています。2014年には実に人口の4人に1人がシリア難民となり、電力や水、教育など公共サービスを圧迫してきました。
では、難民を受け入れるということは、悪いことばかりなのでしょうか?
その答えは、これからご紹介するレバノンの女性のストーリーの中にあります。

レバノン出身のオラ(50歳)は、13歳で結婚して以来、苦しみに満ちた生活を送ってきました。夫は暴力を振るい、授かった子どもは流産。そのため精神的に不安定になりましたが、適切な精神科の治療が受けられず絶望していました。「私は常に何かに怯えて生きてきました」とオラは言います。
レバノンで活動する国際NGOのトニーナ・フランジエ職員は語ります。「以前はレバノン北部では、“精神科治療”など聞いたこともありませんでした。心の病を持つ人は、狂っているかとりつかれていると言われて、暴力を振るわれたり、つながれたりしていたのです。」

しかし今、レバノンの精神科治療に大きな変化が生まれています。これまで国内で治療を受けられる施設は、首都ベイルートに一つだけでしたが、今では地方でもそうした施設が整備されてきました。そして50歳にしてようやく、地方に住むオラも治療を受けられるようになったのです。

なぜこうした変化が生まれたのでしょうか?実はその理由は、多くのシリア難民の流入にありました。爆発的に増えた医療へのニーズに伴い、政府が全国で医療体制の改善に取り組んだ結果、シリア難民だけでなく、レバノンの貧困層で病院に行くことができなかった人々にも医療に手が届くようになったのです。

「保育器がなければ、子どもの命は助かりませんでした」母親のダイアナ(25歳)も、改善した新生児治療に助けられた一人だ

また、レバノンでは新生児のケアや小児科治療なども遅れていましたが、難民の流入後、政府はそうした保健・医療サービスを総合的に提供する施設「プライマリー・ヘルスケア・センター(PHC)」の改善に取り組んできました。
職員には予防接種や栄養失調の治療等に関するトレーニングを実施し、緊急時にHIV/エイズの感染を防ぐキットや、性暴力の被害者へのカウンセリングや治療も導入しました。
 
また、レバノン市民もシリア難民も無料で予防接種を受けられるようにし、全国のPHCには新たに84名の専門スタッフを配置しました。クリニックの数も180から230に増やし、人々は身近な場所で医療を受けられるようになりました。

このようにレバノンでは、シリア難民の支援体制の強化が国全体の医療のレベルアップにつながり、多くの自国民をも救う形となりました。
しかし、保健省のランダ・ハマデ職員は、この新しい体制を今後も維持できるか心配しています。
「ここまで本当に長い道のりでした。しかし現場では今も切実に支援を必要としています。私たちはここで立ち止まるわけにはいかないのです。」

シリア紛争はすでに6年目となり、レバノンのシリア難民の受け入れはすでに限界です。レバノンをはじめ、シリアの近隣諸国だけに負担を強いることはもはやできません。今、日本をはじめ国際社会による、継続した支援がより一層求められているのです。

レバノンの路地で遊ぶシリア難民の子どもたち

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