その一歩はいつか、シリア再建への一歩に。
シリア危機が始まってから11年。破壊された故郷で、暮らしを立て直そうと前に踏み出す人たちがいます。

シリアの都市アレッポ
破壊されたシリア・アレッポの街

2011年3月にシリア危機が始まってから、丸11年。その間約568万人がシリアから周辺国に避難。シリア国内では、今も約670万人が避難生活を送り、約1340万人が人道援助を必要としています。シリア危機が始まった当初よりUNHCRは、シリア国内の難民や避難民、および人々の受け入れコミュニティ、周辺国のシリア難民への支援を行ってきました。発生から2年が経過した新型コロナウイルスのパンデミックの影響で、シリアの人々の暮らしはさらに困窮し、UNHCRの役割はかつてなく重要なものになっています。

シリア危機が始まってから丸11年。
引き続き、シリアと周辺国で支援が必要です。

シリアと周辺国地図

シリア周辺国

開始から11年を数えるシリア危機は、世界でもっとも多くの難民を生み出す事態に発展。また新型コロナウイルスによる経済の悪化や社会的困窮は、周辺国のシリア難民とその受け入れコミュニティにも深刻な影響を及ぼしており、2022年、この傾向はさらに顕著になるとみられています。
UNHCRは国連開発計画とともに、引き続き「シリア周辺地域・難民・回復計画(3RP)」を主導。受け入れ国の取り組みを支える270以上の支援団体の活動をとりまとめ、各方面と連携して援助活動を実施します。

シリア国内地図

シリア国内

多くの地域で治安は改善傾向にありますが、保護上の懸念は依然としてあり、一部では不安定な状況が続き、新たな避難民を生み出しています。通貨の下落や生活必需品の価格上昇、燃料や電力供給の不足、ロックダウンによる影響などと関連して生活はさらに困窮。現在推定1340万人が人道援助を必要としており、支援のニーズはさらに増加しています。国外からの帰還民の数は、2万5000人が帰還した2021年の最初の8か月と同程度で推移すると予想されますが、広範囲にわたるインフラやシェルターの破壊状況、教育や医療をはじめ基本的なサービスがごく限られていることが人々の帰還を阻んでいます。

恐怖と闘いながら、希望を忘れずに歩み続けた11年。
シリアの人々に、一番恐れていること、そして将来への希望について聞きました。

とても恐れているのは戦争です。それから子どもが私たちと同じような道を歩むこと。バフディナンさん(イラク)夢はシリアに戻ることです。ジハードさん(レバノン)勉強できなくなること。ガゼルちゃん(トルコ)いつか家を持つこと。ハサンさん(シリア・アレッポ)飢え。そして、子どもの将来が失われること。成長しても、きちんと話したり書いたりすることができなくなるのではないかということ。ナーイフさん(レバノン)子どもたちが成長し、不自由のない生活を送ること。皆が仕事を持ち、私が耐えなければならなかったような屈辱的な思いをしないこと。私のような人生ではなく、子どもたちに幸せな人生がもたらされますように。アビールさん(シリア・アレッポ)紛争を再び体験すること。アブドさん(トルコ)キャンプで9年、10年暮らしているこの時が、現実ではなく夢だったらいいのに、と思います。故郷に戻り以前のような暮らしがしたいです。クナフさん(イラク)自分の夢に気づけないこと。バラーさん(ヨルダン)私、私の父、母、兄弟姉妹、いとこ、親戚たちが皆無事に戻ってくることです。ファティマさん(チュニジア)

11年にわたるシリア危機で人々は疲弊し、同国国内で1340万人が人道支援を必要としています

UNHCRシリア事務所 シニア・フィールド・コーディネーター 白戸純

白戸純UNHCR職員
シリア国内の学校を訪れた際、少年にマスクの付け方を身振り手振りで説明(左側手前)

シリアへの赴任は2014年~2016年以来2度目になります。かつて私がシリアで活動していた2014~2016年は、首都ダマスカス中心部でも頻繁に迫撃砲の音が聞こえ、紛争はすぐそばにありました。国連の施設が被弾することもありました。

現在、国土の大半を政府が奪還し、多くの地域では一定の落ち着きを取り戻したかに見えます。しかし、人々は疲弊しきっています。経済状態はかつてないほど悪化し、シリアポンドの下落により、食料価格は高騰、水や電気をはじめとする基本的サービスの供給も滞っています。その他の生活物資も不足し、ダマスカスのパン屋の前には、長い行列ができています。シリア国内では1340万人が人道援助を必要としている一方で、周辺国から数万人、国内の避難先から数十万人規模で故郷に戻ってきています。

正直なところ、シリア国内の状況は、帰還に適しているとはまだ言えません。では人々は、なぜ今、状況の厳しい故郷に戻ってくるのでしょう。シリア東部の都市デリゾールは2017年まで4年近くISに包囲されていた地域で、町はがれきとなりました。ISの後退により、シリアの各地に避難していた人たちが帰還を始めましたが、そのいきさつを聞いてみると、「避難先での生活が成り立たなくなったから」と言うのです。たとえがれきと化し、病院や学校などの施設がなくとも、故郷には自分の土地があり、家賃を払うことがなく夜露をしのげる場所があるため人々は帰還しているのです。こうした方々を含めコミュニティ全体を支援していくことは、今もっとも必要な支援のひとつです。

シリアのコミュニティセンターの様子
いじめへの注意喚起のワークショップの風景。コミュニティセンターでは、他にも子ども向けのさまざまなプログラムを提供
UNHCRシリアが長年力を入れているのが、コミュニティセンターのサポートです。センターを増やし、助けを必要とするすべての人が支援を受けることができるよう環境を整えています。重要なのは、故郷を追われ避難している人々や、故郷に戻ってきた帰還民だけでなく、コミュニティ全体をサポートすることです。コミュニティのニーズをカバーすることで、受け入れ態勢が整います。また、地元を離れなかった人々にも、さまざまなニーズがあります。避難した方がいい状況でも寝たきりの家族がいるから動けなかったなど、さまざまな理由で土地を離れることができなかった人たちが多くいるのです。UNHCRは国内で126か所のセンターと119の移動式チームをサポートし、包括的な支援を提供しています。

 

度重なる戦闘で荒廃したこの国で、すべての人が11年におよぶ紛争の影響を受けています。UNHCRのシリア人スタッフも例外ではありません。最近は新型コロナ関連で、スタッフの家族が亡くなったという話も頻繁に耳にします。それでも人々を支えようと最前線で活動に従事しています。政治的影響もあり、国際社会からシリアの人々への支援は、不安定になりやすいものです。このような状況下では、日本の皆様をはじめとする民間の力が頼りです。どうぞ今、シリアの人々を守り支えるUNHCRの活動にお力をお貸しください。

シリアと周辺地域におけるUNHCRの援助活動例

シリア国内

避難先で、帰還した先で、受け入れコミュニティで、試練に立ち向かう人々を支える

避難民の支援

シェルターサポートや保護サービス、生活に必要不可欠な物資の支給等を通して、長期にわたる避難生活を送る人々や身ひとつで逃れてきた人々を支える

帰還民の支援

故郷に戻り生活を立て直そうとする人々の帰還に際し、ニーズに沿った物資の支援をはじめ、さまざまなサポートを行う

インフラ支援・学校の修復

アレッポにあるこの学校の修復後、数百人の生徒が学校に復帰。ルジャインさんの夢は、建築家になり紛争で壊れた街の建物を建て直すこと

インフラ支援・クリニックの修復

UNHCRが修復したクリニックで診療を受ける子ども。住居や学校のほか、生活インフラも破壊され人々が生活を立て直す上での障壁になっている

コミュニティセンターの支援・小規模事業の支援

紛争で夫を失ったアビールさん。センターに相談後、小規模事業の補助金を受けミニマートを開業。自身で生計を立て、子どもを育てている

コミュニティセンターの支援・職業訓練

コミュニティセンターで職業訓練を受講後、靴づくりの仕事に就いた女性たち。センターでは、生計サポートの一環として幅広い支援を提供

シリア周辺国

母国を離れ、困難に直面しながら生きる人々を支える

保護等を目的とした現金の給付支援

現金の給付支援に関連した家庭訪問で暮らしの窮状に耳を傾けるスタッフ。新型コロナの影響で苦境にある人々への緊急の給付も実施

教育支援

学校が再開し、笑顔を見せる姉妹。コロナ禍で教育へのアクセスが危ぶまれるなか、ヨルダンではe-learningなどで学習の継続をサポート

高等教育支援

アパレル関連会社で訓練を受けるマームードさんは、UNHCRの奨学金で大学に進学。高等教育や職業訓練の機会の拡大は重要な課題

新型コロナ対策

ヨルダンの保健省と協働し、難民がワクチンを接種できるよう尽力。受入国と連携し国の支援の枠組みに難民も含めることは新型コロナ対策の要

地域との共生支援

難民と地元の子どもたちを対象にアラビア語のクラスを開講。その他職業訓練など、コミュニティ全体が利する支援がより重要になっている

第三国定住支援

教師だったアリさんは、学校が爆撃され片足を失った。隣国に避難後、スウェーデンへ移住。第三国定住プログラムのニーズは依然として高い

UNHCR(国連高等難民弁務官事務所)は、 難民の命を守り、保護する機関です。
ルワンダ難民を訪問する緒方元高等弁務官
ルワンダ難民を訪問する緒方元高等弁務官
UNHCRは、シリア・アフガニスタン・南スーダンなど世界中で家を追われた難民・国内避難民を支援・保護し、水や食料、毛布などの物資の配布や、難民キャンプなど避難場所の提供、保護者を失った子どもの心のケアなど、最前線で援助活動に尽力しています。1991年から10年間、緒方貞子さんが日本人として初めてUNHCRのトップである国連難民高等弁務官を務めました。 
※紛争や迫害などのため命の危険があり、国外へ逃れた人を「難民」、国内で避難している人を「国内避難民」と呼びます。

シリアの人々が望んでいるのは、家族がいて住む場所があり、命の危険や飢えのない、ただ普通の、かけがえのない日常です。

UNHCRは、帰還民を含めたコミュニティの支援とともに、シリア国内で生活するイラクをはじめとする国々出身の難民の支援、不測の事態に備え緊急事態に即応する援助活動、新型コロナ対策なども行っています。シリアの人々に今必要な支援を届けるため、何卒ご協力をお願い申し上げます。

シリアの人々を支えるために - 皆様のご支援でできること

毎月1,500円のご寄付

1年で、生活に必要不可欠な衛生用品セット 13セット

毎月3,500円のご寄付

1年で、避難を強いられた子どもの心のケア 7人分

毎月5,000円のご寄付

1年で、勉強の遅れを取り戻す補習クラスなどの学習支援 12人分

※1ドル=112円換算

  • 当協会へのご寄付は、税控除(税制優遇)の対象になります。お送りする領収証は確定申告にご利用いただけます。
  • ご支援者の皆様にはメールニュース、活動報告等を送らせていただき、難民支援の「今」、そしてUNHCRの活動を報告させていただきます。
  • Webでご寄付いただく際の皆様の個人情報はSSL暗号化通信により守られております

*皆様のご支援は、UNHCRが最も必要性が高いと判断する援助活動に充当させていただきます。

皆様からのご寄付によって 多くの命が助かります。
水・食糧の供給から住居、医療、教育まで、長期的に難民を 支えるには、毎月のご支援が欠かせません。ぜひ、ご検討ください。
水・食糧の供給から住居、医療、教育まで、長期的に難民を 支えるには、毎月のご支援が欠かせません。ぜひ、ご検討ください。
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