【スーダン危機】わずか3か月で約300万人が避難する緊急事態
2003年のダルフール紛争勃発以降、スーダンは深刻な人道危機の状態にあります。
2023年4月に「スーダン軍」とその傘下の準軍事組織「RSF」との間に武力衝突が発生。
スーダン全土で暴力が激化し、何百万もの命が脅かされています。

「軍内部の武力衝突」をきっかけにスーダン全土で暴力が激化

ダルフール紛争でアフリカ系住民の大量虐殺を行ったことなどで知られるアラブ系民兵組織「ジャンジャウィード」はバシール前大統領の支援によりスーダン軍傘下の準軍事組織「即応支援隊」(以下RSF)となり、治安維持目的で首都ハルツームはじめスーダンの主要都市に配備されていました。

2019年スーダン軍のクーデターによりバシール前大統領失脚。(RSFはクーデター側に賛同)

軍による暫定統治が続く中で民政移行が協議されていましたが、2023年、軍の再編をめぐりスーダン軍とRSFが対立。4月15日首都ハルツームで両軍の間に激しい銃撃戦が始まり、各地で戦闘が勃発。

スーダン国内

戦闘地域と避難状況

2023年4月以降※1に避難した「国内避難民」※1:4月15日の武力衝突以降
241万4625人 ※2023年7月13日時点

スーダン国内の状況を示した地図

人々が直面している主な困難

攻撃・暴力の標的になる・著しい治安悪化
→とりわけ女性・少女への暴力が急増

深刻な食料不足

生活必需品不足

医療崩壊・医薬品不足

ダルフール地方でふたたび吹き荒れる暴力

チャドへ避難中に襲われて怪我を負ったスーダン難民の女性たち。
チャドで治療を受けるスーダン難民オマルさん(中央)。オマルさんは殴られ拷問されました。

スーダン西部ダルフール地方全域が緊迫し不安定な状況。治安悪化によりダルフール地方への人道支援は困難。同地方では女性や子どもへの暴力が急増。命懸けで国境を越えて周辺国へ避難しようとする人が後を絶ちません。

国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は7月13日に発表した声明の中で、西ダルフール州の郊外で集団墓地が発見され、6月にRSFとアラブ民兵たちによって殺害されたとされる少なくとも87名のマサリット族の住民が埋葬されていたと報告しました。その中には女性7人と子ども7人が含まれていました。

スーダン国内:UNHCRの援助活動

【紅海州/ハルツーム】医師のナシワさん(左)も国内避難民としてUNHCR職員から緊急援助物資を受け取りました。

全体的な治安悪化および、スーダン政府や行政による移動制限により、支援継続に大きな問題が生じています。スーダン国内のUNHCR事務所や倉庫への襲撃も相次ぎ、UNHCRは活動拠点や物資を安全な場所へ移動するなどの対応を適宜行っています。

ポートスーダンを始め戦闘の影響が比較的少ない東部・南部を中心に緊急援助物資を配布しています。

スーダン国内 UNHCRの緊急支援(2023年4~6月の主な実績)

緊急援助物資配布 5万3550人

身元確認 7万5643人

難民キャンプに新たに保護 1089人

■清潔な水
■公衆衛生
■保護目的のモニタリング
■シェルターの提供
■発電機の提供
■教育支援 など

UNHCRは上記の新たに避難している人への支援とは別に武力衝突前から避難しているスーダン国内の難民100万人への支援を継続しています。

スーダン 周辺国

周辺5か国への避難状況

2023年4月以降※1に周辺5か国へ避難した人※1:4月15日の武力衝突以降
73万2823人 ※2023年7月16日付

スーダンと周辺国の状況を示した地図

【動画】スーダンの危機からチャドに逃れた難民の母子

西ダルフール州で暮らしていたハウェヤさん一家。ある晩突然、武装した男たちに襲われました。夫は銃弾を受け死亡。ハウェヤさんは拷問を受け、息子も流れ弾を受け重傷。ハウェヤさんは負傷した息子を背負ってチャドとの国境に向かって必死に徒歩で逃げました。

スーダン周辺5か国 UNHCRの緊急支援

  • 国境周辺でIOM(国際移住機関)と緊密に協働しながら国外に避難する人たちを保護し、受入国政府が主導する難民支援をサポート。
  • 支援体制が整っていない地域に難民・帰還民が到着しているため、支援対応能力を超えていることに留意しながら援助活動を構築。
  • 国連はスーダンから避難してくる人のために国境を開放し続けるよう各国へ働きかけを行っています。
  • この地域は雨季(5~9月頃)には激しい雨風や洪水という困難にも見舞われます。

周辺5か国 UNHCR 援助活動の現場から

エジプト

【アスワン】スーダンから到着した母子(左)と面会するUNHCRエジプト代表(右)。エジプトではUNHCRは難民から「どのような支援が必要か」聞き取りを行ってニーズを評価します。と共に、パートナー団体を通じて水、衛生キット、トイレ、食料、輸送、医療支援などの緊急援助、支援を届けています。

チャド

【グングール】UNHCR職員に付き添われるスーダン難民のザラさんと3人のお子さん達。ザラさんのご主人はスーダンで殺されました。ザラさんたちはガガ難民キャンプへと向かいます。

南スーダン

【ジョダ国境通過点】国境地帯でUNHCRのバスに乗り込むスーダンから避難してきたばかりの人々。UNHCRは脆弱な立場にある人をUNHCRの一時滞在センターに安全に送り届けます。

エチオピア

【メテマ】国境通過点でスーダンから到着した避難民の登録を行うUNHCR職員たち。登録を行うことが避難してきた人と様々な支援とつなぐための第一歩です。

中央アフリカ

【アム・ダフォック】スーダンとの国境沿いのアム・ダフォックに到着したスーダン難民マリアムさん(34歳)。マリアムさんは4人の子どもを持つお母さん。故郷南ダルフール州ニヤラを離れて家族で避難してきました。

南スーダン

「早く故郷に帰りたい。でも帰った先で何が起こるか心配です」

スーダンの紛争を逃れて南スーダンのレンク州のジョダ国境通過点にあるUNHCRの一時滞在センターで、妹クオリちゃん(1歳)と母親のナヤさんと一緒に座っているニャウケ・チアンジャックさん(18歳)。

ニャウケさん一家は、南スーダンの故郷ベンティウ周辺で激化する内戦から逃れ、スーダンの首都ハルツームで9年間避難生活を送っていました。そして今、一家は故郷に戻ろうとしています。

ハルツームの暴力から、ニャウケさん一家はやっと先週逃れることができました。

「ハルツームは戦闘が本当にひどかったです。私たちが住んでいる通りでは男たちが銃を乱射し、飛行機が私たちの周り中に爆弾を落としていました」

ニャウケさん一家は、トラックで3日間かけて南スーダンとの国境まで移動し、現在は南スーダン側の一時滞在センターに2日間滞在しています。

「ここは居心地良くありません。食料は殆ど手に入らず、赤ちゃんが食べられるものが全くないです。できるだけ早く故郷ベンティウに戻りたい。子どものころは美しい場所だったのを覚えています」

現地では非常に過酷な状況が続いています。
どうぞスーダン危機で避難を余儀なくされている人たちを共にお支えください。

あなたのご支援は ――

たとえば南スーダンで避難生活を送る母子家庭への支援

2万4000円で2家族分
6万円で5家族分
12万円で10家族分

※1米ドル=144円換算

皆様からのご寄付によって 多くの命が助かります。
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