今、ロヒンギャ難民が直面する危機

皆さんは覚えていらっしゃるでしょうか?ミャンマーのラカイン州で勃発した暴力行為により、国境を越えてバングラデシュに逃れたロヒンギャ難民のことを。

避難するロヒンギャ難民の列
2017年、バングラデシュへ逃れるロヒンギャ難民

国籍も持てず、迫害に苦しみながら厳しい生活を強いられていた少数民族ロヒンギャは2017年8月、大規模な暴力行為により75万人以上が国境を越え、隣国バングラデシュに逃れました。
未曽有の人道危機となったロヒンギャ難民危機は今現在も続いています。難民の多くは故郷へ帰還することを熱望していますが、ミャンマーの情勢不安は悪化の一途を辿っており、帰還は困難な状態が続いています。また、多くの人々が避難するバングラデシュでは、モンスーンの豪雨といった自然災害が頻繁に発生し、火災の危機にさらされた過密する難民キャンプ等で、97万8000人以上*のロヒンギャ難民が今も厳しい避難生活を強いられています。(※2024年3月現在)

そして今、ロヒンギャ難民は新たな危機にさらされています

ロヒンギャ難民の避難ルート
ロヒンギャ難民の主な避難ルート

そして今、インド洋のアンダマン海、ベンガル湾といった海を越えて、インドネシア等への危険な船の旅を決行するロヒンギャ難民が急増しています。終わりの見えないこの危機から逃れて安全を求め、定員数をはるかに超えた脆弱なボートで危険な海の旅を決行したロヒンギャ難民の数は、2023年だけで約4500人。その旅の途中で569人が死亡、または行方不明となりました。危険な旅を試みた8人に1人、という非常に高い確率で人々の命が奪われたことになります。また、この危険な旅を強いられる難民の約70%は女性と子どもです。2024年3月20日にもロヒンギャ難民151人を乗せたボートがインドネシアの西アチェで転覆し、そのうち救助されたのはわずか75人でした。

UNHCRは逃れて来る難民を現地で保護し、シェルターや飲料水、食料の提供、心理社会的サポートといった救援活動を実施しています。

動画:危険な海を渡るロヒンギャ難民

危険な海を渡るロヒンギャ難民の苦難
どうぞ耳を傾けてください

16日間の漂流生活を送ったソフィアさん

ソフィアさんと幼い子ども

6人の子どもを持つソフィアさん(33歳)は6年前、両親ときょうだいが殺され、バングラデシュへ逃れました。そしてバングラデシュでの情勢不安と子どもの教育のため、夫と子どもたちと共に、さらなる避難を決意します。「子どもたちの将来が失われると思ったので、ボートに乗ることにしました。」
しかし、密航業者による旅はつらく険しいもので、インドネシアに到着するまで16日間を要しました。「5日目に水も食料もなくなり、その後、女性が亡くなりました。私たちは祈りを捧げ、彼女の遺体を海に投げました。」危険な航海の中で彼女の子どもたちも病気になり、回復に3か月かかりました。しかし、到着したインドネシアでの混雑した難民キャンプの生活も厳しいもので、末の子どもは暑さで気絶したそうです。「口からは泡が出ていて、死んだかと思いました。」
「インドネシアに永住できないことは分かっています。でも、私たちを受け入れてくれる国があることを願っています。平和に暮らせれば、何の望みもありません」と彼女は語ります。

教育機会を求め、海を越えたアラムゴアさん

アラムゴアさんとUNHCR職員

アラムゴアさん(右)はバングラデシュの難民キャンプで避難生活を送っていましたが、危険な海を越え、インドネシアのアチェに逃れました。「キャンプは人口が多すぎて教育へのアクセスもありません」と彼は言います。また彼は、キャンプではギャングが襲撃し、迫害のみならず強盗や殺人が発生して平和を見い出せない、と告白しています。
今、彼はインドネシアでロヒンギャ難民の子どもたちのために、ボランティアで英語の教師をしています。「私たちの世代は(紛争のために)いなくなってしまいました。私たちの父や祖父は、ミャンマーにいた頃は何もできませんでした。私は若い世代を変えたいと思っています」と彼は訴えます。

UNHCRのインドネシアでの緊急対応

難民の少年とUNHCR職員
難民キャンプにて、UNHCR職員と勉強をする少年

UNHCRは多くのロヒンギャ難民が上陸したインドネシア西部のアチェ等にて、以下のような救援活動を実施しています。

保護

パートナー団体、地元当局と協力し、危険な旅を決行して来たロヒンギャ難民を早急に保護し、命を守る救援活動を実施。旅の中で親や保護者とはぐれてしまった子どもたちの保護、カウンセリングも実施しています。

食料、必需品の提供

食料、飲料水を配布。調理ができないサイトでは温かい食事も提供。

シェルター支援

ジェンダーに基づく暴力(Gender-based Violence: GBV)を含む保護へのリスクを軽減するための、人道的ニーズの基準を満たした緊急シェルター、避難サイトの拡充。

衛生

水による伝染病等を防ぐための衛生設備の拡充。公衆衛生を改善するために欠かせない清潔な水の提供。

医療・保健

移動型の医療チームを配備し、脱水症状、皮膚病等の緊急治療や健康診断を実施。また、トラウマを抱えた難民のための心理社会的サポートを提供し、スポーツ、教育等の活動を展開しています。

また、バングラデシュでの難民キャンプでもロヒンギャ難民の苦難は続いています

2017年のミャンマーで激しい暴力行為が勃発し、数十万人のロヒンギャ難民が押し寄せたバングラデシュ。現在も母国ミャンマーの情勢不安は続き、避難を強いられる人は後を絶たず、バングラデシュのロヒンギャ難民キャンプは世界最大の難民キャンプとなりました。水資源が乏しい状況下での新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック、2018年6月、2019年7月、2021年7月に発生したモンスーン豪雨、そして昨年2023年5月のサイクロン・モカによる水害では、ロヒンギャ難民や地元コミュニティの人々、推定230万人が被災しています。

2024年5月、バングラデシュはサイクロンによる洪水被害に襲われました

サイクロン・レマルの被害の様子
サイクロン・レマルの被害の様子

5月26日から27日にかけて、サイクロン・レマルがバングラデシュ及びインドの国境付近に上陸。豪雨と強風、そして沿岸部は洪水に襲われました。近年バングラデシュを襲ったサイクロンの中で最も壊滅的な被害をもたらしたこの水害により、政府の推定では、5月27日現在、19の地区で375万人が被災し、約15万棟の家屋が損壊したと報告されています。多くのロヒンギャ難民が避難生活を送るコックスバザールでは以前から熱波と水不足で衛生環境の悪化が問題となっており、今回被災した644棟の竹製シェルターの修繕のみならず、水・衛生に関連する伝染病の予防等、一刻も早い対策が必要となっています。

また、人口が過密したキャンプでは度重なる大火災にも遭い、多くの人々が犠牲になりました。
今回のサイクロンによる自然災害への対応、そして今後も続くサイクロン、モンスーン等の気候危機によるさらなるリスクに怯えながら、厳しい資金不足により、多くの難民が厳しい避難生活を強いられています。

援助資金不足により食料不安に陥るミナラさん

ミナラさん

バングラデシュのコックスバザールでは、国際社会からの援助資金の不足により食料配給が制限され、子どもを含む多くの難民が食事を制限せざるを得ない状況に置かれています。「食料援助の削減はすべての人に影響を及ぼしています。でも少なくとも私は、ここで栽培しているわずかな野菜で家族を養うことができるので幸運です。他の人たちはそれほど幸運ではないのです」と、2人の子どもの母であるミナラさんは語ります。

また、3児のシングルマザーであるモジナさん(27歳)はこう訴えます。「子どもたちの食事の量を減らす必要がありますが、いつまで減らせば良いのでしょうか?家族には十分な食料がなく、どうやって生きていけばいいか本当に分からないのです。」

UNHCRのバングラデシュでの援助活動

ビューティさん
難民ボランティアのビューティさん

UNHCRはバングラデシュ当局やパートナー団体と協力し、人道支援を必要とするロヒンギャ難民に援助活動を続行しています。

保護の強化

難民と受け入れコミュニティを保護、基本的ニーズを満たし、保健等の福祉を促進させます。

援助物資の提供

困窮している人々に命を守る援助を提供。人道支援を必要とする難民が平等に援助にアクセスできるよう、サービスと援助を維持/合理化。

受け入れコミュニティへの支援

多数のロヒンギャ難民を受け入れる影響を緩和するため、受け入れコミュニティにおける公共サービスのインフラを強化し、持続可能な環境と生態系を回復させます。

災害リスク管理

災害を調整するメカニズムを強化し、また火災等に対応できる難民ボランティアを育成します。また、気候変動の影響を軽減するため、森林再生の促進、廃棄物管理計画の策定、再生可能でクリーンなエネルギー源の利用促進、プラスチック材料の使用回避等を促します。

厳しい資金不足により、援助活動縮小の危機に瀕しています

2024年4月現在の活動資金不足分78%

ロヒンギャの人々は故郷ミャンマー、そして避難先のバングラデシュやインドネシア等で厳しい避難生活を強いられているにも関わらず、その危機は国際社会から注目が集まらなくなり、活動資金は大幅に不足しています。2023年は必要とされている活動資金の約半分(51%)しか集まらず、そして今年2024年も、バングラデシュでは必要とされる活動資金2億7500万米ドル(約409億7500万円)のうち22%しか集まっていません*。このままだと、豪雨等の自然災害や火災といった緊急事態への対応、そして子どもたちへの教育等、様々な援助活動に支障を及ぼす恐れがあります。(*2024年4月現在)

皆様のご支援が、ロヒンギャ難民の命を守ります

子どもたち
インドネシアのアチェにて、難民キャンプで遊ぶ子どもたち

2017年8月のラカイン州での暴力行為の勃発、頻発するモンスーン、サイクロンといった自然災害、難民キャンプでの火災等、これまでもロヒンギャ難民危機における緊急事態へのご支援のお願いに、多くの方々が応えていただきました。改めて、厚く感謝申し上げます。
しかし、“忘れられた難民危機”となりつつあるこの人道危機は現在も続いており、そしてロヒンギャ難民は今も皆様の支援を必要としています。数々の困難に直面しながら、ロヒンギャ難民は何とか生活を維持し、そして子どもたちは将来のために学びを得ようと日々苦闘しています。
これからもぜひ、ロヒンギャ難民を守るUNHCRの活動をご支援いただきますよう、心よりお願い申し上げます。

UNHCR(国連高等難民弁務官事務所)は、 難民の命を守り、保護する機関です。
緒方貞子さんとルワンダ難民
ルワンダ難民を訪問する緒方元高等弁務官
UNHCRは、シリア・アフガニスタン・ウクライナなど世界中で家を追われた難民・国内避難民を支援・保護し、水や食料、毛布などの物資の配布や、難民キャンプなど避難場所の提供、保護者を失った子どもの心のケアなど、最前線で援助活動に尽力しています。1991年から10年間、緒方貞子さんが日本人として初めてUNHCRのトップである国連難民高等弁務官を務めました。 
※紛争や迫害などのため命の危険があり、国外へ逃れた人を「難民」、国内で避難している人を「国内避難民」と呼びます。
毎月1,500円のご寄付
インドネシアのアチェに到着した難民の子どもたちのための1週間分の栄養補給 約24人分
毎月2,500円のご寄付
インドネシアで自立して暮らすロヒンギャ難民への毎月の現金給付/医療支援 約2人分
毎月5,500円のご寄付
インドネシアのアチェに到着した家族(4人家族)のための衛生キットと衛生用品 約4家族分

※1年ご支援を続けていただいた場合、1ドル=149円換算

  • 当協会へのご寄付は、寄付金控除(税制上の優遇措置)の対象になります。お送りする領収証は確定申告にご利用いただけます。
  • ご支援者の皆様にはメールニュース、活動報告等を送らせていただき、難民支援の「今」、そしてUNHCRの活動を報告させていただきます。
  • Webでご寄付いただく際の皆様の個人情報はSSL暗号化通信により守られております

*皆様のご支援は、UNHCRが最も必要性が高いと判断する援助活動に充当させていただきます。

皆様からのご寄付によって 多くの命が助かります。
水・食糧の供給から住居、医療、教育まで、長期的に難民を 支えるには、毎月のご支援が欠かせません。ぜひ、ご検討ください。
水・食糧の供給から住居、医療、教育まで、長期的に難民を 支えるには、毎月のご支援が欠かせません。ぜひ、ご検討ください。
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