どうか、勉強を続けられますように。
~UNHCRの難民教育支援~

難民の子どもの教育をとりまく厳しい現実

難民の子どもと若者が尊厳を持って生きていく上で、教育は必要不可欠です。しかし、大半の難民が暮らしているのは発展途上国で、受け入れ側の教育インフラは万全とは言えず、紛争地においては学校が襲撃を受けることさえ珍しくはありません。

今、新型コロナウイルス感染症の影響により、難民の子どもの教育はいっそう厳しい状況に置かれています。

シリア難民の少女
ヨルダン、ザータリ難民キャンプ。規制緩和により学校に戻ってきたシリア難民の少女。(2020年9月撮影)

難民の子どもの低い就学率

難民の子どもの就学率は残念ながら低いレベルにあります。とりわけ就職・自立につながる高等教育はわずか3%に過ぎず、難民の自立のためには大幅な改善が求められます。

初等教育(小学校レベル) 77% 日本:102% 中等教育(中学・高校レベル)31% 日本:高校98.8% 高等教育(大学・短大・高専・専門学校レベル)3% 日本:大学(学部)・短期大学(本科)58.5% 日本の数値は指標の種類・調査時期がそれぞれ異なります。ひとつの参考数値としてご参照ください。

難民の女の子の2人に1人が学校を中退

2020年中に難民の全女子児童・女子学生の50%が中退したと見られ、男子より状況は深刻です。

50% 難民の全女子児童・女子学生の50%は授業が再開されても学校に戻らない可能性があります


コロナ禍で学校に通えなくなった難民の子ども 180万人

新型コロナウイルス感染症の予防措置として各国で学校閉鎖が行われ、授業がリモート形式に移行する中、インターネットへのアクセスが限られていたり、必要な端末機器を持たない難民の子どもが大勢います。

感染予防のための行動規制で、生計を立てる手段を断たれた難民が貧困に直面。教育費用を捻出できない家庭も増えています。

各国がとった新型コロナウイルス感染症の予防措置によって、2020年9月時点では約180万人の難民の子どもたちが学校に通えなくなりました。

コロナ対策による資金不足で教育支援に深刻な影響

コロナ対策により、世界各国で多くの援助活動が削減されています。そのため教育支援にも深刻な影響が出ています。

UNHCR の難民教育支援

2019年12月に国連で採択された「難民のためのグローバル・コンパクト」。この新たな国際的な取り決めは、受け入れ国の負担軽減などを目的に、難民問題を今までの難民キャンプなどへの保護ではなく、積極的に各国の社会に良い形で「含めながら」、難民自身の自立を図ることを目指すものです。

難民の40%が18歳未満です。難民が自立するために重要なカギは「教育」です。教育は難民の子どもや若者を武装勢力への強制的勧誘、児童労働、性的搾取、児童婚から守り、コミュニティ再生の大きな力となります。

UNHCRの難民教育支援の特長を4つの角度からご紹介します。

※出典:Global Trends 2019

【1】いかに「受け入れ国の教育制度」に難民を含めるか

難民教育支援でもっとも大切なのはいかに「受け入れ国の教育制度」に難民を含めるか、ということ。UNHCRはすべての年代の難民が避難先の国の教育制度に則ったきちんとした教育を受けられる機会をもてるよう各国政府、関係機関などと緊密にやりとりします。

その中には、避難して3か月以内に、通学できる、ないし通学準備プログラムを受けられるようにすることなどが含まれています。

難民を受け入れ国の教育制度に含めることにより以下の実現を図ります。

  • 難民がきちんと認められた学歴を得られる
  • 国の制度に含めることにより教育の質を確保する
  • 地元の子ども達と難民の子ども達との社会的結合を図る
  • 地元の教育システム自体を改善することにより、難民を含む地域全体の教育を持続的に向上させる

支援の現場から ナイジェリア 避難先の小学校に入るための通学準備プログラムをサポート

ナイジェリアのオガジャ地区の人々が主導している2~5歳のカメルーン難民の子ども達のための「通学準備プログラム」。UNHCRも机などを提供しています。地元の学校に通うためには、様々な準備が必要です。

準備の具体例

  • 通える学校の確保
  • 難民の子どもの学力査定システムの確立
  • 親との面談(不安解消・理解促進など)
  • 語学トレーニング など

【2】「難民のニーズに基づく」幅広い援助活動

UNHCRは難民の若者達とよく話し合いながら、各々が必要とするニーズに応える形で教育支援を行います。
家計を助けるために働いている児童の家庭には、現金給付支援を行うことにより子どもが学校に通えるようにしたり、破壊された校舎をシェルター支援の一環として修復するなど、支える方法は様々です。

援助活動の具体例

  • 教材の配布
  • 教師の訓練
  • 安全に勉強できる場所の確保
  • 職業・技術訓練 など

支援の現場から パキスタン アフガン難民の子ども達が通う学校を支援しています

UNHCRでは2020~2022年の3か年に、14か国において難民の子ども達が初等教育を受ける機会を拡大する包括的な強化プラン「Educate a Child」を実施しています。

このプランには、校舎の建築・修理、きちんとしたトイレや手洗い設備をつける、学習センターのサポート、教師のトレーニング、学校用品や教科書の提供、試験費用の負担などが含まれます。

アフガン難民のカーリくん(白い帽子)が通う学校もその対象のひとつ。まだ学校に通えていないアフガン難民の子ども達に本を読み聞かせています。

【3】難民の自立のカギとなる「高等教育」を重視

「難民のためのグローバル・コンパクト」は難民を受け入れ国の社会・経済に含めることを目指していますが、そのためには難民自身が各種の職業に就けるレベルの知識・技術を身に着けること、すなわち高等教育(大学・高専・専門学校レベル)が求められます。

UNHCRは2030年までに難民学生の高等教育への就学率を15%まで改善を図ることを目指しています。

難民が参加できる「高等教育 5つの機会」

    国立大学への就学 国の職業技能訓練(TVET)への就学 コネクティッド・エデュケーション注1による高等教育 UNHCRの高等教育奨学金(DAFI奨学金制度など) 高等教育のための第三国注2への留学

注1:対面学習とオンライン学習を組み合わせた革新的な高等教育
注2:第三国:出身国でも避難先でも無い国を指す

支援の現場から ヨルダン 「DAFIプログラムの奨学金は私の人生を変えてくれました」

サラーム・アル・ハリリさん(26歳)は、ヨルダンの首都アンマンで避難生活を送るシリア難民の一人で、母でもあり、薬剤師見習いでもあります。難民の学生のための「DAFIプログラム奨学金」に応募して、ヨルダン大学を卒業。卒業後はアンマン市内の薬局で薬剤師の見習いとして働いています。

ハリリさんはヨルダンの医療制度と、ヨルダンに避難中のシリア難民コミュニティとの貴重な懸け橋。コロナ禍でその役割はより重みをましています。

【4】「デジタル」で質の高い教育を難民に

様々な場所で避難生活を送る難民に質の高い教育を届けるためには、デジタルの活用が非常に重要となります。

対面とオンラインの学習を組み合わせた「コネクティッド・エデュケーション」により、交通の便の悪い場所に住んでいる学生たちもトップクラスの大学とつながることが可能となり、国境を越えて地球規模で知識をやりとりすることができるようになりました。

「コネクティッド・エデュケーション」のひとつがUNHCRが英ボーダフォン財団と共同で実施している『即席ネットワーク教室』です。このプログラムは、様々な質の高い教育を提供しています。

支援の現場から ケニア 「即席ネットワーク教室」で教育の質があがりました

ケニア、カクマ難民キャンプ。タブレットを活用する「即席ネットワーク教室」による授業を受けている南スーダン難民のメアリさん(左)とムミナさん(右)。

「情報通信技術が生徒達の学習形態にもたらした変化を目撃するのは、私にとってこれまでで最も興味深い体験でした。生徒は授業により集中し、興味を持ってくれます」(ケニアのカクマ難民キャンプにあるグリーンライト中等学校の教師アドールさん)

2021年の主な目標

UNHCR職員からのメッセージ

難民の持つ力を活用したい 教育はそのカギとなります

コロナ禍の影響、国連加盟国の拠出金の大幅削減などで UNHCRの難民援助活動の予算は削減されています。

私が任務に就いているUNHCRケニアの教育支援の予算は2019年から2020年にかけて 25%削減、2020年から2021年にかけてさらに25% 削減されています。今 UNHCRは難民教育支援の重要性を痛感しながら予算削減しなければならないというジレンマに直面しています。

石原職員
シリアの国内避難民の子ども達の話に耳を傾ける石原職員(左)

そんな中、今回、日本から「即席ネットワーク教室」への支援を募ると聴いて心から嬉しく思っています。教育は全てを変えます。難民の立ち直る力はすごいです。教育やトレーニングがあれば、難民の力がもっと活かされるのは間違いありません。

例えばカクマ難民キャンプでも、調査、教師、通訳、難民のメンタルケアなど難民の力が難民のために活かせる場面はたくさんあります。それは難民の生きる喜びになると思うのです。

今まで日本からのご支援は本当に大きな心の支えになりました。あらためて感謝申し上げます。もし可能ならこの機会に「即席ネットワーク教室」へのご支援をご検討いただければ嬉しい限りです。

UNHCRケニア カクマ事務所 保護官 石原朋子

デジタルで質の高い教育を難民に ~UNHCR『即席ネットワーク教室』


ケニア カクマ難民キャンプ。『即席ネットワーク教室』で学ぶ難民学生たち。

世界最大手の通信・テクノロジー関連企業のひとつ、英ボーダフォン社が設立したボーダフォン財団とUNHCRが共同で実施している『即席ネットワーク教室』。難民キャンプの学校の教室などをテクノロジーの導入によってオンライン教材やシステムを授業に活用できるようにするプログラムです。

  • 難民と受け入れコミュニティの子ども達に、受け入れ国で認可されている教育を確実に届けることができます。
  • 最低限の物資でコンパクトに設置可能。様々な状況の中で柔軟かつ迅速に質の高い教育を提供できます。

2013年の開始から、ケニア、タンザニア、コンゴ民主共和国、南スーダンにある計8か所の難民キャンプで8万6000人以上の生徒と1千人以上の教師がこのプログラムを受け、大きな成果が得られています。

この成果に鑑み、UNHCRは『即席ネットワーク教室』を、教育分野での援助活動において2025年まで重点的に強化する方針を固めました。

「質の高い教育を今確保することは、明日の貧困や苦しみを減らすことを意味します」
リバプールFC モハメド・サラー選手(『即席ネットワーク教室』アンバサダー)

サラー選手

世界最高のサッカー選手のひとり、リバプールFCのモハメド・サラー選手は人道支援を熱心に行っていることで知られています。サラー選手は『即席ネットワーク教室』に賛同、2020年2月にアンバサダーに就任しました。

ご寄付が「およそ2倍」 になって届きます ~ボーダフォン財団によるマッチングギフト

実施期間 2021~2025年 終了予定

英ボーダフォン財団は皆様からの『即席ネットワーク教室』へのご支援に同額を上乗せするマッチングギフトを実施します。

なたからのご支援タブレット1台分30,000円+ボーダフォン財団からの支援金タブレット1台分30,000円=現地へ届く支援タブレット2台分60,000円

※ボーダフォン財団からの支援金は実際には「ほぼ同額」となります

ボーダフォン財団 : 難民を含む世界中の弱い立場の人達に対する「通信テクノロジーを活用した援助活動」に対してボーダフォン・グループの資金を寄付するために設立された英国の慈善団体。ボーダフォン・グループは世 style="margin-top: 20px;"界最大手の通信テクノロジー関連企業のひとつ。24か国で事業を展開、契約者は約6億2500万人。

皆様からのご寄付によって 多くの命が助かります。
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