戦争で。貧困で。迫害や差別で。
難民の子どもの2人に1人が、学校に通っていません。

世界でUNHCRの支援対象である学齢期の子どもたちは1000万人以上になりますが、実にその2人に1人は、学校に通っていない状態にあります。
安心して我が家で暮らすこともできず、生まれ育った故郷を追われ、学校すら通えなくなってしまった難民の子どもたちが多くいます。国連によると、ウクライナでは戦争のため、500万人以上の子どもたちの教育が阻害されています。また、激しい戦闘の続くコンゴ民主共和国では、難民の子どもの65%が小学校に通っていない深刻な状況です。
難民の子どもたちに将来の夢を尋ねると、「先生になりたい」「医師になって、母国でみんなの病気を治したい」など、大きな夢を語ってくれます。しかし、その夢への道は極めて険しいものです。

わたしは、もうすぐ、学校に通えなくなる…
家を追われ、“子ども時代” を失う子どもたち

「きっともうすぐ、学校に通えるようになる」。そう夢見る子どもたちがいます。
一方で、「もうすぐ、学校に通えなくなるかもしれない」と 不安でたまらない子どもたちがいます。

「ウクライナには、もう永久に戻れないかもしれない」
ウクライナへの侵攻が始まってすぐ、ソフィアさん(13歳)は両親を故郷に残してバスを乗り継ぎ、14時間かけて国境を越え、祖母の暮らすポーランドへ避難してきました。祖母はソフィアさんの勉強のために、そして自分が働いている日中、孫娘が安全に過ごせるように学校を急いで探しました。ソフィアさんは今、ポーランド語の話せない難民を受け入れる学校に通っています。「最初はほんの2、3週間の避難だと思っていました。でも、もう永久に戻れないのかも、と思うようになりました」と彼女は言います。
ウクライナでは数千校の学校が破壊され地雷等の危険もあり、多くの親が危険を恐れ子どもを学校に通わせていません。また、ウクライナから近隣国に逃れている子どもたちの3人に2人も、言葉の壁など様々な問題を抱え、学校に通っていません。
耳が聞こえず、話せないロヒンギャ難民の少年の願い
「村に火がつけられるのを見ました。銃声と恐怖で心臓が撃たれたようでした」。巧みな手話で、2018年のミャンマーでの恐ろしい迫害を説明するハッソンくん(13歳)。耳が聞こえず話をすることができない彼は、激しい戦闘の中を命がけで逃れ、バングラデシュへたどり着きました。母親を失ったハッソンくんを育ててきた叔母は、障がいを持つ彼が周囲から理解されず、苦しんできたのを知っています。それでも、今彼は学習センターで読み書きを覚え、友人に写真の撮り方を教わり、写真を撮るようになりました。
現在この難民キャンプでは、障がいを持つ子どもは公式の教育を受けられません。彼は手話で訴えます。「世界の人々に僕の写真を見て、僕たちの苦しみを理解してほしい。教育を受けたいという強い願いを知ってほしいのです」。
「大きくなったら、お医者さんになりたいけれど」
ヤルダさん(8歳)はアフガニスタン・カブールで避難生活を送っています。ヤルダさんは勉強を続け、将来は医師になりたいという夢を持っていました。しかし今アフガニスタンでは、女の子は小学6年生を終えると学校へ通うことができません。
2021年のタリバンの復権以降、様々な制約が少女と女性の希望や夢を奪ってきました。女子の中学校のほとんどは閉校となり、多くの女性は職を失いました。家族はさらに貧困に陥り、結婚を強制される少女もいます。
「息子たちは父親を失い、子ども時代を失いました」
コラウドさんは母国シリアで小学校の教師でしたが、紛争で夫が亡くなり、息子2人を連れてギリシャのサモス島へ逃れてきました。息子たちは小学校をやめるほかありませんでした。彼女は家族でヨーロッパへ移り生活を立て直したいと願っています。「シリアの紛争のことを忘れてほしいのです。息子たちは父親を失い、子ども時代を失いました。息子の一人は髪に白髪が混じっているのです。まだ10歳だというのに」。
コンゴ民主共和国の戦闘を逃れ、教室に寝泊まりする少女
コンゴ民主共和国のイトゥーリ州に避難する、アンジェレさん(5歳)が、目を覚ましました。戦闘を逃れ、彼女が避難生活を送っているのは小学校。彼女を含む約1500人が避難しており、教室の床に寝るしかなく、寒さにさらされます。朝には授業が始まるので、みな教室から出なければなりません。体調が悪い子どもたちは起き上がれず、授業の傍らで臥せったままです。この学校は定員を超過しており、避難してきた子どもたちは授業は受けられません。子どもたちは昼間何もすることがなく、ただ外を歩き回るしかありません。
「暴力の連鎖を断ち切るために」難民の教師、アサニアさん
「息子たちは父親を失い、子ども時代を失いました」アサニアさん(28歳)は、スーダン・ダルフールの激しい戦闘を逃れて夫や息子とチャドへ避難してきました。難民キャンプの小学校で、教師として100人以上の児童を担当しています。資金不足で教室の数は足りず、しばしば屋外での授業を強いられます。この日、朝7時半の時点で気温はすでに40度近くでした。アサニアさんは、現在父親と障がいを持つ妹とも一緒に暮らし、生活を支えています。「私の旅は、無差別に繰り返される暴力に晒されてきました。それは無知の結晶だと私は考えます」と彼女は言います。「子どもたちが教育を受けることが、ダルフールでの暴力の連鎖を断ち切ることにつながると確信しています」。

子どもたちが、何度も言うのです。「ペンも持っていません」「学校が遠いです」そして、「お腹が減っています」と。

UNHCRウガンダ事務所 コミュニティ・ベースト保護官 古林安希子

古林職員
古林安希子職員(右から4番目)

私はこれまで約5年間、ウガンダで難民援助活動にあたってきました。ウガンダはアフリカで最大の難民受け入れ国で、約150万人の難民が暮らしていますが、今年も1か月で7000人が逃れており、今も難民の数は増え続けています。一方で、コロナ禍とウクライナ戦争の影響で資金援助は大幅に減り、資金不足が大きな問題となっています。その影響が深刻な分野の一つは、難民の子どもたちの教育です。難民の家庭の貧困は一層厳しくなっており、子どもたちは畑仕事や肉体労働等の仕事をしたり、きょうだいの世話をしなければならず、学校に通えない例も少なくありません。小学校の学費は無料ですが、給食費が払えず学校に通えない子どもたちもいます。

学校や教室は不足し仮設状態のものも多く、雨が降る日や暑い日には過酷な環境となります。一つの教室に平均で131人の児童がすし詰め状態で授業を受けており、教師1人につき生徒が73人、子どもたちは床に座ったり、一つの机を他の6人の生徒たちと共有したりしています。UNHCRは学校の建築、教師の雇用やトレーニング、教科書や先生のパソコンなど教育に関する全面的な支援を行ってきましたが、それを削減せざるを得ない事態になっています。

難民キャンプの教室の様子
小学校の床に座って授業を受ける子どもたち

ウガンダでUNHCRと一緒に教育支援にあたる、パートナー団体の代表は状況の深刻さをこう指摘します。「私はパラベク難民キャンプ*で、子どもたちの教育がどれだけ損なわれているか見てきました。コロナ禍による2年間の学校の閉鎖の後、再開した学校へ戻ってきた学齢期の子どもたちは44%だけです。
この居住地には2017年に唯一の中学校ができましたが、とても遠くです。資金不足で食料支援も大幅に削減されたため、多くの子どもたちが朝食もとらずに朝5時に家を出て、10キロ以上歩いて学校へ行き、夕方5時に帰宅するまで空腹を強いられます。家には電気がなく、夜に勉強もできないことも珍しくありません。本当に多くの子どもたちが成績不良で、ドロップアウトしてしまうのです」。子どもたちは、学校へ通えない理由を何度も何度も訴えるそうです。「文房具もないのです」「学校が遠いです」。そして「お腹が減っています」と。*ウガンダ北部の難民居住地。約7万人の難民が暮らしている

難民の子どもたちにとって、教育はとても重要です。学校は読み書きや計算を覚えるだけでなく、子どもたちが安心して過ごせる場所であり、児童労働や暴力、搾取などから守る場所でもあります。

今、ウガンダをはじめ世界には、国際社会から関心を向けられず、支援の届かない状況にある難民の子どもたちが多くいます。彼らが早く学校へ戻ることができるように。教育を受け未来へ希望をつなぐことができるように。UNHCRと一緒に、難民の子どもたちを支えていただきますよう、心よりお願い申し上げます。

「難民の子どもを、学校に!」UNHCRの教育支援

現金給付支援
2022年10月、現金給付を受ける南スーダン難民の親子。「滞納中の学費を払い、4人の子どもたちの学用品が買えます。娘には勉強を続けてほしいです」と母親のラジェナさん。

貧困に苦しむ難民の家族にとって、子どもを学校に通わせるため、現金給付は不可欠な支援です。
通学キットの配布
パキスタンでUNHCRから通学バッグを受け取るアフガン難民の男の子。UNHCRはパキスタン政府と連携し、難民の子どもたち約5万7000人以上に教育支援を行っています。

鉛筆やノート、制服、通学バッグ、靴など、学校に通うために必要なものを無料で配布します。
ソーラーランタンの提供
ソマリア難民のザムザムさん(11歳)「今まで家に明かりがありませんでしたが、これからは家で夜も勉強できます。将来は医師になって、母国のために尽くしたいです」。

日中は水くみや弟妹の世話等で忙しい子どもたちが、日没後も安全に生活し、勉強できます。

あなたのご寄付で、できること

アフガニスタンの国内避難民で4人兄妹のベヘテルさん(8歳)。父は薬物依存に陥り数か月帰宅せず、兄(11歳)が働く

「鉛筆も学校に着ていく服もない」

→ 文房具、制服、通学バッグ、教科書等を無償で配布

「学校が遠い、爆撃で破壊された」

→ 学校の建設・増設、破壊された学校の修復、トイレや手洗い場などの整備

「避難先の学校は難民を受け入れていない」

→ 難民が避難先でも学校に通えるよう、政府や自治体へ働きかけ連携して制度を整備

「学校に通うお金がない」

→ 学費の補助、現金給付支援、奨学金プログラム、無償での初等教育の提供など

「授業についていけない」

→ 補修授業や避難先の言語を学ぶプログラムの提供、ストリートチルドレンが通える学習施設などの支援

「障がいがあって学校に通えない」

→ 点字教材や車椅子の支給、バリアフリーのトイレ等の整備、トラウマを抱えた子どもの心のケアなど

「夜は真っ暗で勉強できない」

→ 暗闇でも勉強できるソーラーランタンの提供

家を追われた子どもたちの未来は、どうなる?

家を追われ、「子ども時代」を失っている子どもたちこそ、誰よりも教育を必要としています。しかし今、かつてないほど難民は増え、UNHCRの資金不足は深刻化し、教育支援が世界各地で削減される緊急事態となっています。難民の子どもたちから、決して教育の機会を奪うことのないように。その未来を断ち切ってしまうことのないように。 どうぞ今すぐ、あなたのお力を貸していただけないでしょうか。

1人でも多くの子どもたちが学校に戻り、大切な子ども時代を取り戻せるように。教育を受けることで自らの未来を切り拓き、そして母国の平和と復興を進める大きな力となるように。皆様の温かいご協力を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

毎月1,500円のご寄付
ミャンマーの避難生活で、夜も勉強できるソーラーランプ:約5個分
毎月3,000円のご寄付

学校へ通うための文房具や通学バッグなど通学キット:約11人分

毎月5,000円のご寄付

貧困に苦しむ家庭も子どもを学校に通わせられるように。現金給付:約4家族分

※1年続けていただいた場合、1ドル=144円換算
※支援を行う国・地域や情勢により物価は変動するため、上記の金額は目安です。
皆様からのご支援は、教育支援を含む資金を最も必要とするプロジェクトに活用させていただきます。

UNHCR(国連高等難民弁務官事務所)は、 難民の命を守り、保護する機関です。
緒方貞子さんとルワンダ難民
ルワンダ難民を訪問する緒方元高等弁務官
UNHCRは、シリア・アフガニスタン・ウクライナなど世界中で家を追われた難民・国内避難民を支援・保護し、水や食料、毛布などの物資の配布や、難民キャンプなど避難場所の提供、保護者を失った子どもの心のケアなど、最前線で援助活動に尽力しています。1991年から10年間、緒方貞子さんが日本人として初めてUNHCRのトップである国連難民高等弁務官を務めました。 
※紛争や迫害などのため命の危険があり、国外へ逃れた人を「難民」、国内で避難している人を「国内避難民」と呼びます。

よくあるご質問

Q 寄付は、寄附金控除の対象になりますか?
A はい、ご寄付は寄付金控除(税制上の優遇措置)の対象となります。お送りする領収証は、確定申告にご利用いただけます。
Q UNHCR駐日事務所と国連UNHCR協会はどのような関係にあるのですか?
A UNHCR駐日事務所は、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が、現在世界約130か国に置く事務所のひとつであり、主に日本政府との窓口を務めています。国連UNHCR協会は、スイス・ジュネーブのUNHCR本部やUNHCR駐日事務所と連携して、日本における公式支援窓口として活動しています。
Q 毎月の寄付の金額は自由に決められますか?
A はい、月々1,000円以上であれば、500円単位で任意の金額をお選びいただけます。
Q 寄付はどのように使われますか?
A ご寄付は世界中で支えを待つ難民のために大切に使わせていただきます。難民支援のための予算は、重大性・緊急性などを考慮して配分されます。
Q 支援を停止する場合はどうすればいいですか?
A ご支援金額の変更や停止はいつでも可能です。0120-540-732(通話料無料)または、「毎月寄付の金額・寄付方法の変更、解約」ページよりお手続きをしていただけます。
皆様からのご寄付によって 多くの命が助かります。
水・食糧の供給から住居、医療、教育まで、長期的に難民を 支えるには、毎月のご支援が欠かせません。ぜひ、ご検討ください。
水・食糧の供給から住居、医療、教育まで、長期的に難民を 支えるには、毎月のご支援が欠かせません。ぜひ、ご検討ください。
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