世界でUNHCRの支援対象である学齢期の子どもたちは1000万人以上になりますが、実にその2人に1人は、学校に通っていない状態にあります。
安心して我が家で暮らすこともできず、生まれ育った故郷を追われ、学校すら通えなくなってしまった難民の子どもたちが多くいます。国連によると、ウクライナでは戦争のため、500万人以上の子どもたちの教育が阻害されています。また、激しい戦闘の続くコンゴ民主共和国では、難民の子どもの65%が小学校に通っていない深刻な状況です。
難民の子どもたちに将来の夢を尋ねると、「先生になりたい」「医師になって、母国でみんなの病気を治したい」など、大きな夢を語ってくれます。しかし、その夢への道は極めて険しいものです。
わたしは、もうすぐ、学校に通えなくなる…
家を追われ、“子ども時代” を失う子どもたち
「きっともうすぐ、学校に通えるようになる」。そう夢見る子どもたちがいます。
一方で、「もうすぐ、学校に通えなくなるかもしれない」と 不安でたまらない子どもたちがいます。

ウクライナでは数千校の学校が破壊され地雷等の危険もあり、多くの親が危険を恐れ子どもを学校に通わせていません。また、ウクライナから近隣国に逃れている子どもたちの3人に2人も、言葉の壁など様々な問題を抱え、学校に通っていません。

現在この難民キャンプでは、障がいを持つ子どもは公式の教育を受けられません。彼は手話で訴えます。「世界の人々に僕の写真を見て、僕たちの苦しみを理解してほしい。教育を受けたいという強い願いを知ってほしいのです」。

2021年のタリバンの復権以降、様々な制約が少女と女性の希望や夢を奪ってきました。女子の中学校のほとんどは閉校となり、多くの女性は職を失いました。家族はさらに貧困に陥り、結婚を強制される少女もいます。



子どもたちが、何度も言うのです。「ペンも持っていません」「学校が遠いです」そして、「お腹が減っています」と。
UNHCRウガンダ事務所 コミュニティ・ベースト保護官 古林安希子

私はこれまで約5年間、ウガンダで難民援助活動にあたってきました。ウガンダはアフリカで最大の難民受け入れ国で、約150万人の難民が暮らしていますが、今年も1か月で7000人が逃れており、今も難民の数は増え続けています。一方で、コロナ禍とウクライナ戦争の影響で資金援助は大幅に減り、資金不足が大きな問題となっています。その影響が深刻な分野の一つは、難民の子どもたちの教育です。難民の家庭の貧困は一層厳しくなっており、子どもたちは畑仕事や肉体労働等の仕事をしたり、きょうだいの世話をしなければならず、学校に通えない例も少なくありません。小学校の学費は無料ですが、給食費が払えず学校に通えない子どもたちもいます。
学校や教室は不足し仮設状態のものも多く、雨が降る日や暑い日には過酷な環境となります。一つの教室に平均で131人の児童がすし詰め状態で授業を受けており、教師1人につき生徒が73人、子どもたちは床に座ったり、一つの机を他の6人の生徒たちと共有したりしています。UNHCRは学校の建築、教師の雇用やトレーニング、教科書や先生のパソコンなど教育に関する全面的な支援を行ってきましたが、それを削減せざるを得ない事態になっています。

ウガンダでUNHCRと一緒に教育支援にあたる、パートナー団体の代表は状況の深刻さをこう指摘します。「私はパラベク難民キャンプ*で、子どもたちの教育がどれだけ損なわれているか見てきました。コロナ禍による2年間の学校の閉鎖の後、再開した学校へ戻ってきた学齢期の子どもたちは44%だけです。
この居住地には2017年に唯一の中学校ができましたが、とても遠くです。資金不足で食料支援も大幅に削減されたため、多くの子どもたちが朝食もとらずに朝5時に家を出て、10キロ以上歩いて学校へ行き、夕方5時に帰宅するまで空腹を強いられます。家には電気がなく、夜に勉強もできないことも珍しくありません。本当に多くの子どもたちが成績不良で、ドロップアウトしてしまうのです」。子どもたちは、学校へ通えない理由を何度も何度も訴えるそうです。「文房具もないのです」「学校が遠いです」。そして「お腹が減っています」と。*ウガンダ北部の難民居住地。約7万人の難民が暮らしている
難民の子どもたちにとって、教育はとても重要です。学校は読み書きや計算を覚えるだけでなく、子どもたちが安心して過ごせる場所であり、児童労働や暴力、搾取などから守る場所でもあります。
今、ウガンダをはじめ世界には、国際社会から関心を向けられず、支援の届かない状況にある難民の子どもたちが多くいます。彼らが早く学校へ戻ることができるように。教育を受け未来へ希望をつなぐことができるように。UNHCRと一緒に、難民の子どもたちを支えていただきますよう、心よりお願い申し上げます。
「難民の子どもを、学校に!」UNHCRの教育支援

貧困に苦しむ難民の家族にとって、子どもを学校に通わせるため、現金給付は不可欠な支援です。

鉛筆やノート、制服、通学バッグ、靴など、学校に通うために必要なものを無料で配布します。

日中は水くみや弟妹の世話等で忙しい子どもたちが、日没後も安全に生活し、勉強できます。
あなたのご寄付で、できること

「鉛筆も学校に着ていく服もない」
→ 文房具、制服、通学バッグ、教科書等を無償で配布
「学校が遠い、爆撃で破壊された」
→ 学校の建設・増設、破壊された学校の修復、トイレや手洗い場などの整備
「避難先の学校は難民を受け入れていない」
→ 難民が避難先でも学校に通えるよう、政府や自治体へ働きかけ連携して制度を整備
「学校に通うお金がない」
→ 学費の補助、現金給付支援、奨学金プログラム、無償での初等教育の提供など
「授業についていけない」
→ 補修授業や避難先の言語を学ぶプログラムの提供、ストリートチルドレンが通える学習施設などの支援
「障がいがあって学校に通えない」
→ 点字教材や車椅子の支給、バリアフリーのトイレ等の整備、トラウマを抱えた子どもの心のケアなど
「夜は真っ暗で勉強できない」
→ 暗闇でも勉強できるソーラーランタンの提供
家を追われた子どもたちの未来は、どうなる?

家を追われ、「子ども時代」を失っている子どもたちこそ、誰よりも教育を必要としています。しかし今、かつてないほど難民は増え、UNHCRの資金不足は深刻化し、教育支援が世界各地で削減される緊急事態となっています。難民の子どもたちから、決して教育の機会を奪うことのないように。その未来を断ち切ってしまうことのないように。 どうぞ今すぐ、あなたのお力を貸していただけないでしょうか。
1人でも多くの子どもたちが学校に戻り、大切な子ども時代を取り戻せるように。教育を受けることで自らの未来を切り拓き、そして母国の平和と復興を進める大きな力となるように。皆様の温かいご協力を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
あなたのご支援でできること


学校へ通うための文房具や通学バッグなど通学キット:約11人分

貧困に苦しむ家庭も子どもを学校に通わせられるように。現金給付:約4家族分
※1年続けていただいた場合、1ドル=144円換算
※支援を行う国・地域や情勢により物価は変動するため、上記の金額は目安です。
皆様からのご支援は、教育支援を含む資金を最も必要とするプロジェクトに活用させていただきます。

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