緊急時に子どもを守る
~UNHCRの「子どもの保護支援」~

通常、子どもを守るのは親、親族や周囲の大人です。そしてその子が暮らす国や地域の保護制度です。

では緊急時はどうでしょう?

果たして避難先の国や地域の保護の手はきちんと避難民の子どもまで届くのでしょうか。

そんなとき、避難先の国や地域の保護制度と避難民の子ども達をしっかりつなぐのがUNHCRです。

ウクライナからの難民の子ども
イタリアに避難するために、スロベニアからイタリアへ向かうバスに乗っているウクライナからの難民の子ども。

UNHCRの「子どもの保護支援」として最も重要な活動は以下のような活動です。

  • 避難先の国や地域の保護制度の対象に避難民の子どもをしっかり含める
  • 避難先の国や地域の保護制度を支え強化する

UNHCRは避難先の国や地域の「子どもの保護制度」の分析を行い、既存の制度を補う形で「子どもの保護支援」を行います。

避難を余儀なくされている人の約4割は18歳未満の子どもです。

現在、UNHCRは世界各地の緊急支援の現場で「子どもの保護支援」を最重要支援のひとつと位置付けて、様々な援助活動を実施しています。

ブルンジ難民の子どもたち

コンゴ民主共和国 子どもにやさしい難民登録を行っています

難民登録のため、虹彩認証の機械を一生懸命のぞいているブルンジ難民の子ども。

その子にとって何がいちばん幸せか?

UNHCRはどのように「子どもの保護支援」に取り組んでいるのでしょうか。それは「その子にとって何がいちばん幸せか」を常に考慮しながら実施する ※1 ということです。

これは国連「子どもの権利条約」 ※2 に謳われている子どもの基本的権利のひとつ「子どもの最善の利益」に基づいています。「最善の利益」とは広義で言えば「幸せ」。「子どもにとってのいちばんの幸せ」を考慮しようということです。

「その子にとって何がいちばん幸せか」ということを考慮しながら子どもの保護支援を実施するため、UNHCRは子ども1人ひとりの状況を継続的に調査・評価 ※3 しています。(例:年齢、成熟度、養育者の有無、置かれている環境など)

※1:最善利益手続き(Best Interest Procedure/略称:BIP)

※2:子どもの権利条約(第3条):子どもに関するすべての措置をとる にあたっては、子どもの最善の利益が主として考慮されるものとする。

※3:最善利益評価(Best Interest Assessment/略称:BIA)

イエメン国内避難民の子どもたち

イエメン 子どもが楽しめる教材を配っています

教材を熱心に読む国内避難民の子ども達。国内紛争が悪化する中、子どものメンタルケアは非常に重要です。子どもが楽しめる教材を配ることもそのひとつです。

現場の職員がやること・心掛けていること

現場の職員がやっていること・心掛けていることは多岐にわたります。その一部をご紹介します。

分析・支援計画を立てる

  • ニーズとリスクの評価・優先順位付け。
  • 支援のコーディネーションの仕組み作り・強化。
  • 支援関係者の能力開発。

支援の必要な子どもの特定・きちんと登録して支援につなげる

  • 支援が必要な子どもを特定する質問等を登録手続きに含む。
  • 子どもの保護担当職員や受付を登録場所に準備し、子どもにやさしい登録の手続き・環境作り(子ども向け資料の提供など)を行って子どもの避難民をきちんと登録する。

離ればなれにならないようにする

  • 到着・移動・避難など家族を一緒にする。

子ども・親・養育者への心理サポート

  • 親・養育者への情報提供。(子どもの心理社会的苦痛/回復方法/支え方/支援を受ける方法など)
  • 心理社会的な援助活動の提供を確保する。(例:絵画教室)

エチオピア難民の子どもたち

エチオピア 子どもに安全な場所を提供しています

約5万4000人の南スーダン難民が避難生活を送るジェウィ難民キャンプの中で遊ぶ南スーダン難民の子ども達。

避難先の国や地域の子どもの保護制度の強化

  • 避難先の国・地域の保護制度・仕組み・伝統などを分析、確認。
    その上で、それらの制度などをサポート、強化する。

特別な配慮が必要な子どもへの対応

■ 性暴力・性的搾取の防止と被害者支援

  • 防止策に子どもを含む。子どもにやさしい情報提供。
  • 見回り強化/避難民キャンプ内非常灯設置。

■ 武装勢力・武装集団

  • 元戦闘員の子どもが健全な活動に参加できるようにする。

日本人職員からメッセージ

UNHCR南スーダン ジャムジャン事務所前所長 織田靖子

織田職員
【南スーダン/ジャムジャン】アジョング・トゥック難民キャンプ スーダン難民の子ども達と織田職員(中央) (2021年撮影) 

もし目の前に命がけで避難してきた子どもがいたら、 何をしてあげたら良いでしょうか。食料、 水、 身体を休める場所―その子の命をつなぐために色々な支援が必要です。そしてそれと同時に大切なのは「保護すること」と「登録して身分証明書を作ること」です。

出生届も、 母子手帳も、 戸籍も何もない… 自分がどこの誰かを証明することもできない「何も無い」状態で到着する子ども達。 その子ども達をまず、 危険から守ってしっかり保護すること。そしてその子が色々な支援を受けられるよう、きちんと登録してあげること。

UNHCRの「子どもの保護支援」は様々な支援を始めるためのとても重要な出発点となっています。

2022年もウクライナはもちろん世界各地の緊急事態において多くの子ども達が保護を必要としています。 UNHCRは引き続き「子どもの保護支援」に注力して参ります。

日本からの温かいご支援にあらためて心より御礼申し上げます。
これからもUNHCRの難民援助活動に関心をお寄せいただければ嬉しく存じます。

「子どもだけ」になってしまった子どもたち ※4

避難の途中ではぐれてしまう。置き去りにされる。何者かに連れ去られる。孤児になる。子どもは様々な理由で避難中に親や養育者と離ればなれになります。

UNHCR等、子どもの保護支援関係者は「子どもだけ」をリスクが高いと見做し、注意深く対応しています。

安否調査で可能性が全くないと判明しない限り、その子どもには再び家族になれる誰かがいます。子どもの保護支援関係者はそれを前提として対応します。

そのため「子どもだけ」になってしまった子どもを孤児と呼ぶことは極力避けるようにしています。

※4:大人に付き添われていない子どもや主たる養育者と離ればなれになった子ども(Unaccompanied and Separated Children/略称:UASC)

アフガン難民の少年

イギリス UNHCRの「家族再統合支援」で家族と再会したアフガン難民の少年

「『生きるために行きなさい』と母は僕を送り出しました」と語るアフガン難民のファルークくん(15歳)。

2018年初頭、戦火を逃れて1人アフガニスタンを離れ、英国で暮らす兄弟を訪ねて10か国を横断する困難な避難の旅へ出ました。

山を越え、水も無いまま暑さを耐えながら歩き、トランクに詰め込まれ、独房で拘束され……その道のりは苦難の連続でした。

2018年10月、UNHCRの子どもの保護担当者はイタリアの路上で寝ているファルークくんを発見、保護しました。ファルークくんは5日間も路上で寝ていたのです。

2019年5月、UNHCRの家族再統合支援によりファルークくんは遂にロンドンで兄弟と再会を果たしました。その目には涙が光っていました。

※保護の観点から仮名を使用しています

「子どもだけ」になってしまった子どもへの支援

最優先は「家族再統合」

家族再統合とは自分の元の家族と再び一緒になること。養子縁組など家族再統合を妨げる恐れのある措置はとらない方針です。

■ 安否調査

  • 「子どもの記録」と「子どもを探す親の記録」の突合せ。
  • 子ども・親・近親者の身元・居場所調査。

■ 家族再統合

  • 見つかったら家族再統合が子どもにとって良いか評価。(関係性に疑問がある場合、過去に虐待あった場合等)
  • 再統合家族のフォローアップ。

次に「家族をベースとした代替ケア」

次の場合、家族の代わりになる代替ケアを手配します。

  • 安否調査がうまくいかない。
  • 当面家族再統合が難しい。
  • 家族再統合が子どものためにならない。

代替ケアとしてはまず「家族をベースとした代替ケア」(例:親族ケア、里親など)を優先します。兄弟姉妹は一緒にします。

南スーダン難民の姉妹

エチオピア 子ども世帯 ※5 の姉妹をサポートしています

南スーダン難民の姉妹、ニャマックさん(左、16歳)と妹のニャコアンさん(右、14歳)は戦闘と病で両親を次々に失い、今は2人だけでエチオピアのジュイ難民キャンプで避難生活を送っています。UNHCRはその生活をサポートしています。

※5:子ども世帯…一定の条件下のみ認められる子どもだけの独立した生活形態

「保護認定」 ―― 子ども1人ひとりに最良の環境を

UNHCRの「子どもの保護支援」の中で重要な援助活動の一つが「保護認定」 ※6・※7 です。

虐待や搾取などのリスクが高い子どものケアを決めるとき。養育者のいない子どもが祖国への自主帰還、避難先の国への定住など身の振り方を決めるときなど。

「保護認定」は子どもの成育環境を改善する重要な局面で必要な手続きです。

主なポイント

  • 厳格に取り扱われる正式な手続きです。(記録作成義務あり)
  • 子ども自身の幸せを最優先に進められ、決定されます。
  • 当事者の子どもがきちんと参加します。
  • 専門知識のある専門家も適宜参加します。
  • 子どもの権利条約などに鑑みます。

※6:正式名称は最善利益認定(Best Interest Determination/略称:BID)

※7:避難先の国の保護制度に認定手続きが無い場合のみUNHCRが代わりに実施します。

南スーダン難民の姉妹

あなたのご支援は 例えば ――

子ども1人ひとりを最良の環境に置くための「保護認定」の費用

1人分=36,000円
2人分=72,000円
3人分=108,000円

※1米ドル=112円換算

皆様からのご寄付によって 多くの命が助かります。
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