アフガニスタン国内 UNHCRの援助活動

2021年8月以降 アフガニスタン国内の治安は大幅に改善されました。しかし長期化した内戦の傷跡は深く、アフガニスタンの人々は厳しい貧困、自然災害(地震/干ばつ/洪水)など様々な困難に苦しんでいます。

UNHCRは現在、アフガニスタンのすべての州(34州)で援助活動を行えるようになり、これまで人道支援を受けたことのない地域も含めて、もっともぜい弱な立場にある人々に広く支援を届けられるようになりました。

一方で、UNHCRアフガニスタンは、2つの緊急事態(「西部・ヘラート州の大地震」と「パキスタンからのアフガニスタン人帰還の急増」)のため深刻な活動資金不足に直面しています。

アフガニスタンの人々が直面している困難

約2人に1人が貧困

【首都圏・カブール州】 カブール川沿いで売れるプラスチックを探す子ども達。

■ 貧困を「健康・教育・生活水準」という多次元でとらえる国連開発計画(UNDP)の「多次元貧困指数」においてアフガニスタンは政権交代前から人口の55. 9%が「多次元貧困」に該当。(2015/2016調査データ)

【参考】UNDP, Multidimensional Poverty Index 2023, Unstacking global poverty: data for high impact action, Briefing note for countries on the 2023 Multidimensional Poverty Index, Afghanistan <https://hdr.undp.org/sites/default/files/Country-Profiles/MPI/AFG.pdf

■ 2021年以降、経済は崩壊。長引く干ばつ、食料価格の高騰、失業により2500万人のアフガニスタン人が貧困に陥っている状態。他国からの開発援助も停止中です。

【参考】UNHCR, Five things you should know about Afghanistan <https://www.unhcr.org/ph/27499-five-things-you-should-know-about-afghanistan.html

自然災害の被害が甚大

【南部・ヘルマンド州】 2021年12月に撮影された干ばつの様子。灌漑用水路も干上がりました。

■ 最近の主な自然災害
2021年 洪水  死者数  260人
2021年 干ばつ 被災者数 1100万人
2022年 地震  死者数  1036人
2023年 地震  死者数  1480人以上

【参考】Centre for Research on the Epidemiology of Disasters (CRED),“Disasters in numbers 2021”p6,-p7, ”Disasters in numbers 2022” p9 <https://www.cred.be/publications

約3人に1人が危機的な食料不足

【中央高地部・バーミヤン州】 帰還民のファティマさん  一家の昼食はナンとお茶。   ※保護の観点から仮名を使用しています。
グラフ 人道的危機(餓死寸前の状態)約175万人 急性食料不安(危機的な食料不足の状態)約1525万人

【参考】Integrated Food Security Phase Classification - Afghanistan : Acute Food Insecurity Situation for April 2023 and Projection for May - October 2023 <https://www.ipcinfo.org/ipc-country-analysis/details-map/en/c/1156351/?iso3=AFG

■ 深刻な栄養不良(消耗症)の子ども 9. 5%

  • 栄養不良の中でも消耗症は差し迫った死のリスクにつながる危険な状態。
  • 胎児~乳児期の栄養不良は身体のみならず脳の発達も阻害すると言われています。
  • アフガニスタンの5歳未満の子どもの発育阻害率は41% (世界で最も比率が高い国のひとつ)

【参考】UNICEF Afghanistan Nutrition <https://www.unicef.org/afghanistan/nutrition

自由を奪われていく女性たち

【南部・ヘラート州】 UNHCRが支援していた女性ビジネスセンター。2022年12月のNGOでの女性就労禁止を受けて、支援が停止されたままになっている。

事実上の当局*1による「権利の制限」の例

■ 女性が78キロメートル以上の距離を移動する場合にはマフラム(男性の保護者)同伴が必須。
■ 自宅外でのヒジャーブ*2着用義務。
■ 2022年3月:女子中等学校の再開撤回。
■ 2022年12月:女性が大学に通うことは今後認められなくなると発表。
■ 2022年12月24日:女性は今後 NGOのために働くことはできないと発表。
■ 2023年4月:国連機関で働くアフガニスタン人の女性職員の就労継続を禁止。

【*1】 事実上の当局 : UNHCRはタリバンを「事実上の当局」と呼んでいます。
【*2】 ヒジャーブ:髪、首、うなじなどを覆うスカーフ
【参考】国連難民高等弁務官事務所「アフガニスタンから避難する人々の国際保護の必要性に関するガイダンスノート-更新 I」2023年2月 <https://www.unhcr.org/jp/wp-content/uploads/sites/34/2023/06/Guidance-Note-Afghanistan-Feb-2023.pdf> p3-5/UN News, Taliban order bars Afghan women from working with UN <https://news.un.org/en/story/2023/04/1135357

UNHCRはアフガニスタン全34州に支援を届けています

アフガニスタン国内 UNHCR活動拠点と帰還民支援の注力地域 (PARRs)

アフガニスタン国内のUNHCR活動拠点と帰還民支援の注力地域(PARRs)の地図

【援助活動拠点・PARRs・国境通過ポイント】UNHCR REGIONAL BUREAU FOR ASIA AND PACIFIC (RBAP)EXTERNAL UPDATE: AFGHANISTAN SITUATION #29 As of 1 November 2023

国内避難民 325万2741人  2023年12月1日時点

2023年~【国外から】の新規帰還民 3万5226人 2023年12月15日時点 ※自主帰還した難民のみの人数
2023年~【国内から】の新規帰還民2万932人 2023年12月1日時点

■PARRs(帰還・社会復帰優先地域 Priority Areas of Return and Reintegration)
UNHCRとパートナー団体は、国内避難民(IDP)や帰還民の多いアフガニスタンの80の地域をPARRs(帰還・社会復帰優先地域)と定め地域の学校や医療施設の建設など、帰還民・国内避難民と、受け入れ地域の人々の双方に利益がもたらされ社会統合が促進されるような援助活動を実施しています。

※UNHCRはPARRs以外の場所でも援助活動を行っています。

■ パートナー団体との協働
2023年12月現在UNHCRは世界各地のパートナー団体(900団体以上)と協働しています。各地のパートナー団体と協働することにより、援助を必要としている人たちの様々なニーズに対して、包括的で効果的な支援を行うことを目指しています。 <https://www.unhcr.org/about-unhcr/our-partners/additional-partnerships

アフガニスタン国内においては14のパートナー団体と協働しています。

アフガニスタン国内 UNHCRの援助活動の具体例

中学

【中央高地部・バーミヤン州】学校建設

ダシュト・エッサ・カーン中学校。UNHCRは日本の資金援助を受け、パートナー団体と共に新校舎、トイレ、運動場を建設。元校舎の修理も行い給水タンクやソーラーパネルを設置しました。

現金給付支援センター

【首都圏・カブール州】現金給付支援

UNHCRは2023年2月の1か月間カブールのUNHCR現金給付支援センターで、主に国内避難民、帰還民、受け入れコミュニティの困窮した180世帯を対象に現金給付支援を行いました。

カーペット加工センター

【北部・バルフ州】カーペット加工センター建設

泥の小屋でカーペットを織るミンダライさん(68歳)たち。背中や肩の痛み、副鼻腔や呼吸の問題、断熱性が低く厳しい寒さなど労働環境は過酷です。

※保護の観点から仮名を使用しています。

カーペット加工センター建設

【北部・バルフ州】カーペット加工センター建設

UNHCRが建設中のカーペット加工センター。労働環境の改善が期待され、皆さん完成を心待ちにしています。

助産師養成

【中央高地部・バーミヤン州】助産師養成コース

UNHCRの支援で実施されている『助産師養成コース』。バーミヤン州とダイクンディ州で計80名の女子学生が助産師になるための2年間の訓練を受けています。若い女性が勉強を続けるための重要な機会となっており、2024年も継続予定です。

緊急援助物資の配布

【西部・ヘラート州】緊急援助物資

大地震で被災したヘラート州。UNHCRはテント、毛布、防水シート、ソーラーランプなど緊急援助物資の配布を行いました。

シェルター

【南東部・パクティカ州】シェルター支援

UNHCRは2022年6月の地震で最も大きな被害を受けたパクティカ州の15の村で、地震に強い家1300棟を提供しています。

井戸

【北東部・クンドゥーズ州】ソーラーシステムの井戸

UNHCRはジャナド・バグ村にソーラーシステムの井戸を作りました。設置場所に自分の土地の一部を無償提供したモハンマド・ズバイドさん(62歳)。

※保護の観点から仮名を使用しています。

井戸

【北東部・クンドゥーズ州】ソーラーシステムの井戸

ジャナド・バグ村に作られたソーラーシステムの井戸で水を汲んだムルサルさん(8歳)。

※保護の観点から仮名を使用しています。

パキスタンからの帰還が急増
UNHCRはアフガニスタン国境で緊急支援を行っています

【東部・ナンガルハール州トールハム】パキスタンから帰還した一家。持ち出せるだけの少ない荷物で疲れきって到着する人が大半です。

2023年10月、パキスタン政府は2023年11月1日からパキスタンにいる非正規滞在のアフガニスタン人を送還することを目的とした「不法滞在外国人送還計画」を発表しました。

その後、パキスタン国内のアフガニスタン人に対する逮捕・拘留が急増。その状況を受けてパキスタンにいるアフガン難民を含む多くのアフガニスタン人がパキスタンからアフガニスタンに帰還しています。

アフガニスタンに向かう国境通過ポイントに到着した人々は疲れ果て、緊急支援を必要としています。パキスタンから再び避難を余儀なくされたアフガニスタン人家族には、仕事、学校、家を捨て、わずかな荷物を持っていく以外の選択肢はありませんでした。

アフガニスタン国境通過ポイントと帰還者数 帰還者数 2023年9月15日~12月7日 46万4800人

【国境通過ポイント/帰還者数】 UNHCR PAKISTAN-AFGHANISTAN Returns Emergency Response as of 14 December 2023

■ UNHCRは国境通過ポイントで緊急支援を行っています。

■ 国境通過ポイントでは、高齢者、障がい者、性暴力の被害者など、リスクが高い人々を特定して保護支援につなげるための聞き取りも行っています。

■ 多くの人はほとんど何も持たずにアフガニスタン国内の目的地に到着します。食料、教育、医療、生計手段へのアクセスなど基本的な支援を必要とするため、アフガニスタン国内の帰還した地域でも支援を行います。

UNHCR職員と帰還民
【南部カンダハール州スピン・ボルダク】帰還民を出迎えるUNHCR職員

■ UNHCRはカブール、ジャララバード、カンダハールで帰還者に現金給付支援を実施しています。

■ アフガニスタンの冬は厳しいため、気温が下がる中、防寒支援も実施しています。(食料、燃料、防寒用品を買うための現金給付支援などを含む)

中央高地部バーミヤン州 帰還民の母子家庭を訪ねて

洞窟の中で暮らすファティマさん一家
一家が暮らす6世紀の仏像があった崖の外観

2021年、アフガニスタンの山岳地帯バーミヤン州で紛争が激化。 ファティマさんはやむなく家族と共に故郷を離れ別の地域に避難しました。やがてファティマさんの夫は麻薬中毒*1になり、ファティマさんは夫と離婚し、子どもたちと戦闘が止んだ故郷に戻ってきました。家賃を払う余裕がないファティマさん一家はやむなく洞窟に住んでいます。

【*1】麻薬中毒:アフガニスタンには麻薬中毒が500~800万人いると言われています。厳しい長時間労働を続けるためにアヘンを使うことも多く、また、医薬品不足により伝統的な民間療法として痛み止めなど薬代わりに使っているという問題も指摘されています。(参考)UN News, ‘Patience’ and dialogue with Taliban only way forward: Afghanistan mission chief <https://news.un.org/en/story/2023/10/1141887

「他に行くところがなかったんです。夏にはサソリが出ます。昼も夜も」

ファティマさんと子どもたち
小さい子どもがいるので「サソリ」が心配なファティマさん

ファティマさんは隣人からもらったカーペットと小さなストーブでなんとか居心地良くしようと工夫していますが、それは簡単なことではありません。

困窮の中、ファティマさんは末っ子の双子を手放す決断をしました。イランで難民として避難生活を送る兄に託したのです。

「食事も満足に食べさせてあげられず、子ども達は病気になりました。別れるのは辛い決断でした。でも息子たちは兄と一緒の方が良い未来が待っているかもしれません」

見送ってくれたファティマさん一家
職員を見送ってくれたファティマさん一家

UNHCRはファティマさん一家に緊急の現金給付支援を実施、さらに冬を乗りきるための補助金と毛布を支給しました。

「支援が無かったらひどいことになっていたでしょう」とファティマさんは話しました。

※保護の観点から仮名を使用しています。

【動画】バーミヤンの洞窟で暮らすファティマさん一家の様子

皆様からのご寄付によって 多くの命が助かります。
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