Human Story

2011年12月1日

聴覚障害のあるブータン難民少女の情熱

まだ10代のブータン難民の少女が、地球の裏側にあるまったく違う文化の国に移り住むことには、かなりの勇気がいるのではと想像される方が多いのではないでしょうか。

しかし、パビ・ラゼル(Pabi Razel)さんにとってそれは、これまでの人生で最高の出来事でした。

彼女は2年ちょっと前の18才のときに、両親とやはり耳の不自由な2人の兄弟とともにカナダの首都オタワに移住し、3ヶ月という短い期間で英語とアメリカ手話を学びました。

パビは、自分が通うオタワのセント・ジョセフ・アダルト・スクールにあるカナダ移住者向け英語クラスの教室で、手話通訳者を通じて次のように語ってくれました。

「聴覚障害のある難民でも、聴くことを除けば、聴覚障害のない人にできることはなんでもできるはずです。」

彼女はUNHCRのインタビューを受けることを喜び、質問に明るく回答してくれました。その表情が曇ったのは、ネパール東部のベルダンギ難民キャンプで別れた友だちのことに話が及んだときだけでした。

彼女の両親は、彼女が生まれてすぐブータンを離れ、難民となりました。
難民キャンプの藁葺き小屋で17年間生活したパビは、カナダ人にとっては当たり前になっている様々なことにとても驚いたといいます。

「どこにでも電気があるし、いつでも使えることが信じられませんでした。」

彼女は、夜中に勉強したり、好きなときにコンピューターができることに目を輝かせ、「学校では、火災警報器の光が点滅しているのにいつもびっくりしています。」と付け加えました。

通学当初は学校のハイテクなビジュアル教材に目を見張ったパビでしたが、彼女がテレビ電話の操作方法をマスターするのにさほど時間はかかりませんでした。

今ではスカイプを使って、世界各国のブータン難民に対するトレーニングも行っています。パビの新しい世界が電気によって照らし出されたのと同じように、この学校を訪れる見学者も、クラスの中でこうした機器の使い方を熱心に説明するパビの姿に感銘を受けています。

パビとその家族は、2007年にスタートした第三国定住プログラムにより、他の5000人のブータン難民とともに、ネパールの難民キャンプからカナダに移住してきました。この、UNHCRにとって過去最大の第三国定住プログラムのもとで、これまでにネパールの難民キャンプから旅立った難民数は5万人を超え、8ヶ国の受け入れ国で新しい生活を始めています。

意外なことに、アメリカ手話と英語とは関連性がないため、パビはカナダへの移住後、この両方を学ばなければなりませんでしたが、3ヶ月も過ぎると、オタワ郊外のデパートで倉庫係員の仕事ができるほどまで上達しました。

彼女は、午前中働いて午後に勉強できる現在の環境に感謝し、他の聴覚障害者を教える教師になることを目指して、現在、ベルヴィル聴覚特別支援学校(Belleville School for the Deaf)への入学を申請しています。

パビは「これからもカナダに住みたいです。私も私の家族も、カナダに来たことで自信を得ることができ、平等な機会を与えられ、人権を尊重してもらえるようになりました。」と語り、生活しやすいこの国で暮らし続ける自分の将来像を思い描いています。

原文:A deaf refugee from Bhutan impresses in Canada with her enthusiasm
ソース:Telling the Human Story, 29 September 2011

 
click!