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証明書類の欠如が、シリア国内の避難民にもたらす必要以上の危険
6年間の戦争によって、シリア国内で避難している何十万人もの人々が有効な書類を持たず、移動の自由や基本的なサービスを利用できなくなっています

アレッポにあるUNHCRのコミュニティセンターを訪れるサミラ

アレッポ(シリア)2017年4月13日 ― サミラは、夫のウェエルと生まれたばかりの息子を連れてアレッポ東部の自宅から逃げた、2012年末のある日の事を思い出します。有効な婚姻証明書や身分証明書なしで、彼らは戦闘地域だけでなく、検問所も避けなければならず、市の西部への短かったはずの旅は、長く危険な道のりになりました。

 
「難しくて困難な旅でした」と彼女は思い起こしました。「検問所を避けようとして、危険を冒さなくてはなりませんでした。」アレッポ西部の安全な場所に到着し、そこにずっと滞在し続けていますが、証明書類の欠如は、この夫婦と幼い子どもたちへ深刻な影響を及ぼす恐れがあります。

 
戦争が勃発する少し前に結婚したサミラとウェエルは、結婚の登録をするために、50キロメートルほど離れたイドリブ近郊の出身地へ行こうとしましたが、道筋に沿ってひどい戦闘があったため、行くことができませんでした。「私たちは、ほとんどアレッポ東部からアレッポ西部に行くことはとてもできませんでした。アレッポのはるか外側をまわって行くことは不可能でした」と、サミラは説明しました。

「難しくて困難な旅でした」

婚姻証明書なしでは、4歳の息子モハメドと2歳の娘シャザの出生届を出すことができませんでした。「出生届なしでは、子どもたちは適切な教育や保健サポートを受けることができないかもしれません」と、サミラは言い添えました。

 
国内で630万人が避難生活を余儀なくされ、さらに500万人が国外に逃れているだけでなく、シリアの6年間の紛争により、何十万人もの国民に証明書類が無い状態になりました。

 
シリア国外で生まれ、出生届が出されていないシリア難民は、世界で1,000万人と推定されている無国籍者のうちに含まれてしまう恐れがあります。特に、様々な理由によって、父親が親権を証明することができない場合や、したくない場合にその恐れが高くなります。サミラやウェエルのように、国内で避難した人々も、証明書類の欠如により家族の再統合や移動が妨げられたりすることがあります。

 
「証明書類の欠如により、人々はいやがらせや強奪、搾取を受けやすくなってしまいます」とアブドゥル・カリム・グールUNHCRダマスカス副代表は説明しました。

 
証明書類の取得方法を知らなかったり、高騰している取得費用をまかなう経済的余裕がなかったりする人々が多いので、UNHCRは、この状況を打関する必要がある人々に法的支援を行っています。また、無国籍になるリスクを減らし、サービスを受ける権利を保障するために、出生届の登録を支援します。

夫と生まれたばかりの息子を連れて戦争中のアレッポ東部へ逃げたサミラ

サミラの場合、結婚と出生証明書を正式に登録するために、裁判所と民事登録局に対して、彼女とウェエルの代理となる弁護士を通して法的支援が提供されます。

 
沿岸都市タルトゥスのUNHCRコミュニティセンターでの有名な例としては、UNHCRと法的パートナーが、アレッポとデリゾールから避難してきた5,000人への新しい身分証明書の付与を助けました。UNHCRが資金を提供する地元のNGOで働く弁護士たちの努力と民事登録局の理解と協力のおかげで、出身地に戻る危険な旅をすることなく身分証明書が発行されました。

 
タルトゥスの集団避難所で5人の家族と過ごしている、デリゾールへ避難してきたシリア人のカハフは、家から避難したときに前の身分証明書を無くした後で、新しい身分証明書を得られたことの意味を説明しました。

 
「身分証明書が無かったら、私は自由に移動できないし、仕事を探すこともできません」と彼は言います。「今私は自身の安全を懸念することなく、検問所を通ることができます。」カハフはまた、新たに生まれた娘の出生登録も行うことができました。

「身分証明書が無かったら、私は自由に移動できないし、仕事を探すこともできません」

「素晴らしい成功です」とグールUNHCRダマスカス副代表は言いました。「この人々は、就業や医療機関の受診がほとんどできず、就職したり医療機関を受診したり、移動は厳しく制限されていました。今、彼らは仕事や健康管理、基本的なサービスや人道支援を受けることができ、自分自身だけでなく子どもたちの民法上の身分や市民権を文書で証明することができます。」

 
2016年にシリア各地の弁護士120人のネットワークを介して、UNHCRは国内避難民7万5,000人と、影響を受けたホストコミュニティメンバーに法的支援を行いました。さらに、5万4,700人が、様々な法律問題の意識向上セッションの恩恵を受けました。これらの活動は、コミュニティベースの保護対策の一環として遂行されました。これはUNHCRが、NGOにより運営されている74か所のコミュニティセンター、2つの法律相談所、法律の訓練を受けたシリア人ボランティアを含む、1,770人以上のボランティアのネットワークを通して実施しています。コミュニティセンターは、法的支援を含むまとまった保護サービスを提供します。集団避難所や、国内避難民が多い遠方の到達困難な場所では、移動チームが法的支援を提供しています。危険な場所や到達困難な場所に避難している人々へのアクセスは困難であるにもかかわらず、UNHCRの2017年の目標は、行政サービスが十分でない地域に、弁護士のネットワークを増やすことにより法的支援対策を増やし、まだサービスを受けられていないコミュニティーへと足を伸ばし、そしてより多くのシリアの方々が必要としているサービスや支援を受けられるようにすることです。

 
Qusai Alazroni

 
原文はこちら(英文)
Lack of documentation poses extra risk to displaced Syrians

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