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戦闘が西部に移動するのに伴い、UNHCRは新たなイラク・モスル避難民への対応策を準備
都市西部から逃げられない親戚のことを心配するイラク人避難民がいる中、UNHCRは最大25万人が一度に避難してくる場合に備えています

2017年1月23日、イラクのハサンシャム・キャンプで支援物資を受け取るモスルの紛争を逃れたイラク人の家族。彼らは3日前、夜中に小さなボートでティグリス川を渡って、武装勢力が制圧しているモスル西部から避難した

ハサンシャム(イラク)2017年2月21日 ― いまだ武装勢力の制圧下にあるモスル西部に対してイラク政府が軍事作戦を開始したことを20日に知ったアーマッド*の家族は、すぐに、アーマッドに電話するために電波を受信しようとして、命を危険にさらしながら家の屋根に上りました。

 
「私の家族が攻撃のことを知って嬉しい反面、とても心配しています」と25歳のアーマッドは言いました。彼は1月に、モスル東部から40キロのところにある、UNHCRが運営するハサンシャム・キャンプに避難して来ています。「家族は戦闘のさなかにいることでしょう。逃れる道はありません。」

 
20日夜に電話している間、西モスルにいる彼の親戚はアーマッドに、モスル西部を支配している過激派集団が、地域住民に対して拡声器で、出てきて共に戦うように勧めながら通りを歩いていると話しました。

 
「彼らは『出てきて共に戦わないなら、お前の妻を強姦し、夫を殺し、屈辱を与えるぞ』と言っています」と彼は言いました。武装勢力の支配下にある地域で携帯電話を使っていたために捕らえられた人々はひどい罰を受け、殺されることもあります。

「家族は戦闘のさなかにいることでしょう。逃れる道はありません」

市の人口密集地である西部の支配を求めてはじまった戦闘を逃れて避難した人は最大25万人と推計されています。10月17日にモスルで戦闘が開始して以来およそ21万7,000人が家から避難しており、新たに解放されたモスル東部の家に帰る人もいるなか、約16万人が今も避難しています。

 
UNHCRは新たな大規模避難の発生に備えて、難民キャンプの建設に力を注いでいます。現在、開設または建設終了しているキャンプ8か所に加え、1か所が建設中であり、さらにモスル西部の南に位置するハマム・アル・アリルに新たに開設する計画が進んでいます。UNHCRが運営または支援している既設のキャンプでも2万7,000人以上を受け入れることができます。

 
「最大25万人が集団で避難すると予測されており、その人数に対し、現在ある土地で住居を提供することは不可能でしょう。紛争の前線が移動した時点でキャンプとして使える他の場所を特定してあります」とマシュー・サルトマルシュ報道官は2月21日にジュネーブで開かれた記者会見で述べました。

イラクのUNHCRハサンシャムU3キャンプで、冬の陽を浴びている、モスルからやってきたイラク人の家族

サルトマルシュ報道官は、人口が密集した都市の西側の状況は悪化しており、食糧、水、燃料や薬の不足が報告されていると警告しました。彼は、市民が戦闘から逃れることができなければ状況はさらに悪化するであろうと警鐘を鳴らしました。武装グループの残酷な統制下での生活から逃れる前、小さな茶屋を経営していたアフマッドは、軍事攻撃での勝利は始まりにすぎないと言いました。

 
「モスルという宝はなくなりました」と彼は言いました。「もしモスルが解放されて、―私はそうなると楽観的に考えていますが― 都市が政府の支援を受けられれば、事態は改善し、よくなるでしょう。私は、故郷に帰り、やり直すことを望んでいます。モスルの人間として、自分の町を再建したいです。」

 
ハサンシャム・キャンプの別の住人であるノア*は1か月前に、夫と4人の子どもたちとともに、モスル西部のジャディーダ辺りにあった家から逃れました。彼らは密航業者にお金を払い、ボートでティグリス川を渡って、町の東部で20日間ほど家族と過ごしてから、安全を求めて徒歩で再び避難しました。

「私たちは安全ですし、それが一番大切です。将来のことについてはなにを考えればいいのか分かりません」

35歳のヌーラは、食糧、電気、燃料不足と絶え間ない空襲を逃れて西部から避難してきたと話しました。彼女が避難したときに都市西部にいた親戚の安否を心配しています。

 
「彼らと2日前に話したのです。物価がどんどん上がっていると言っていました。かつては約2万ディナール(17米ドル 約2,000円)だった50キロ袋の小麦粉が15万イラク・ディナール(127米ドル 約1万5,000円)まで値上がりしています。以前は500ディナール(0.4米ドル 約50円)だった玉ねぎも、今や1万7,000ディナール(14米ドル 約1,680円)です」と彼女は言いました。

 
「人々は食べ物を乞うようになり、家族はお腹をすかせています。この価格で買うことができるのは、ほんのわずかな人たちだけです。彼らは食事をしないか、もしかしたら1日に1回だけ食べています。食べ物は、パンの時もあれば、レンズ豆の時もあります」とヌーラは付け加えました。

 
「私たちがここにいられることを、神に感謝します。私たちは安全ですし、それが一番大切です。将来のことについてはなにを考えればいいのか分かりません」と彼女は言いました。「私はただ、平和になるように祈り、このつらい時期が早く終わることを願っています。これまで十分つらい思いをしてきました。」

 
*個人情報保護のため、仮名にしています

 
Caroline Gluck

 
原文はこちら(英文)
UNHCR readies for fresh Mosul exodus as battle moves west

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