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戦争中に避難していたコソボからふるさとに帰るマケドニアの女性と子どもたち家族を支える難民の女性たち

難民・避難民の約8割は女性と子どもです。女性たちは、戦渦から逃れてくるときも、難民キャンプで生活しているときも、ふるさとに帰ってからも、様々な役割を担っています。夫が兵士として連れて行かれたり、殺害されたりした女性は、家長として、子どもたちを養い、守っていかなければいけません。女性と子どもだけの世帯は、経済的にも社会的にも弱い立場におかれることが多いため、UNHCRは積極的にそのような家族を支援しています。

また、幼い少女たちも水汲み、薪(たきぎ)拾いなどをして母親を手伝っています。家族のために何キロも歩いて薪を取りに出かけることもあります。

ナビ 難民のために、安価で安全な燃料を求めて(UNHCR本部ニュース・翻訳)

また、家族のために売春をするケースも報告されています。一方、難民の経済活動が禁止されている場合、仕事のない父親たちは、手持ちぶさたに過ごすことが多く、飲酒による家庭内暴力なども頻発します。

妊婦や授乳する女性は、鉄分やカルシウムなどの栄養不足に悩まされます。また、重度の栄養失調で苦しむ子どものために、わずかな食事を分け与え、つきっきりで看病するのも母親です。UNHCRは、配給される食糧や他の援助品が男性に独占されることのないよう、現場に女性スタッフを配置するなど、女性に配慮した形で支援物資を配布しています。UNHCRでは、難民の女性たちがより自立した生活を送れるよう、機織りや石鹸作り、理容、手工芸品作りなどの職業訓練を提供しています。

性暴力の恐怖

タリバン政権下で食糧配給を待つアフガン女性たちしかし、難民キャンプで生活する女性は、社会的差別だけではなく、暴力やレイプなど、身の危険を感じることもしばしばあります。戦禍から逃げるときに、兵士やゲリラから受ける性暴力の可能性はもちろん、難民キャンプに辿り着いてからも、キャンプの警備兵や同じ難民に襲われたり、脅かされることもあります。難民になったことで仕事を失い、家族を支えられなくなった夫が、その苛立ちを家庭内暴力という形で妻にぶつけることもあります。

ナビ 「ソマリアの避難民女性たち、レイプの恐怖を語る」(UNHCR本部ニュース・翻訳)

最近では、木炭燃料や薪の消費量を大幅に節約できる改良型かまどや太陽光で調理できるソーラー・クッカーを支給し、環境に配慮するとともに、女性たちの負担を軽減することに努めています。女性たちが身の危険をおかして薪を拾いに出かける必要がないように、家事用の薪を配給したり、太陽光発電パネルを設置し、夜のキャンプに明かりを灯し、治安の改善を図ったりしています。こういった取り組みを通じて、女性への危険を減らす試みが進められています。

難民の女性へ語りかける緒方貞子さん難民支援活動におけるジェンダーの視点

UNHCRは、難民キャンプの運営や援助物資の配給活動にもっと難民の女性の代表が関われるように努めています。さらに、家族単位中心だった難民登録のシステムを、性別を問わない、個人単位の難民登録に切り換え、女性が一個人として難民として登録され、権利が保護されるようにしています。また、難民女性への性暴力や性的搾取の廃絶、女子児童の就学促進や生理用品の配布など、女性に対する保護と援助を率先して行っています。

ナビ 「イラク難民女性、笑顔を再学習」(駐日事務所ニュース)

女性がかかえる問題にはなかなか露見しにくいものも多く、女性の声を積極的に吸い上げ、女性のニーズにきめ細かに対応するには、支援の第一線に女性職員の存在は欠かせません。UNHCRで働く日本人職員のおよそ3分の2が女性で、多くの日本人女性が最前線で奮闘し、難民や避難民の女性の保護と支援に携わっています。

ボスニア・ヘルツェゴビナ、サラエボ空港にて女性たちへ−緒方貞子さんの尽力

1991年2月から2000年12月までの10年間、国連難民高等弁務官の重責を担った緒方貞子さんは、女性の持つ可能性に目を向け、難民や帰還民の女性のニーズを汲み取った支援を行うことに尽力しました。

ナビ 第8代国連難民高等弁務官 緒方貞子さんについて

「紛争のあとの社会というのは、男性より女性のほうがずっと多いですよ。…. ルワンダやボスニアにおいては、6、7割は女性だったと思いますよ。女性と子供は残されたんですから。女性はやっぱり価値の伝承者ですからね。…. 家庭を通して価値を伝えていくというのは非常に大きな女性の役割だとおもいます。家庭の中心に女性がいるということは、社会のコミュニティの中心に女性がいるということになるわけですから。それに、同じ出資をするにしても女性に出すほうが社会に与える効果は高いし確実なのです。たとえば食糧を例に挙げますと、女性は自分が多少食べなくても子供にあげたりしますからね」
難民の女性たちを力づける緒方貞子さん*東野真著 『緒方貞子−難民支援の現場から』(集英社)より

紛争後の復興期における女性の役割への緒方さんの着目は、かつて対立した民族が共に生きることを支援するプロジェクトを生みました。UNHCRは、ボスニアやルワンダで、女性を対象にした教育や研修プログラムを実施しました。ボスニアでは、セルビア系とクロアチア系の女性たちが一緒にパン屋を開き、パン焼きの研修や店の運営が異なる民族間の対話の場となりました。ルワンダでは、ふるさとに帰った人々のうち、特に女性や弱い立場に置かれた人々を対象に、少額の所得を得るためのプロジェクトや職業訓練などを実施。女性のエンパワーメントやコミュニティー内の話し合いを促進しました。

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