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みどり1本運動(環境)/植林・育苗活動
難民は生きていくために、煮炊きや暖房用の薪を求めて、難民キャンプ周辺の木々を伐採してしまうことがあります。避難生活の長期化によって木々の伐採が増えて環境破壊が進むと、資源をめぐって地元住民との対立が起きてしまうだけではなく、難民受入国に大きな負の遺産が残されることになります。
UNHCRは再び大地にみどりが戻るよう、樹木が全くない土地においては成長の早いユーカリの木を植林するなど、様々な植林・育苗活動を続けています。また、荒廃した土地における植林や育苗活動を通じて、地元住民との関係改善を図っています。2007年には、アジア・アフリカ諸国において1000万本以上の苗木が植えられました。
UNHCRは、パキスタンに避難したアフガン難民援助の一環として森林プロジェクトを1981年に開始しました。1986年までに、パキスタンでの植林事業に寄せられた皆様からのご寄付は、総額1億5130万円に上りました。1987年以降は、スーダンへと避難したエリトリア難民に対する植林事業支援へと受け継がれました。例えば、2006年は1年間で18万7586本が植林され、生育率は93.4%でした。10万人の難民や地元住民約15万2000人がその恩恵を受け、植林面積も2万2000ヘクタールと着実に広がっており、難民も地元住民も生育した樹木の木陰で涼を楽しんでいます。
「難民たちは受け入れ国の人々に何かを残したいと願っています。いつの日か難民が故郷に戻っても、温かく受け入れてくれた人々への感謝の印として、木はここに残るでしょう」
現地のUNHCR環境コーディネーターの言葉です。
スーダンでの事業へのご寄付は、2006年末までで総額約4億4600万円になりました。皆様の長年にわたる温かいご理解とご支援に心から感謝申し上げます。
活動計画(2008年)
スーダン東部以外でも、難民による木々の伐採により環境破壊が起こり、地元住民との対立が報告されるケースが少なくありません。UNHCRでは2008年、次の地域における植林・育苗活動を通じて荒地の回復に努めています。
◆ タイの場合
ミャンマーとの国境沿いの森林地帯には、ミャンマーから逃れてきた人々が20年近くにわたって難民キャンプで避難生活を強いられています。長年にわたって多くの木々が伐採されたことによって、土壌浸食が進み、土砂崩れの危険も高まっています。難民キャンプの多くが、土砂崩れ、洪水、土壌浸食に見舞われているとともに、難民の存在が森林保全を難しくしています。2008年、UNHCRでは難民自身の手による6000本の植林や、難民1000人を環境保護トレーナーとして訓練することにより、地域の自然を修復するための努力を行っています。
この事業への1年間で必要な資金は、年間で約22万6500米ドル(約2446万円)です。
◆ ネパールの場合
1990年代の初め以降ブータンから逃れてきた難民約10万7000人が、ネパール東部の森林保護区や河沿いにある7つの難民キャンプで避難生活を続けています。太陽光を活用した調理器具のソーラークッカーのような環境に優しい対策は取られていますが、薪の需要は高く、キャンプ周辺での森林破壊が懸念されています。森林を管理する周辺住民組織と難民との間には、森林資源をめぐる対立が頻繁に起こり、また河沿いの森林破壊により、難民はモンスーン(季節風)による洪水の危険にさらされています。UNHCRは、荒廃地での育苗や植物の栽培、持続可能な森林資源の活用のためのワークショップの開催やトレーニングを通じて、地元住民との関係改善をはかり、環境を回復させる計画です。この事業への1年間で必要な資金は、約28万米ドル(約3024万円)です。
◆ エチオピアの場合
エチオピアの難民キャンプは、資源が乏しい地域に位置しています。そのため、長期にわたる避難生活や降雨量の減少を含む気候の変動により、森林伐採や土壌・水分損失による砂漠化や生産性の低下、生物多様性の損失といった環境問題や、資源の管理といった課題に難民は直面しています。2008年、UNHCRでは荒廃地における果樹等の苗生産や森林管理のトレーニングといった植林プログラム、また段丘やダム建設の管理や水関連システムの建設、浅井戸の掘削、水管理のトレーニングを含む水と土壌の保全プログラムを計画しています。その他にも、熱効率の良い改良かまどや養蜂や果樹・野菜栽培のトレーニングの提供、小・中学校での環境に関する教育を通じて、環境保全に努める計画です。この事業への1年間で必要な資金は、約85万3000米ドル(約9212万円)です。
◆ ケニアの場合
ケニアのカクマ難民キャンプは乾燥地域にあり、40平方キロメートルという狭い敷地に6万人以上のスーダン難民が避難していることから、土壌浸食やごみ問題、環境汚染や薪などの資源をめぐって難民と地元住民との対立が生じています。2008年、UNHCRは植林活動によって荒廃地を修復する計画です。また、資源をめぐる難民と周辺住民との対立を解決する環境ワーキンググループに対して支援を行い、学内及び学外における環境教育を推進することにより、環境保全のための取り組みも計画しています。この事業への1年間で必要な資金は、約23万米ドル(約2484万円)です。
◆ ルワンダの場合
難民キャンプの設営地の土壌が、粘土質で保水力が低かったこともあり、森林の伐採による土壌の荒廃や、生物の多様性の損失といった深刻な環境問題が引き起こされています。2008年、UNHCRでは荒廃した土地が再びよみがえるよう、育苗や植林活動を行い、水の流れを管理する貯水池の設置を計画しています。また、植林活動のほかにも、環境問題に関する啓蒙活動、環境に優しい代替エネルギーの特定と省エネ技術の促進も行う予定です。この事業は2ヵ年計画であり、必要な事業費は25万米ドル(約2700万円)です。
◆ タンザニア北西部(ンガラ地方)の場合
タンザニア北西部のンガラ地方には、1994年初めに始まった大量のルワンダ、ブルンジ難民の流入によって四方の丘陵地帯の木々は、薪として切り倒され、難民と貧しい地元住民との対立が生じる事態になりました。地元の農民を支援するため、2008年、UNHCRは木材になりうる品種や果樹、コーヒーの木などの植林や育苗、潅漑システムの導入や農林地の特定と敷地割りを計画しています。更には、持続可能な農耕法と環境保護のためのトレーニングを行う計画です。これにより、250エーカー(約100ヘクタール)の潅漑農地が生まれ、6万9000本の苗木の作付けと小作農の収入増加が期待されています。この事業への1年間で必要な資金は、約12万6618米ドル(約1367万円)です。
◆ タンザニア北西部(カスル地方とキゴマ地方)の場合
大勢の難民がブルンジ、コンゴ民主共和国から流入した結果、貧困にあえぐタンザニア北西部の人々の生活が更に圧迫されました。そのため、難民に対して伝統的に寛容であった受入れコミュニティと難民の関係も緊張したものとなり、タンザニア政府は難民の自主帰還に重点的に取り組むようになりました。政府が自然林の伐採を禁じたため、難民の女性が性暴力の危険におびえながら、最大で15キロメートルも離れたところまで薪を集めに行かなくてはなりません。2008年、UNHCRは、苗床として使用するポリエスチン製チューブ等の入れ物や缶を提供して品種改良や野菜等の育苗を行い、育苗や苗木保護、省エネ技術、野菜生産のためのトレーニングを通じて、荒廃した土地にみどりが戻るよう、計画を進めていきます。また、難民と地元住民との融和を図るため、資源をめぐる対立を解決するためのミーティングを設けて、難民と受入れコミュニティと協議した上でのガイドラインを作成します。更には、難民の女性たちが薪を集めに出かける際に起こりがちな性暴力の注意を呼びかけていく計画です。この事業への1年間で必要な資金は、約19万8828米ドル(約2147万円)です。
◆ ウガンダの場合
ウガンダ北部では、大勢のウガンダ国内避難民とスーダン難民により、木々の伐採が進み環境問題が発生しました。そこで、UNHCRは、果樹などの農林種の植林や、熱効率の良い改良かまど作りとその管理、漁業や養蜂といった所得を生む活動のサポートを通じて、破壊された環境の修復を行う計画です。このプロジェクトは3ヵ年計画であり、必要な事業費は80万米ドル(約8640万円)です。
注)1ドル=108円(2008年1月現在)
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