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苦難の幼少期に終止符を打ち、カナダでの新しい生活へ
カナダで新しい生活を始めるというのは多くの難民が望む貴重なチャンスです。満面の笑顔でダマスカス空港の出発ゲートに近づくヒバ(Hiba)*さんにとって、この飛行機に乗り込むことは、レイプ、搾取、人身売買そして拘束などの想像を絶する恐怖をあとにすることを意味します。それは17歳の少女が生きた苦難の道のりでした。
ヒバさんの運命は、母親がヒバさんをバグダッドに住む父親にあずけた7歳のときに閉ざされてきたように見えます。ヒバさんは15歳の時に、従兄とのムタ婚(Mutta marriage、一定の期間だけの結婚)を父親に強制されました。この伝統的な習慣のもとヒバさんと48時間の結婚をした従兄は、欲望を満たした後、彼女を捨て去りました。その後、ヒバさんの父親は彼女が戻ってくることを拒否したのです。
そのかわりに、父親はシリアにいる母親を見つけることができるはずだとヒバさんを説得し、一緒に会いに行くことにしました。イラクとシリアの国境で、彼女が化粧室から戻った時に父親がいないことに気づきました。ヒバさんは父親が見知らぬ人に彼女を売るとは思ってもみなかったのです。この時はまだヒバさんの悪夢は始まりに過ぎませんでした。
誰も知らない国で身動きがとれず、ヒバさんは彼女を守ると言い張るこの見知らぬ男性を信じる以外仕方がありませんでした。しかしながら、守るどころかヒバさんは他の男のもとへ連れて行かれ、順番にレイプされたのです。数日後、彼女はダマスカスのクラブへ連れて行かれ、客を挑発するようにダンスの訓練が行われ、それから2年近くもの間、性産業での仕事を強いられました。
ヒバさんが妊娠すると、彼女を捕らえていた男たちは彼女を道に置き去りにしました。ヒバさんはすぐに地元のソーシャルワーカーによって、ダマスカスの未成年者用リハビリセンターに保護されました。彼女はこの何年もの間で初めて安心感を得ることができました。ここに長く住むことができないのは明らかではありましたが。
「初めてここに来たとき、今度は自分の身に何が起こるのか怖くてたまりませんでした」とヒバさんは語ります。「すぐに自分と同じような状況の女の子たちの存在に安心しました。私たちは姉妹になり、家族のような存在になりました。また、私に起こったことは極端な例ではないことに気づきました。たくさんの少女たちが救いと援助を必要としているのです。」
身元確認されるまでの数週間、ヒバさんはセンターに残りました。シリア人のソーシャルワーカーによって、ヒバさんの窮状が報告されたダマスカスのUNHCRは、彼女の庇護を第三国に緊急に打診し、そしてカナダが緊急要請に応えたのです。
庇護国において、自らの意思に反して、もしくは経済的理由から必死の思いで、性産業での仕事を行うイラク人女性や少女がますます増えているとUNHCR保護官たちは言います。
UHNCRダマスカス事務所で働くアッサー・アル・マデーン(Asser Al Madaien)保護官によると、UNHCRはヒバさんのように搾取されている女性を懸命に探しています。「撲滅のため、シリアの援助団体とともに絶えず努力しています。私たちは、危険な状態にある女性を特に支援している地元の事業実施パートナー、政府職員そしてNGOを頼りにしています」とアル・マデーン保護官は続けます。
2008年の最後の日、シリアの労働福祉省、国際移住機関(IOM)は、ヒバさんのような人身売買の被害者やその子どもたちのための最初のシェルター(仮設住居)を設立することを発表しました。この計画では他の国連機関や地元のNGO団体も加わり、被害者の関連ネットワークを築くことを目的としており、将来的には別のシェルターの設置も必要です。
シリア政府によると、シリアに避難する約120万人のイラク難民のうち、22万人以上がUNHCRに難民登録されています。そのうち2800人以上の女性が危険な状態にあります。2007年、UNHCRシリア事務所は危険な状態にいる女性及び子ども945名の庇護を第三国定住受け入れ国に求めましたが、実際にはそれ以上の人々が第三国定住による庇護を必要としています。
ヒバさんの未来はやっと明るくなりました。現在はカナダの里親の元で安全に暮らしています。女の子の赤ちゃんを産み、ザマン(Zaman)ちゃんと名づけました。ザマンの意味は“Time−時”です。ヒバさんはきっと未来の“時”を考えているのでしょう。回復する時、癒す時、新しい生活を始める時を。
*保護上の理由から個人名は変更してあります。
原文 : A childhood of rape and exploitation ends mercifully with a new life in Canada
ソース : UNHCR News Stories
日付 : 2008年12月31日
日本語訳 : 佐藤奈美・志田佳奈子(国連UNHCR協会ボランティア)
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