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イラク・シリア国境のパレスチナ難民を洪水が襲う
UNHCRは、混乱と苦しみをもたらした豪雨と洪水により、イラク・シリア国境のキャンプで身動きが取れない数百人のパレスチナ難民に対し、緊急に支援を開始しました。
10月28日の夜、約800人のパレスチナ難民が身を寄せる、イラク・シリアの国境の小さな不毛地帯、アル・タンフを襲った豪雨により、テントは水や汚水であふれ、所持品はずぶぬれになり、電気の供給も止りました。
土砂降りの中キャンプにいたムタセム・ハヤトゥラ(Mutassem Hayatla)UNHCRフィールド・オフィサーは「これは私が想像できる地獄に最も近いものです。電気がなく、キャンプは泣き声と恐怖におびえる子ども達でいっぱいでした。私たちはできるだけのことをしましたが、夜が明けることほど有難いものはありませんでした」と語りました。
とても怖かったと9歳のアヤ(Aya)ちゃんは言いました。「電気が全て消えていて、至るところが水浸しでした。お母さんが泣いていたわ。お母さんにはもうすぐ子どもが産まれます。お願いですから、弟が生まれる前に私達をここから出して下さい。赤ちゃんが生まれても、こんなところに住んでいたら彼は生きられないかもしれないと心配でたまらないです。」
隣接する国境のイラク側にある、1400人以上のパレスチナ人が避難するアル・ワリード(Al Waleed)難民キャンプでは、状況は更にひどいものでした。この嵐によってテントが破壊され、100世帯以上が住む場所をなくしました。10月29日、UNHCRは両キャンプにおける援助物質の配給を緊急に行おうとしましたが、安全確保への配慮のため、アル・ワリードへの到着には時間がかかりました。
ダマスカスのUNHCR事務局は29日、新しいテント、ビニールシート、毛布、マットレスをアル・タンフに送り、アル・ワリードの現場で待機しているUNHCRのスタッフは供給品がイラクに届くのを待っていました。最も大きな被害を受けた家族と老人のパレスチナ人は、キャンプの学校や診療所に移されました。
甚大な被害を受けた難民の多くは、テントの被害や洪水による汚染を免れた家庭に身を寄せています。冬のはじまりという最悪の時期に豪雨に襲われました。「私達は7枚の毛布を使って寝ていますが、全てがぬれてしまっているので、どうやって暖かくしていられるか分かりません」とナディア(Nadia)さんは語ります。彼女は3人の子の母で、うち1人は重度の障害を抱えています。
鉄砲水が多くのテントを押し流し一帯はぬかるみになったと、アル・ワリードにいるUNHCR職員は語りました。キャンプの下水システムも氾濫し、病気が蔓延しました。「ここは既に、風邪やインフルエンザの症状を訴える難民が殺到しています」と、パレスチナ難民の医者は言いました。
脅迫や誘拐、暴力といった恐怖から逃れるためにバクダットから避難して以来、アル・タンフとアル・ワリードに住むパレスチナ人は多くの苦しみを受けてきましたが、この洪水はそのうちのひとつにすぎません。彼らは、砂嵐や冬の雪、急激に上がる夏場の気温に耐えてきました。アル・タンフでは2人の子どもがトラックに轢かれて亡くなり、大きな火事が2件ありました。
イラクの隣国への入国が禁じられているので、一部の難民はアル・タンフに3年にわたって住んでいます。「私たちは前にも後ろにも進めないのです。片側は子どもたちの日々の生活に脅威をもたらし、片側は遮られている道のようなものです。さらに、前と後ろには通れない2つの境界があるのです」とアル・タンフ難民委員会のメンバーの一人であるアブ・ジヤド(Abu Ziyad)さんは言いました。
「望むのは再定住の場所だけです。私たちの子どもたち、妻、そして老人たちのために、お願いです。私たちをここから出して下さい」と彼は嘆願しました。
他に行く場所の選択肢がないイラクからのパレスチナ難民に再定住地を提供するよう、10月30日、UNHCRは国際社会に要請を繰り返しました。「更に多くの国がパレスチナ難民を受け入れ、追い詰められた状態から難民を救ってくれるよう強く要請します」とダニエル・エンドレス(Daniel Endres)UNHCRイラク代表は語りました。
原文 : Flood ordeal for Palestinians stuck on Iraq-Syria border
ソース : UNHCR News Stories
日付 : 2008年10月30日
日本語訳 : 佐藤奈美・志田佳奈子(国連UNHCR協会ボランティア)
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