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トラウマに関する調査が浮き彫りにする、シリアのイラク難民の苦悩
1月22日にUNHCRジュネーヴで発表された、イラク難民のトラウマに関する調査により、調査対象者の多くが抑うつと不安障害をかかえていることが明らかになりました。最終調査結果では、シリアで避難生活を続けるイラク難民150万人の精神保健制度の設立と普及を求め、さらに「感情にまかせた拷問やおびただしい惨事を絶つため」イラク国内でのアドボカシー活動を高めていくことを勧めています。
この調査は、市場調査会社イプソス(Ipsos)が、ダマスカスのUNHCR難民登録センターで、2007年10月31日から11月25日に登録したイラク難民754名を対象にして行いました。
この結果は、シリアの全ての難民に当てはまるものではありませんが、ローレンス・ジョレス(Laurence Jolles)UNHCRシリア代表は次のように述べています。「調査結果は、UNHCRに難民登録するイラク難民の多くが抑うつ、不安障害、心的外傷後ストレス障害に苦しんでいるという事実を明らかに示しています。また、これは彼らの生活のあらゆる面に影響を及ぼしています。ストレスが原因で結婚生活が破綻してしまった夫婦や、学校に通えなくなってしまった子どもたち、そして生きていくことに次第に行き詰っていく人々を数え切れないほど見てきました。」
イプソスから調査を受けた全てのイラク難民が、シリアに到着するまでに少なくとも一度はイラクで精神的な苦痛を経験したと、調査では報告されています。2007年1月以降UNHCRダマスカス事務所に登録された1万9000人を超える難民のうち、5人に1人がイラク国内での「拷問または暴力、あるいは両方の被害者」であるとUNHCRは推計しています。
調査によって難民の89%が抑うつ、82%が不安障害に苦しんでいると分かりました。これは彼らがイラク出国前に耐え抜いてきた様々な恐怖に起因しており、調査対象の77%は空爆及び砲弾やロケット弾攻撃の影響を受けていることが報告されています。また80%の人は射殺を目撃しているとも報告されています。68%の人は民兵などによる尋問やいやがらせを経験し、殺害の脅迫まで受けた人もいます。16%の人は拷問を受けています。72%は車両爆破を目撃し、75%が知人を殺害されたと言っています。
報告書で浮き彫りになったのは、鞭打ち、電気ショック、爪の間にものを差し込む、火傷を負わせる、レイプなどイラク難民を苦しめた数々の拷問方法です。拷問は大半(69%)が民兵集団によるものです。
UNHCRダマスカス事務所のオーラ・ラマダン (Oula Ramadan)難民登録担当官は、イラク難民の流入は続き、拷問や暴力の事例が絶えず報告されると話しています。
オム・モハメッド(Om Mohamed)さんは難民登録センターにやってくる難民の典型例です。彼女は半年前に夫を殺され、二人の息子も誘拐されて、シリアに逃れて来ました。最悪の事態を恐れ、金銭も底を突いてしまったため、彼女はUNHCRに助けを求めました。「今朝起きて今日一日をどうやって生きていこうかと思ったわ。この聞き取り調査がどんな形であれ私の状況を改善する役に立てばと願っています。」
UNHCRとその協力関係にある保健機関は、心理社会的支援を優先し、精神科医や診療所、精神保健施設を紹介しています。UNHCRはまた、ボランティアと共に、精神疾患に苦しむ人達の家族を支援するために活動しています。
UNHCRはイラク難民とイラク国内避難民を支援するため今年、2億6100万USドルを必要としています。この資金の一部は心理社会的ケアに割り当てられ、何百万人ものイラク人を受け入れてきたシリアやヨルダンといった国々の政府を支援することになります。しかし、心理学者、精神科医の数や精神保健支援制度が充分でない地域においては、大きな成果を期待することは非常に難しいと思われます。
イラクでは220万人以上が住みなれた土地からの立ち退きを余儀なくされ、更に200万人が近隣諸国への避難を強いられています。
原文 : Trauma survey in Syria highlights suffering of Iraqi refugee
ソース : UNHCR News Stories
日付 : 2008年1月22日
日本語訳 : 志田佳奈子、佐藤奈美(国連UNHCR協会ボランティア)
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